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LEGEND COLLAR~色彩の英雄~  作者: 水晶 蜻蛉
青の章 蒼鱗の蜥蜴人 編
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青の章 第61話 道草ならぬ洞窟苔

予約投稿の設定を間違えました。

いつもより遅くの投稿申し訳ありません。

青の章 第61話 道草ならぬ洞窟苔

 

 俺の扱いの件で、母と長い間口論……一方的に俺が怒っていただけだが、まあ口論をしていた。

 母の言い分では、俺の事を出会った時から雌だと思っていたらしい。しかし、俺の見た目が母から見て―――つまり蜥蜴人として雌の特徴を持っていたと言う訳ではなく、鱗族は基本的に雌のほうが強い種族なのだそうだ。

 なので、この短期間で幾度も進化を重ねる俺を当然雌だと思ったらしい。


 鱗族の雌の特徴として、雄よりも身体が大きいと言う特徴があるが、俺は未熟児として生まれていた為身体の大きさに関しては小さい事が普通と思っていたそうだ。因みに雄の生殖器に関しては繁殖可能なまでに成長してから発達するらしく、鱗の一枚より小さかったりする。なので成体前の鱗族は尻尾の太さや身体の大きさで雌雄を判断するそうだ。

 

 母に悪気は無かった事が分かったので、俺は一先ず怒りの矛を収めた。

 

 『なぜだ、なぜあそこまで騒ぐのだ? 性別を間違えられた程度だろうに?』

 「……俺は、学生―――人間の子供の頃、よく性別を間違えられていた。それで多少、まあ、過剰に反応してしまうのだ。許してほしい」

 

 認めたくはないが、中学までの俺は背丈もそれほど高くは無く、顔立ちも中性的で髪を伸ばしていた。そのせいか良く女性に間違われていたのだ。

別に間違えられる位は別に良かった。いい気分ではなかったが、それだけだ。

 俺の中で問題は何故か町中などで男にナンパされた事だ。想像出来るだろうか? 大して親しくも無い……どころか初対面の男に急に肩を組まれたり、砂糖を吐きそうな言葉を耳元で囁かれたり、酷い奴だと尻を撫でまわして来る馬鹿も居た。異性ならともかく同性のそれは拷問に等しい。

 因みに俺の尻を撫でまわした馬鹿は偶然通りかかった警官に捕まっていた。ざまあみろだ。

 

 そんなこんなで俺は女性扱いには過剰に反応してしまうのだ。今は女性では無くて雌扱いか。

 友人の白石レイアはその事でからかって来るのだ。正直、勘弁してほしいな

 

 『そこまで怒る程の事か? まあ、これからは間違えんよ』

 「そうしてくれ」

 『では、これから再びお前に知識を与えようか。……と言いたいところだが、アマツ、一度産卵部屋に帰るがいい』

 

 ここで言う産卵部屋とは、俺の生まれた場所……俺が巣と呼んでいる場所の事だ。

 そこに帰れとは一体どういう事なのだろうか。俺を帰さない為にわざわざ出入り口を水晶の壁で塞いでいるのに。

 一度、と言うからにはまた帰ってこいという事だと思うが?

 

 『お前の……「友」だったか? アレが面白い事になっている。見て来ると良い。』

 「面白い?」

 『先ずは行ってこい。行けば分かる。ああ、それとお前の友とやらをここに連れてこい。ついでに鍛えてやる』

 

 むぅ? 良く分からないが、友の様子は気になっていた。

 別に俺と会うまで一人で―――一匹で生きていたのだろうから俺が居なくなっても普通に生きていけるだろうが、友の心配をするのは普通の事だ。多少なりとも俺に懐いている様だしな。

 久しぶりにあの極彩色の芋虫の姿を見たい。だが連れて来いとはどういう事だろうか?

 まあ、母にも考えがあるのだろう。ここはひとつ母の言う通りに行動してみよう。

 

 『言っておくが、帰ってこなかったら私自らお前を追いかけてやるからな。逃げるなよ、殺すぞ』

 

 脅しの様な言葉は聞こえなかった事にする。

 

 『では行ってこい』

 

 母の言葉と共に、出入り口を塞いでいた水晶の壁が砕けるでも崩れるでもなく、空気に溶けた様に消える。

 聞いてはいたが、実際に目にするとやはり驚く、魔法の効果だな。

 

―――――


 今まで、煌びやかな水晶と巨大な竜の存在する空間に居たため、少し寂しげに思える洞窟の通路。

 生まれたての頃は致命的だった冷たい地面と空気も、今や命には関わらない。まあ、それでも真冬に半袖短パン程度には寒い。いや、正直に言う、超寒い。

 

 早く巣に行きたいが、走るのも嫌なのでゆっくりと歩いて帰る。

 今歩いているのは丁度蝙蝠の番と戦った場所だ。壁に生えた苔に、時折顔を出す大きなダンゴムシ。それがひどく懐かしい物に感じる。

 

 二足歩行になったお陰で今まで届かなかった高さの苔に手が届く。俺は壁の苔に手を伸ばすと毟り取って口に運ぶ。少し前まで美食と言っていいほど美味い物を喰っていたが、それでもこれはこれで美味い。苦味が口直しの効果をしているのかもしれないな。

 そうだ、確かこの苔は友の好物の様だった。ならばこれを手土産にしようか。数日も開けて手ぶらでは格好がつかないからな。

 そうと決まれば苔を乱獲する。細かく毟ると持ち運びが不便なため、ゆっくりと出来るだけ大きく苔を剥がしていく。

 

 苔の裏からポトポトとダンゴムシが落ちては丸まるので、それをつまみながら苔を剥がす。

 前はひどく甲殻が硬く、一度潰してからではないと食べる事が出来なかったが、今ではそのまま口に入れてもそのまま噛み潰せる。水晶蟹の甲殻と同じ程度の堅さだが、今更だが水晶蟹の甲殻と同じ程度の堅さを持つとは、ダンゴムシなかなか優秀な防御力を誇っているな。

ダンゴムシは大きいので一口サイズとはいかないが、二口で食える。片手間で食べるにはなかなか丁度いい。

 

 『【ランクアップ】によりスキル【薬効】【成長促進】【丸虫の甲殻】を獲得しました』

 『≪最適化しますか?≫』

 

 ……うん。そんな感じはした。

 ダンゴムシは分かる。だが植物である苔を喰っても【ランクアップ】は発動するんだな。

 まあ、取りあえず苔を毟る片手間でスキルの内容を確認しようか。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【薬効】

 傷を癒す薬の性質を秘める。

 微量な毒を解毒出来る。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ……微量な毒を解毒? それ、もっと早く欲しかった。

 これが有れば魔蠍の尻尾を喰う事が出来たしれないのに……、まあ過ぎたことはしょうがないけどな。

 …………いやまてよ? これはもしかすると俺自身が薬の様な体質になったと言う事か? つまり、俺を喰った生き物の傷を癒したり、解毒をしたりするのだろうか? だとすると殆ど意味を持たないスキルに思えるのだが……。後で母に確認するか。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【成長促進】

 生物の成長を早める。

 老化も早まる。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ―――これは苔の成長速度が速いという事を表しているのかもしれない。老化も早まる様だし、しっかりデメリットもある辺りが難儀だな。素直に喜べない。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

丸虫まるむしの甲殻】

 丸虫が身を守る唯一の手段。

 強固な甲殻で身を守る

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ……。

 なんだか、俺が【ランクアップ】で得られるスキル。防御関係に偏り過ぎではないだろうか?

 俺が今欲しいのは攻撃手段なのだがなぁ。まあ、貰えるだけあり難いのだ。あまり文句は言うまい。

 

 それにしてもこの苔、【薬効】を手に入れたという事は薬の様な効果があるのか?

 むぅ、あるにしても即効性のある物、もしくは効果の高い物では無いありふれた植物である可能性もある。だが念のため、苔を全部取るのは今後しない様にしよう。気休めでも、無いよりはましな筈だ。

 ほっといても増えるだろうし、ダンゴムシの住処でもあるしな。ダンゴムシの排泄物が苔の肥料になっているという事も考えられるな。

 と言うかダンゴムシ、丸虫って名前なのか。安直すぎるだろう。いいな。

 

 両手で抱えられる限界の量の苔を抱えて俺は再び通路を歩む。念のため苔を掌から触手を生やし、触手で苔を縛る。強く縛ると解くのがめんどくさくなるが、触手は【自切】で切り落とす事が出来る事も確認済みなので問題ない。

 

 帰路を歩いている途中、天井に張り付いた大蝙蝠を見かけたが、大蝙蝠は俺に襲い掛かる様な真似はしなかった。むぅ、少しだけ残念だ。

 

 


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