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LEGEND COLLAR~色彩の英雄~  作者: 水晶 蜻蛉
青の章 水晶洞窟の主 編
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青の章 第48話 賭けの結果

青の章 第48話 賭けの結果

 

 この世界に生まれてから気絶する頻度が多過ぎるな。

 ……普通の人って人生で何回くらい気絶を経験するのだろうな? 病気とか交通事故とかでもない限り、そうそうしないと思うが……、ああ、あと過労とかか。

 

 目を覚ました俺の目の前には真っ赤に輝く宝石……の様な目をした白蜥蜴だった。

 むう、どうやら最後の賭けには勝ったみたいだな。と言うか近いわ。生暖かい鼻息が掛かるから少し離れてくれよ。

 

 「よう、白蜥蜴さん。元気かい?」

 『……』

 

 むぅ? 寝起きにしてはなかなかフレンドリーに対応出来たと思ったのだが、どうやら白蜥蜴さんは不機嫌な様だ。爬虫類の表情は読めないが、何となく睨まれているのが分かる。少なくとも上機嫌ではないな。

 

 「……ん?」

 

 白蜥蜴に話しかける言葉を選んでいると、不意に身体の痛みが思っていてより少ない事に気が付いた。

 不思議に思い首を動かし自分の身体を見ると、倒れている俺の身体に白い毛玉の様な物が数塊、俺の身体を覆い隠すように乗っかっている。

 不思議と重さを感じないそれらは微妙に動いている様に見える。

 白蜥蜴にこの毛玉について尋ねようとすると、不意に頭の中に声が響く。

 

 『……るか?』

 「むぅ? 聞こえないぞ? なんて言った?」

 『元気に見えるか? お前には私が元気に見えるのかと聞いている。我が子よ』

 「少なくとも今の俺よりは元気だろう?」

 

 謎の毛玉に覆われて身体が見えないとは言え、左腕が無い事は感覚で分かる……いや感覚が無いから分かると言うべきだな。身体は少し力を入れるだけでなかなか耐え難い痛みも感じるし、貧血のせいか頭がボーっとしている。

 対して白蜥蜴は右前足の、四本ある爪の内一本がひび割れているだけ。既に傷は癒えているのか出血は止まっているが、乾いた血がこびり付いている爪を見て先ほどまでの戦いはなかなかにハードだったと思い返される。

 

 『聞かれる前に答えておこう。今お前の身体に触れているのは「軟毛蜥蜴レザーリザード」私の『眷属生成』で生み出した生物だ』

 

 ほう? これも白蜥蜴が生み出した生物なのか。てっきり蟹しか出せないのかと思っていたが、違ったのか。

 考えてみれば眷属って手下とか配下みたいな意味だったな。なら蜥蜴の方が眷属としてはしっくりくるか。

 ……と言うか、これ蜥蜴なのか。毛が生えている爬虫類など初めて見たが……、やはり異世界ならではの生物なのだろうな。レザーリザードね……。

 

 「直訳で皮の蜥蜴? どちらかと言えば毛の蜥蜴って感じだけどな?」

 『そいつらの身体から生えているのは体毛ではない。表皮が発達した触角だ。触角には血も通っているし千切れれば痛みも感じる』

 

 へぇ、神経まで通っているのか。面白い生物だな。よく見れば滅茶苦茶小さい目の様な物がちらちらと触角の間から見える。……案外可愛いかもしれないな。

 試しに右手で撫でてみると触角らしい物を俺の指に絡めてくる。触角と言うより触手だな。手触りはなんと言うか……生のパスタって感じだ。

 

 「なかなか愛嬌があるな」

 『愛嬌? ……愛嬌があるかは知らないが、なかなかに使える。特に暖を取るのにはいい者たちだ』

 「ああ、かなり暖かい」

 

 重さも殆ど感じなく、それでいて暖かい。羽毛布団といい勝負だ。先ほど意識を取り戻したばかりだと言うのに、睡魔に負けて再び意識を手放しそうだ。眠たい……。

 

 『我が子よ、お前に聞きたい事がある』

 「むぅ、どうぞご自由に」

 『我が子よ、お前は賢いと思ったが実は頭がおかしいのか?』

 「かっはっは……随分と辛辣な質問だな。仮に俺の頭が本当におかしかったとして、少なくとも本人に聞く事ではないよな?」

 

 普通に答えただけなのにまた睨まれた。

 

 『確かに、お前の力は認めよう。私に血を流した相手は、この姿に進化してからは数度。全て格上か同格。蜥蜴人にしては規格外の力だ。しかし、私に傷を付けた結果お前は半死半生、このままでは死が待っているだけの状況だ。これではお前は勝ったとは言えないだろう? なぜ無様に命乞いをしなかった? 誇りか? 信念とやらか? それともただの意地か?』

 

 『……まあ、確かに? 約束通り私の身体に傷を付けたお前に思わず止めを刺しそうになったのはすまなかったが……』なんて小声で話しかけてくる白蜥蜴。

 

 「別に何も考えないで死に掛けていた訳じゃないさ」

 『ほう、何か考えがあったのだな? それを聞かせろ』

 「賭けをしただけさ」

 『賭け……?』

 「俺の賭けは三つ、一つはある程度余力を残したまま倒れて、白蜥蜴さんが隙を見せるのを待つ」

 『……腕を切り落とされても、動かなかったのは演技か。だが、油断なく私がお前の首をねていたらどうしたのだ』

 「その時は殺されていただろうな。だから賭けって事だ。二つ目は白蜥蜴さんが俺の尻尾の渾身の攻撃を「最後の悪足掻き」だと勘違いして、結果俺の爪狙いの攻撃を許してしまう事だ」

 『自らの尻尾を犠牲にしたあの攻撃か。てっきり私の目を狙ったものだと思ったが』

 「まあ、そう思うだろうとは思っていたさ。目つぶしされてからは白蜥蜴さんの顔狙いの攻撃への警戒心は傍から見ても高かった。それを利用したのさ」

 『爪を狙ったのは?』

 「あー、正直そこ位しか狙い何処が無かっただけだ。そもそも爪ってのは柔らかい肉から生えているのだから、爪が割れればそこに付いている肉も裂けるだろ? 鱗を引っぺがして傷を付けるよりも効果的だ」

 

 鱗を剥がした位じゃ血が出ないのは自分の身体で検証済みだ。実際俺の腹の鱗が総ざらいになっても血は殆ど出て無かったしな。

 

 「それに、白蜥蜴さんはあの時地面に足を付けていただろう? 爪も地面に軽く刺さっていた」

 『……ああ』

 「物を壊すとき、固定されていると言うのは重要だぞ? 首と繫がっているとは言え殴っても衝撃を逃がされていた可能性が高い……首と言うのは存外不安定だからな。その点、地面に固定されている爪なら地面と挟んで攻撃することで衝撃を逃がさず伝えたって所だ」

 

 例えるなら、食材を切る時手で持って吊るしてある状態で切るよりも、まな板の上で切った方が切りやすいという感じだ。

 

 『……何となく原理は理解した』

 

 それは良かった。もっと詳しく説明しろと言われても俺の不出来な頭では難しい所だった。

 

 『それで、三つ目の賭けとは何だったのだ。先ほどお前は三つの賭けと言った。だがお前は二つしか述べておらん』

 「ああ、それはな」

 

 別に勿体ぶる必要も無い話なのだが。

 

 「三つ目の賭けは、今のこの状況だよ」

 『? 状況?』

 「今俺は生きているだろう? それに白蜥蜴は俺に暖を取らせる為にスキルまで使っている」

 『……なるほど、私が約束を守らずお前を殺していた可能性もあった訳だ』

 「まあ、白蜥蜴さんは話して見た感じ、しっかりとした芯がある感じだったから、あまり心配はしていなかったさ。俺があのまま死んだら「命は奪わない」って言葉が嘘になる。不意打ちを否定する様な奴が嘘を付くとは思わなかったよ」

 『……それでもよく、相手に命を預ける様な真似が平気で出来たものだな』

 「ま、命を預けるのは慣れていたってだけだ。かっはっはっは」

 

 特に真っ赤な髪をした馬鹿には良く殺されかけたものだ。間接的にしろ直接的にしろ、な。

  

 「そう言えばご褒美がどうのと言っていたな。それは何なんだ?」

 

 白蜥蜴は見逃してやる云々の時にご褒美をくれるとか言っていたな。その時は気にしていなかったが、ご褒美とは何だろうか? 珍しい食い物とかだろうか? そうだったら嬉しいが。

 

 『そうだな、ご褒美は約束通りくれてやる、しかしその前にお前は傷を癒さなければならん。そのままでは一日と掛からず死ぬぞ』

 

 ああ、やはりそうか。正直これだけの重傷で未だ意識がある事は奇跡だろう。

 だが、どうやって俺の傷を癒すと? 白蜥蜴はそう言う……所謂傷を治す回復魔法とやらが使えるのだろうか?

 

 『その前に一つ聞いておく。お前、他の生物の力を自分の物にする力を持っているな?』

 「ああ、持っているよ」


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