青の章 第32話 ご馳走との遭遇
青の章 第32話 ご馳走との遭遇
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ネーム-クライ アマツキ
種族 堅鱗蜥蜴
レベル 10
スキル-パッシブ
暗視
水氷弱体化
寒冷弱体化
青ノ魂
蜥蜴の鱗
蜥蜴の爪
筋力上昇
スキル-アクティブ
尾の重撃
尾の瞬撃
尾の転撃
咢の一撃
自切
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食糧事情を考えて、結局は現状維持が最善と判断した日から更に一日後。狩りに今日は洞窟の外でも探索するか、洞窟の言ってない場所を探索するか。そんな事を考えながら自分のステータスを確認すると、レベルが一つ上がり、スキルが一つ増えていた。
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筋力上昇
筋力を上昇させる。
筋肉の総量が多いほど、上昇率が上がる。
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まあシンプルだ。
分かりやすくて助かるな。
このレベルアップと新たなスキルは、日頃の特訓の賜物だろう。
実際、前にステータスを確認した時から今まで、一度も戦闘行為をしていない。勿論他の生物も倒していない。だがレベルが上がっているという事は、今の特訓でも経験値とやらを得る事が出来る証明だろう。
努力が実るというのは、なかなかにいい事だ。気分が良くなる。
そんな理由で俺は少し上機嫌になっていた。
今俺は、外界へ通じる道とは違う洞窟の通路を歩いている。初めて来る場所なので、警戒しながら進む。辺りを警戒しているが故に移動速度はいつもより少し遅い。
それにしてもこの洞窟はどういう経緯で出来たのだろうな?
自然に出来た物にしては、どうも通路は大体一定の広さがあるし、坂道も無い。何者かが意図的に掘った感じがするのだが、……お、開けた空間に出たな。
…………、むぅ。
一瞬、息をするのも忘れるほどの光景。
しかし、この前初めて外界の景色を見たときとは別の意味で言葉も出ない光景だ。
洞窟の開けた空間は、俺が拠点として使っている巣の数倍の広さがある。巣のようにドーム状だが、天井は巣よりも低い。
そんな空間に、奇妙な生物が居たのだ。
一見すると蟹、それも一mサイズの蟹だ。薄い灰色の蟹。まあそれだけなら、骨しかない蛇やドラゴンを見た後では、ここまでの驚きはなかっただろう。
しかしこの蟹、背中から水晶の様な物を生やしているのだ。
もう一度言う。蟹は自分の体と同じくらいの水晶を生やしている。背負って、ではない。明らかにあれは甲羅から生えている。少なくとも俺の目にはそう見えるのだ。
そんな蟹が十匹以上、ぞろぞろと歩き回っているのだ。
……普通であれば、なぜ蟹が水気のない洞窟に、とか、どういう理由で水晶らしきものが生えているのか、とか、こんな大きな蟹が十匹以上いるのだから一先ず様子を見るか、もしくは引き返そうと思うのだろう。
しかし、今の俺にはそんな事、どうでもよかった。
俺が息をするのも忘れたのは、巨大な蟹に気圧された訳でも、生えている水晶らしきもの……もう水晶でいいか、水晶に言葉を失ったわけでも、そんな存在が十匹以上いる事に危機感を覚えた訳でもない。
ただ、蟹と言う存在が、俺の中の食欲を大いに刺激した結果、一瞬頭の中が蟹を食いたいと言う思いで埋め尽くされただけである。
蟹、蟹だ。前の世界ではそれほど高頻度で食べることはなかったが、間違いなく俺の好物の一つであった蟹。
刺身で食っても、茹でても、汁物でも、鍋でも、米と炊いても美味い。不味くする調理法が思いつかないぐらい美味い食材。
そう、蟹は生で食っても美味いのだ。
ゴブリンや蝙蝠の肉も、別に食えないぐらい不味い訳ではない。食える範疇だ。しかし、それでも生肉。
生で食える美味い肉も前の世界ではいろいろあったが、やはり火を通した方が美味いものが多かった。
ゴブリンの肉はどうなるのか微妙だが、蝙蝠の肉は絶対に火を通した方が美味いであろう確信がある。火を起こせる手段ができたら、調味料が手に入ったら、ぜひとも調理して食ってみたいと密かに思っていたのだ。
そこに来て蟹。生で食っても美味い蟹。
これはもう食うしかないだろう! 十匹以上いる蟹も、脅威ではなく食べ放題にしか俺の目には映らない。
「ジュルリ……」
しかし、だからと言って蟹の群れに突っ込むほど冷静さを失ってはいない。流石に初めて目にする相手に、何の策もなく突っ込むのは賢くないからな。
溢れ出る唾を飲み込みながら、どうやって蟹を食う……狩るか考える。
一先ず、蟹の行動を観察してみよう。出来れば一対一の状況を作り出したいのだが……。
……体格は俺と同じくらい。スキルを使えば勝てるか?
いや、勝つのだ。勝って、何が何でも食ってやる。
この世界に来て、一番テンションが上がっている事を自覚しながら、俺はその興奮を抑えて、水晶を生やした蟹の観察を始めた。
ああ、ああ、早くその甲羅の内側に隠された身に食らいつきたい。
漸く出て来たグルメ要素……。




