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LEGEND COLLAR~色彩の英雄~  作者: 水晶 蜻蛉
青の章 水晶洞窟の主 編
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青の章 第50話 再生

青の章 第50話 再生 

 

 『最適化が完了しました』

 『『触手操作』は『触手生成』に統合されました。『触手生成』は『蜥蜴人の触手』になりました』

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

『蜥蜴人の触手』

 蜥蜴人の触手。

 力は無いが、自在に動く触手を生成出来る。

 生成時に多くのスタミナを必要とし、その量は触手の大きさ強度に比例する。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 触手が生やせるようになった様だ。

 ……まあ、生やせるようになったからどうなのだ? とは思うが。全く使えないという事も無いだろう。用は使い方次第だ。

 それよりも問題は……。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

『再生』

 自身の身体の損傷を回復する。

 部位欠損も回復する。

 傷を治すのに大量のスタミナを消費する。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 おお、しっかりと『再生』を獲得出来ている。

 ステータスを確認するとどうやら『再生』はパッシブスキルの様だ。つまりいちいち発動しなくても自動で発動するという事だろう。

 

 『どうだ、『再生』のスキルを得たのか?』

 「むぅ? ああ、無事獲得出来たよ。お陰様でな」

 

 そうか、俺としては頭の中に声が響くのは慣れたが、これは俺にしか聞こえない声なのだよな。白蜥蜴には聞こえない事を意識しなければいけなかった。俺の言葉に白蜥蜴は一度大きく頭を下げて元の位置に戻す。頷いたらしい。

 

 『そうか、ならば次はこれだ『眷属生成・軟毛蜥蜴』』

 

 そう言うと白蜥蜴は新たに大量の軟毛蜥蜴を作り出す。

 白蜥蜴の足元から次から次へと飛び出してくる。その数恐らく五十は超える。小さな体躯の軟毛蜥蜴とは言え、これだけの量だと少しばかり恐怖を覚える。

 軟毛蜥蜴達は俺の周囲を囲む様に位置取り、じっと俺を見つめてくる。

 

 「……この状況はなんだ? すこし怖いのだが」

 『『再生』は傷を治す代わりにスタミナを消費する。スタミナとはつまりエネルギー。ならば腹に何か入れねば回復はしない。お前は重傷だからな。そこにいる眷属共を食い尽しても足りんやもしれん』

 「……なるほど、つまり血肉を作るのにも元が無ければ作りようが無いと言う訳か」

 『そういうことだ。……約束を守るためだ。その傷が癒えるまで食事の面倒も私が見よう』

 

 あり難い。この身体では狩りに行くことは出来ないからな。ついでに白蜥蜴の説明も簡潔で分かりやすい。

 お言葉に甘えて俺は目の前の軟毛蜥蜴から順に口に運んでいく。

 一匹一匹が小さいので、食べる時間はそれほどかからないが、次から次へと同族が食われていくのを見ながら、殆ど微動だにしていない軟毛蜥蜴は少し不気味だ。死の恐怖等は感じないのだろうか? それとも、恐怖はあっても白蜥蜴の意思が絶対とか?

 

 …………。

 ……。

 なるほど、『再生』は俺が思っていた以上のスキルだ。

 獲得して小一時間。既に出血は収まり、細かな傷口は塞がった。

 流石にまだ腕は生えないし、大きな傷も残ったままだ。剥がれた鱗も生えてはいないが、幾つかの場所では真新しいピンクの皮膚にくが覗いている。

 これは、本来なら数日掛かる結果だろう。それが小一時間。恐ろしい。

 もちろん代償もある。

 

 とんでもなく腹が減るのだ。

 スキルを得るために軟毛蜥蜴を十匹程食った時には腹七分目程だったのに、スキルを得てから強烈な空腹を覚えた。

 既に五十匹程いた軟毛蜥蜴を全て平らげたが、それでも足りず追加で生み出してもらった五十匹も既に半分以上食べた。なのにまだまだ腹が減る。まるで胃の底が抜けてしまった様に全く満腹感が感じられない。

 恐らく自分の体重の数十倍の量を喰ったのに、流石にこれは異常だろう。

 

 『どうだ? 少しは腹が満たされたか?』

 「いや、まだだ。全く満腹にならん。普通はこれ程腹が減るものなのか?」

 『どうだろうな? 私が尻尾を生やす時は大体……失った尻尾の数倍の量の肉を喰えば十分だな。まあ、私は大柄で尻尾も太いからその分必要なエネルギーも多い。お前は尻尾だけではなく前脚も失っているからあまり比較にはならんがな。それにまだお前の『再生』の効果は低いだろう。『再生』は傷を癒せば癒す程早く、効率よく傷を癒せる様になる。今のお前では少しばかりその辺の経験が足りないのだろう』

 

 ああ、そういえばスキルも使えば使うほど強力になるのだったな。スキルが強化されればより少ない食料で回復できると言う訳か。

 この世界で生き抜くには、そういった事も常に意識しなければならないな。

 ……強く、ならなくてはな。

 

 ……そういえば、俺―――俺達がこの世界に生まれ変わった目的。

 女神達を助けると言う目的。そのための情報収集をこの辺でしておいた方がいいだろうか? 色々知っている白蜥蜴の事だ、もしかすると女神に関する手掛かり等を持っていても不思議はない。

 

 「なあ、白蜥蜴さん。聞きたい事があるのだが」

 『なんだ? 私はそろそろひと眠りしようかと思っていたのだが?』

 「それは悪い。まあ、答えるのは後でいいから質問だけ聞いてくれないだろうか?」

 『……お前とて睡眠を取らねばならんだろう。『再生』の回復にはエネルギーを使う。睡眠を取らねば余計体力を消耗するだろう。……しかしまあ、話くらいは聞いてやる。手短に済ませろ。』

 

 恐らく欠伸なのだろう。口を大きく開けながら答える白蜥蜴は、笑った時と同じく怖い。何よりその鋭い牙に俺のものと思われる血が付着しているのが怖い。

 

 「あー、じゃあ手短に。女神の封印されている場所って知らないか?」

 『…………? 女神?』

 

 ああ、流石にファンタジーな世界でも神だの女神だのを探しているってなかなか信用されないか?

 普通に考えて俺の元居た世界じゃあ変人扱いだな。もしくは狂信者とか。白蜥蜴に警戒させてしまったか?

 

 『どの女神だ?』

 「……むぅ? ……どの? えーっと、ヘルヘイムとユグドラシルって名前の女神なんだが」

 『……ああ死と月の女神と生命と大地の女神がその様な名前だったな……。私が生まれる前に姿を隠したと聞いたが……封印されていたのか』

 

 どうやら白蜥蜴は女神達についてある程度知識を持っているらしい。

 

 『しかし、私とて忘れかけていた神々の名。何故お前が知っている? 神の名だけではない。お前が回復してから聞こうと思っていたが、何故お前は生まれたばかりでそこまでの知恵を持ち合わせている? 会話も滑らかに言葉も豊富に、私を傷つける事すら可能にしたその知恵を』

 

 ……まあ、気になるよな。確かに俺は前の世界……前世の記憶を有している。それが無ければ生まれてからここまで命が幾つあっても足りなかっただろう。

 

 白蜥蜴には俺の事をしっかりと話した方がいいかもな。

 少し話しただけでも、何となく嘘や迂遠な言い回しを嫌っている性格が分かる。もし協力を得るなら、正直に話す事が一番だろう。よし、それがいい。

 

 「分かった。俺の事について語ろう。まず俺は此処とは別の世界、異世界? で人間と言う生き物として生まれ育ったのだ。だがある時―――」

 『ああ、待て。その話は長いのだろう? ならば睡眠が先だ』

 

 そう言うと白蜥蜴は犬の伏せの様な格好で眠ってしまった。

 

 なんとも言えない形で自分語りを中断させられた俺は、数秒天井を見つめた後白蜥蜴に倣って眠る為に目を閉じた。

 

 

 やはり俺はカッコつかないなぁ。


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