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LEGEND COLLAR~色彩の英雄~  作者: 水晶 蜻蛉
青の章 蒼鱗の蜥蜴人 編
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青の章 第53話 苦行な修行

今話は戦闘のおさらいの様な話となっています。

青の章 第53話 苦行な修行

 

 『【ランクアップ】によりスキル【キチン質の硬質甲殻】【蟹の守り】を獲得しました』

 『≪最適化しますか?≫』

 『最適化が完了しました』

 『【キチン質の硬質甲殻】は【蟹の守り】に統合されました。【蟹の守り】は【硬質鱗キチンスケイル】になりました』

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【キチン質の硬質甲殻】

 キチン質の甲殻を硬質化する

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【蟹の守り】

 甲殻族の一部が持つスキル

 物理攻撃を一定の割合軽減する

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 これがこうなる。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

硬質鱗キチンスケイル

 キチン質の鱗を生成し、防御力を上昇させる。

 解除すると生成した鱗は本体から外れる

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 俺の傷がスキル【再生】により完治するまでの数日間、俺は寝ている間に白蜥蜴の部屋にいつの間にか運び込まれていた巨蟹と水晶蟹の死体を全て・・平らげた。

 巨蟹と水晶蟹は俺が白蜥蜴に合う前に倒していた物で、俺が勿体ないと思っていた事に感づいた白蜥蜴がサプライズとして俺へ与えてくれたのだ。

 俺の寝ている間に出入り口を塞ぐ水晶を取り除いて、【眷属生成】のスキルで生み出した生物に運ばせたらしい。恐らく玩具である俺が隙を見て逃げださない様にと白蜥蜴が考えていただろうという事については、あえて考えない様にする。

 

 因みに白蜥蜴は魔法で生み出された水晶は、効果が切れるか白蜥蜴自身が消そうと思うと跡形も無く消えるらしい。

 確かに白蜥蜴との戦闘で部屋中に生み出された円錐状の水晶や、飛び道具として使っていた鏃状の水晶はいつの間にか欠片残さず姿を消している。

 

 運んで貰ったとは言え、元々は俺が仕留めた獲物。俺は遠慮なく全て平らげた訳だが、【ランクアップ】の効果で新たにスキルを得る事が出来た。

 【キチン質の硬質甲殻】と【蟹の守り】。どちらもつまるところ身体を硬くして防御力を上げるスキルパッシブスキルの様だ。それが統合されてアクティブスキルである【硬質鱗キチンスケイル】を手に入れた。


 試しに【硬質鱗キチンスケイル】を使ってみたが、俺が本来持っている鱗の上に更に鱗を生み出す能力の様だ。結果俺は一時的に二重の鱗で身体を覆う事が可能になったわけだ。解除と念じると生み出した鱗は剥がれ落ち、地面に転がった。

 キチン質とは俺の知識が正しければ不溶性の食物繊維だった筈だ。

甲殻類や昆虫の甲殻はこのキチン質で出来ており、故に堅い。不溶性と言うのは人間の消化器官では消化できないって事だな。

 試しに剥がれ落ちた鱗を口に入れてみると、全く噛みきれない程ではないがやけに堅い。元から生えている鱗よりも確実に硬いだろう。

 全力で噛めば砕ける程度だが、それでも水晶蟹の甲殻よりは堅い。いつも俺の食べない部分を食べてくれる芋虫が居ないので、俺が甲殻まで食べたのだが意外に食べる事が出来た。まあ、鱗も甲殻も味が無いので、美味しくは無かったけどな。

 

 この数日であった出来事は、新たに【硬質鱗キチンスケイル】と言う自分の身を守る手段を手に入れた事、白蜥蜴にこの世界の知識を教えられた事、そして俺の傷が完治した事位だ。

 

 『よし、アマツキの傷は癒えた。知識も与えた。後は実際に身体を鍛えながら知識を得るがいい。準備はいいか?』

 「むぅ。嫌な予感しかしないが、初めてもらって構わない。母よ」

 

 ああ、変わった事と言えばもう一つあったな。

 いつまでも「我が子」と呼ばれるのは何だか落ち着かないので、俺には「天月」と言う名前があるという事を伝え、名前で呼んでもらっている。

 白蜥蜴……話を聞くと蜥蜴ではなく「亜竜」と言う竜の仲間らしい。

竜、ファンタジー作品の代表的な生物と言うイメージだな。蜥蜴とか言って正直申し訳ない。実際巨大な蜥蜴と言うより竜として見れば妙にしっくりと来る。蝙蝠の様な羽が生えている大きな蜥蜴が竜と言うイメージだったのだが、羽(正確には翼と呼ぶらしい)を持たない竜はそれなりに居るらしいとの事。また一つ賢くなった。


 竜と分かればいつまでも白蜥蜴さん等と呼ぶわけにもいかず、名前を聞くと「無い、必要も無い」と言う言葉が返って来た。では「白竜はくりゅう」とでも呼ぼうかと尋ねると「母」と呼べと言われたので、俺は現在白蜥蜴の事を母と呼んでいる。

 

 俺はこれから母に身体を鍛えると称した暇つぶしに付き合わされる。まあ、俺としては別に母と言う強大な存在に鍛えて貰えるのだから文句は無いのだが、頭に響く母の声が妙に楽しそうな雰囲気を滲ませているので俺としては嫌な予感がして仕方ないのだ。

 だからと言ってこんな絶好の機会を逃すわけにはいかない。

 

 「それで、身体を鍛えるとは何をすればいい? 走り込みか? それとも母と模擬戦でもするのか?」

 『アマツキには今から私のスキル【眷属生成】で生み出す者達と戦って貰う。実戦に勝る経験は無いからな。私はそれを見てお前に足りない事を指摘するだけ。直接手は出さんよ』

 

 ああ、また水晶蟹や巨蟹を相手にするのか。

 

 『勿論生み出した者たちは遠慮せず殺してしまって構わん。倒した者たちが今日のアマツキの餌だ』

 「おお、それはやる気が出るな」

 『まずはおさらいだ。【眷属生成・水晶蟹クリスタルクラブ】』

 

 俺の目の前に一匹の水晶蟹が現れる。地面から生えて・・・来る様な登場―――誕生? する光景はどうにもなれないな。

 

 『試しにスキルを使わずに倒して見せろ』

 

 今更一匹の水晶蟹――本当はクリスタルクラブと言うらしいが、リハビリはちょうどいい相手か。

 

 愚直に突進して鋏を振るう水晶蟹。それをステップするように軽く避け、隙だらけの水晶蟹の脚を一本掴み、力ずくで引きちぎる。

 俺に向き直った水晶蟹が鋏を突き出して来たので、二本とも掴んでやる。直後水晶蟹の口元に泡の様な物が見えたので、鋏を思い切り引っ張りその上で顔面を踏みつける。

 水が全開の蛇口の口を無理やり塞いだように四方に水泡を飛び散らせながら、ばたりとその場にひっくり返る水晶蟹。今の衝撃で鋏の付いた腕が根元から抜けてしまった水晶蟹は背中の水晶が重く起き上がれない様だ。

 近寄って見ると頭部にヒビが入っており、体液が漏れている。蟹に痛覚は無いだろうが、獲物を痛めつける趣味は無いのでもう一度、今度は胴体部を踏みつけて止めを刺す。母の言いつけ通りスキルは使用していない。

 

 『流石に余裕か』

 「と言うか、一匹だけなら蜥蜴人に進化する前でも十分相手出来た。コイツ等に対して警戒すべき点は集団で囲まれない事とブレスを吐く隙を与えない事だろう。余り連携が取れてはいないが、やはり数の暴力と言うのは恐ろしい物だ」

 『次の相手だ、【眷属生成・晶甲羅蟹クリスタルキャンサー】。こいつもスキルなしで仕留めて見せろ』

 

 ボリボリと鋏を甲殻ごと手早く口に運びながら、次の相手を待つ。どうせ甲殻も食うのだから、わざわざ中身を取り出す必要はないと今更気が付いたので甲殻ごとだ。

 巨蟹を喰った時は身を全て甲殻から取り出して食べていたが、もっと早く気が付けばあんなに大変な思いをしなくて良かったのにな。

 因みに巨蟹の味は水晶蟹より濃厚で、なかなかに美味だった。ポン酢で食べたかった。

 

 っと、噂をすればお次は巨蟹だ。いや、晶甲羅蟹クリスタルキャンサーだそうだが……クラブとキャンサーって同じ意味だよな? いや、クラブが蟹で、キャンサーが……鋏だっけか? 英語は苦手なんだがなぁ。

 

 出てきて早々、俺に自身のつめを真っすぐ向ける晶甲羅蟹。この動作は覚えがある。

 すぐさま俺は蟹の直線状から退避する。直後俺の居た場所を今の俺の身長ほどあろう巨大な鋏が猛スピードで通過する。

 この攻撃は絶対に当たれない。掠っただけで大きなダメージを負うだろう。幸いスピードだけは母の……【水晶宮の鏃クリスタル・アロー】だったか? 水晶製のやじりを打ち出すアレの方が圧倒的に早い。

 注意していれば避けるのはそれほど難しくない。

 

 晶甲羅蟹相手に距離を置く必要は無いと考え、全速力で距離を詰める。

 打ち出した鋏を回収途中の晶甲羅蟹の元に付くと、腕から伸びている鋏と繫がっている筋の様な物を爪で思い切り引掻く。堅いゴムを切った様な感触が伝わり、それだけで晶甲羅蟹は鋏を一つ失った。

 

 続いて俺の胴体よりも太い晶甲羅蟹の脚を爪で攻撃してみるが、残念ながら甲殻に僅かな傷が入っただけ。流石にそう簡単には倒せないか。

 

 俺を踏み潰そうと振るわれる脚を回避しながら、背後に回り込む。

 水晶蟹と違い、晶甲羅蟹は水晶を背負ってはいない。それがどういうことかと言うと、背中を攻撃すればダメージが期待できるという事だ。

 スキルを使わない様に言われているので、前転で勢いをつけた尻尾を晶甲羅蟹の背中に叩き付ける。だがこちらも思ったより効果が見られない。


 現在の俺の尻尾は母に食いちぎられる前よりも細くなっている。

 腕はほぼ元の太さ(と言っても見比べれば確かに細くなっている)で元に戻ったのに、何故尻尾だけ細くなったのかと母に聞いたところ、俺や母の様な生物の尻尾は栄養を溜め込む為に使われる器官でもあるらしく、つまりはこの状態が本来の状態であるらしい。母によれば十分以上に食事をすれば、尻尾に余剰の栄養が蓄えられ太くなるらしいが、現在の俺は【再生】にエネルギーを消費し過ぎたせいで余剰の栄養などほぼ無い状態。なので尻尾は控えめに言って骨と皮だけの状態との事。つまり以前より軽すぎて威力が出ないのだ。

 

 振り向いた晶甲羅蟹の股下を四つん這いで潜り抜け、再び後ろに回り込む。

 基本的に前方にしか攻撃手段が無い晶甲羅蟹だが、俺もコイツの背中にはスキルなしでは効果的な攻撃が出来ない。脚を狙うとしてもかなり時間が掛かる上に踏まれる可能性が高く、つまりは出来る事がほぼ無い。

 

 有用な攻撃手段を考えていると、ちょうどいい物が視界に入る。

 

 俺は打ち出され、晶甲羅蟹から切り離された巨大な爪へ走り出す。

 当然晶甲羅蟹は走り出した俺に向き直るが、晶甲羅蟹よりも俺の方が圧倒的に素早い。

 直ぐに鋏の元までたどり着き、鋏から伸びている筋を掴む。そこからハンマー投げの要領で回し始める。視界の端で晶甲羅蟹が俺に向けて残った鋏を向ける姿が見えたが気にせず回し続ける。

 身体と垂直になるほど浮いた鋏を晶甲羅蟹に向け投げる。目の前には既に発射された爪が迫ってくる。このままでは胴体に軌道の鋏に対して、回避は間に合わないと判断し、腕をクロスさせ体制を低くする。

 車にでも聞かれた様な衝撃が身体を走り、少なからず目が回っていた俺は足の踏ん張りが効かず簡単に吹き飛ばされる。

 

 それでも以前受けた時よりもダメージは軽い。意識もはっきりしているし、鱗の何枚かは何処かへ飛んで行った様だが、骨も折れていないし、傷と言えば腕の肉が少しばかり削げ落ち血が滴っている程度。

 直ぐに起き上がった俺が目にしたのは、俺の投げた鋏が頭部から生えてのたうち回る晶甲羅蟹の姿。

 

 俺は回収されずに腕から伸びたままの鋏の筋を爪で切り、再び、今度はゆっくりと狙いを定めながら爪を投げる。今度は運悪く胴体に鋏が突き刺さった晶甲羅蟹は少しだけ弱弱しく痙攣した後、二度と動く事は無かった。

 

 しかし、二度もあんな巨大な鋏を命中させられるなんて、的が大きかったのもあるだろうが、俺にはハンマー投げの才能があったのかもしれないな。

 

 そんな馬鹿なことを考えながら、俺は巨蟹の身体にかぶりついた。

 

 うん、やっぱり美味いな! ゴマダレで食べたい。


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