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LEGEND COLLAR~色彩の英雄~  作者: 水晶 蜻蛉
青の章 水晶洞窟の主 編
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青の章 第44話 洞窟の主の考察

青の章 第44話 洞窟の主の考察

 

 私の種族名は「地竜ちりゅう亜種あしゅ」。

 本来地竜とは、大地との相性が良く魔法により岩石や砂塵を操るすべに長けている。

 しかし私は水晶との相性が良く、岩や砂の代わりに水晶を操る事が出来る。故に通常とは異なると言う意味の「亜」を頭に冠して亜地竜。

 

 そして、本来地竜は黄土色の体色であり、亜地竜は灰色の体色が常である。しかし、私は卵から孵ったその時から【白色個体アルビノボディー】と言うスキルを持っている。

 【白色個体アルビノボディー】とは、日光や病気に弱くなる代わりに魔法の扱いに長けるというもの。

 生まれたばかりの頃は日の下を歩けず苦労したが、進化を繰り返し存在おのれが強化されていくにつれ、同族よりも優位な存在になる事が出来た。今では同族の地竜が相手でも、苦労せず勝利出来るだろう。

 

 しかし、いくら進化しようと、力を付けようと日の光は私には敵でしかなく、最近では殆どの時間を洞窟で過ごしている。

 数年前にさいきん見つけたこの洞窟は、地熱が高い場所が何か所かあり、良い住処なわばりとなると見て私自ら洞窟を広げた。お陰で面倒な物も見つけたが、卵も育ちやすく私も心地よいこの場所は私の住処となったのだ。

 

 初めの内は、私の住処を汚す不届きな者おもちゃたちが時折来訪して来たが、最近ではそれも無くなった。何もする事の無い洞窟だが、夜の外に出るのも億劫に感じ、自身のスキルを使って暇つぶしを始めた。

 

 私は『産卵』のスキルで、つがいが不在でも私は卵を産む事が可能である。まあ、生まれるのは鱗族の中でも最下位の存在である蜥蜴リザードのみだが。

 産んだ卵から生まれた蜥蜴の中には、稀に私の様な亜種が生まれる事がある。そんな個体が生まれたら、そいつを観察して暇つぶしでもしようと、毎年適度な数の卵を産んでは観察する事を繰り返していた。

 

 そして『水晶写し』のスキルで私は自分が作り出した水晶の映す映像を見る事が出来る。

 それを利用し、水晶を背負った水晶蟹クリスタルクラブ等を生み出す事の出来る『眷属生成』のスキルを身に付け、日々水晶に映っていた映像を見て過ごしていた。

 

 『産卵』で産んだ卵が孵った時、産んだ本人である私にはそれが伝わる。

 ある日、まだ時期でもないのに卵が一つだけ孵ったのが分かった。

 定期的に生まれる未熟者がまた生まれたと分かったが、それだけの事で水晶蟹に命じて見に行かせるのも面倒だった。……どうせ洞窟から出る事も叶わず、餌も食えず飢え朽ちる個体の様子等、見たくはない。つまらない。

 

 そしてそのすぐ後に、私の住処に侵入者が来た。

 外の森に棲む森蝙蝠フォレストバットかと思ったが、魔法で水晶を洞窟の入り口に生み出して見てみれば、子鬼ゴブリンの子供だ。三匹いるが、別段変わった個体も居ない。

 それらは私が卵を産む産卵部屋に向かうのが分かった。

 

 どうしようかと思ったが、別に卵を守りに脚を運ぶのも、子鬼の子供を殺すのにわざわざ水晶蟹に命じるのは面倒だった。

 何より、卵ならまた産めばいい。私にとって価値があるのは希少な個体のみ。いくらでも産み出せる子供に興味など無い。この時、脳裏に未熟者が生まれた事を思い出したが、だからどうすると言う考えはなかった。

 

 しかし、幾つかの卵が無くなる反応があったが、その後卵が無くなる事は無かった。半分は子鬼に食われたと思うのだが、なぜ他の卵が食われなかったのか分からない。

 子供とは言え、食欲旺盛な子鬼が三匹も居て十数個の卵を食い切れない訳がない。

 

 興味が湧いて、眷属の水晶蟹を産卵部屋に向かわせようとしたが、何やら一匹の子鬼が私の居る部屋まで、迷

い込んできたではないか。水晶蟹に片腕を捥がれても必死に私の部屋に入ってきたが、正直どうでもよかったので目の前に来た瞬間に踏みつぶした。

 しかし、不幸な事に勢いよく踏みつけたせいで少しではあるが、子鬼の肉片や血液が私の水晶コレクションに飛び散ってしまったのだ。

 

 そして不機嫌になった私は水晶蟹に泡でコレクションを洗う様に命ずると、不貞寝した。

 

 暫くして、水晶蟹を待機させて置く為の部屋に、蜥蜴が迷い込んできた。

 なぜ私の部屋に水晶蟹を置かず、わざわざ別に部屋を作ったのか? それは、単純に鬱陶しいからだ。私が命じなくても、奴等は自分で食事や各々好き勝手に動き回る、その気配のせいで安眠出来なかったので、仕方なく水晶蟹用の部屋を作ったのだ。

 

 水晶蟹は石や岩を食って背中の水晶を成長させ、水晶に貯めた魔力で生きる為、比較的大人しい生物だ。

 だが決して、ただの蜥蜴に負ける程弱くはない。しかし実際、蜥蜴は水晶蟹を狩り自らの糧にした。

 その後、蜥蜴は何故かわざわざ重い水晶を剥がさずに水晶蟹を産卵部屋まで運んだ。その行動の意味は分からないが、水晶が運ばれたと言う事はつまり、私は運ばれた水晶からその蜥蜴の生態を観察する事が出来ると言う事を示す。

 

 ……暫くの観察の結果、蜥蜴は蜥蜴の上位種、大きさは通常の蜥蜴と変わらない事から大蜥蜴ではなく、堅鱗蜥蜴辺りだろうと予想できた。しかもよく見れば鱗は鈍い青色を放ち、瞳まで青い。

 青い蜥蜴の亜種など初めて目にしたが、亜種なら特別なスキルがあっても不思議ではない。その特別なスキルで水晶蟹を倒したのだろうか?

 

 しかし、私は産卵部屋の様子を見て、久々に自身の驚きの感情を感じ取った。

 

 産卵部屋には恐らく蜥蜴が倒したのだろう、蛇の骨があったのだ。

 骨の大きさから見て、外の森よりさらに離れた場所である湿地帯、そこに生息する大蛇辺りの骨だろう。しかし大蛇が縄張りから離れてこの洞窟まで来たというのは考えにくい。恐らくは死んでアンデットとなった個体が、不貞寝している間に迷い込んで来たのだろう。

 

 死した生物が一定の条件を満たした場合、その死体が生きた・・・としてアンデットとなる。アンデットは生前の生物より知能や力は劣るが、疲れを知らない。大抵はただ気まぐれに他の生物を襲うだけの存在だ。

 また知能の低下により縄張り意識などは無くなるので、大蛇がこの洞窟に来るよりアンデットの骨大蛇が来たと考える方が自然だ。ただそれだけでは驚くに値しない。

 

 問題はそれを生まれて間もない蜥蜴、もしくは堅鱗蜥蜴が打ち倒す? 確かに本来の大蛇よりは弱くなっているとは言え、それほどの事を成し遂げるのはどれだけ困難か。第一骨大蛇の骨は相当な強度を誇っていた筈だが……。

 無論私には大蛇も骨大蛇もただの餌でしかないが、水晶蟹共では十匹単位で相手をせねば相手にもならぬ程度には力を持つ。

 

 骨の大蛇の残骸それ以上に異彩を放っているのは蜥蜴と共に食事をしている虫。アレはこの辺りでは非常に珍しい彩芋虫ルケー

 滅多に地上に顔を出さず、他の生物の食べ残しや草花ばかり食べている非常に臆病な虫だった筈だが……蜥蜴に懐いて時折じゃれている様子からは想像し難い。

 

 もしやあの蜥蜴、他の生物を調教し従えるスキルを持っているのか? ……しかし、骨大蛇を倒した方法も分からんし、本当に興味が尽きない。

 

 そして私は蜥蜴の本当の実力を見てみたくなり、『眷属生成』で私が生み出せる眷属の中で二番目に強い「晶甲羅蟹クリスタルキャンサー」を生み出し、更に少し多めに水晶蟹を生み出して水晶蟹の待機部屋に押し込んでおいた。

 少しやりすぎかと思ったが、我が子とは言え興味深いと言うだけの蜥蜴が死のうが別に気にならない。ただこれで死なない様なら、暫くは私の暇つぶしに使えるかもしれない、そう思ったのだ。

 

 ―――そして、本当に私の眷属を全て退け、蜥蜴は生き残った。しかも、眷属を倒して得た経験値でレベルアップし進化までした。

 生まれた当初は蜥蜴だった筈が、この短期間に何度も進化するなど普通はあり得ない。どんな修羅場を潜り抜ければ生まれて二十日程で蜥蜴が蜥蜴人になると言うのだ。これは―――いい、いいぞ、我が子の中でも稀に見る強さ。奴が、奴さえ居れば暫くは退屈な日々を過ごさなくて済みそうだ。

 

 私はとうとう我慢できずに、蜥蜴人を私の部屋に招いた。我が子が本当に私の退屈しのぎになるか、本当に我が子として扱うに相応しき強さを有しているか確かめよう。

 真に強き者であった時は―――ああ、楽しみだ。楽しみだ。失望させてくれるなよ?

 


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