青の章 第22話 第二ラウンド
骨蛇戦が長くなってしまったので少しの間投稿間隔を狭めます。
戦いは勢いが大事ですからね。
青の章 第22話 第二ラウンド
「ギャアアアグァアアアアア!!」
自分がこんな鳴き声の動物に出会ったら、まず逃げるだろうな。そんな咆哮だが、聞こえているのか聞こえていて無視をしているのか、骨蛇は全くのノーリアクションで突き進んでくる。そんな骨蛇に向かって俺も走り出す。
噛みつき攻撃が出来ない状態の骨蛇を倒すには絶好の機会―――とは思っていない。
骨蛇との距離が縮まり、俺の尻尾の攻撃範囲に骨蛇が入りそうになったところで俺は走るスピードを上げ、骨蛇の脇を通りすぎた。
蛇の攻撃手段にどのようなものがあるか? そう聞かれたら俺は二つしか答えられない。「噛みつく」と「締め上げる」だ。
まあ、蛇の身体の作りからして、これ以外の攻撃は難しいだろう。体当たりするにしても、人間からすればアナコンダの様な巨大な蛇の体当たりでもない限り、害は少ないだろう。フウタが昔見せてきた、アナコンダの出てくる映画では、人間がアナコンダの尻尾で串刺しにされていたが、蛇の尻尾が人間に刺さる訳がないだろう。
映画の話は今はいいか、前世の常識で考えるならこれでいいだろう。噛まれないように、大きい蛇なら絞められないように注意する。
しかしここは異世界。今戦っているのは骨の蛇。前世の常識が通じるとは思わない。
だからこそ、俺は決着を焦らず相手を観察することにした。
もしかしたらフウタの見せてくれた映画の様に、あの骨蛇は尻尾で俺を串刺しにしてくるかもしれない。あの尖った骨ならそれも可能だろう。実際の骨蛇の攻撃レパートリーにそんな攻撃があるかは別として、相手は全身が骨なのだ。あのスピードの蛇の骨が、それも尖っている先端部分などは、掠っただけで皮膚を裂かれるかもしれない。
いくら鱗が進化によって堅くなったとはいえ、その堅さを骨蛇で試そうなんて考えは、無い。
ならば、できるだけ相手の行動パターンを読むに限る。蝙蝠の様にワンパターンな行動であれば楽なのだが、などと思いつつ、すれ違った骨蛇の様子を振り返り確認すると、目を見開くに十分な光景がそこにあった。
舞い上がる砂、砂浜の様な地面に深くめり込む骨蛇の頭部。
攻撃の瞬間を見たわけではない。しかし今目にした光景がすべてを物語っている。
骨蛇は、ハンマーの様に自らの頭部で俺を殴ろうとしたのだろう。
どんな攻撃方法だ。予想外にもほどがある。頭をハンマー替わりって、そんな攻撃方法キリンぐらいしかしないだろう!
文字通りの意味で、骨蛇は全身を武器として使いそうだ。これは本格的に、フウタの映画で見たような攻撃方法もあり得るかもと思えてくる。嫌な予想ほど当たるものだなぁ。
骨蛇は自身の攻撃が躱された事を気にした様子もなく、方向転換をして再び突進してくる。
むぅ。どうやら骨蛇は骨だけのくせに―――骨だけだからこそか? その骨格に合った蛇のような動きしか出来ない様だ。関節ごとに可動範囲があるのだろう。方向転換の際に骨蛇はわざわざ少し放物線を描いた軌道を描きながら向かってくる。
俺は次の骨蛇の行動に注意を払いながら、骨蛇をどう倒すのか考えを巡らせる。
骨蛇が再び自らの頭部を地面に振り下ろす。骨という見た目から軽そうな印象を受けるが、体重はともかく、一撃はかなり重い様だ。舞い上がる砂の高さがそれを証明している。
骨蛇は移動時と攻撃時はかなり素早い。しかし攻撃した後はかなり大きな隙ができる。
俺はひとまず弱点を探るため、未だ攻撃していない箇所を攻撃することにした。正直弱点を探すよりも僅かとはいえヒビの入った頭部を攻撃したいところだが、リスクが高く感じられたため、別の場所を攻撃したほうがいいと考えたのだ。
肋骨に放った『尾の一撃』はあまり効果がなかった。頭部は論外。ならば次に狙うべきは……。
「グギャァァ」
咆哮とともに骨蛇の脊椎―――背骨に向かって『尾の一撃』を放つ。
先ほどはバク天宙返りとともにこのスキルを放ったが、今回は隙を小さくするために地に足をつけたままの一撃だ。下から掬い上げる様に放たれた俺の尻尾は、しっかりと骨蛇の背骨を捉え、蛇骨の全身をほんの少し揺らした。
が、おそらくダメージは入っていない。骨蛇の背骨が攻撃を受けた瞬間、しなやかにしなってしまったため、衝撃が逃がされたのだろう。骨蛇が再び頭部を振りかぶって来たので、距離を取る。
しかし単純な移動速度は骨蛇の方が早いため、すぐに追いつかれてしまう。
そこで次は骨蛇の体に纏わり付くような近距離で、骨蛇の攻撃を避けつつ反撃をする事にした。
逃げても追いつかれるなら逃げなければいいだけの話だ。
意外にもこの戦い方は正解だったようで、骨蛇の体の中間辺りに張り付いていれば、骨蛇の攻撃は避けやすい。
骨蛇の攻撃が届かなくなるわけではないが、攻撃の勢いが落ちたのだ。
締め付けて攻撃してくるかとも警戒していたが、何故か骨蛇は頭部や尻尾を振り回すだけだった。
少し余裕が出てきた俺は、『尾の一撃』だけでなく、『咢の一撃』や爪による攻撃も行った。『咢の一撃』の威力は意外に強く、俺の胴体よりも太そうな背骨に牙を立てると、僅かではなるが浅く歯形が残った。爪による攻撃も効果はあるようで、『咢の一撃』よりも傷は浅いが、効果が無いわけではない。
しかも幸運と言えばいいのか、骨蛇は何度も何度も頭部を地面に打ち付けているうちに、僅かだったヒビが広がり、とうとう下顎が乾いた音を立てて割れ、地面に落ちた。いつの間にか芋虫の糸も切れていたが、その事に骨蛇は気が付いていなかったようだ。
よく見れば骨蛇は残った一本の牙さえ、いつの間のにか失っていた。しかし上顎だけになっても骨蛇は執拗に頭部での攻撃をやめなかった。
俺の方も無事とはいかず、一度だけ骨蛇の尻尾の攻撃を受けてしまい、一撃でかなりのダメージを受けてしまった。鱗が丈夫になったおかげか、皮膚が裂けたりといったことはないが代わりに丸太で殴られたような衝撃により危うく意識を失いかけた。ついでに吐きかけた。
そしてついに、ひときわ大きな音を立てて骨蛇の背骨が折れた。
牙や爪で与えた小さな傷に、折れる際に放った『尾の一撃』の衝撃に耐えられなかったのだろう。骨蛇は文字道理、真っ二つに折れてしまった。細かな骨の破片が宙に舞い、二つに分断された骨蛇の身体が俺のすぐ傍に落ちる。
達成感で一瞬気を緩めそうになったが、骨蛇の頭部のついている方の体が未だに動いていることに気が付いた。
しかし、一瞬勝利を予感した俺は反応が遅れ、骨蛇の横に頭部を薙ぎ払った一撃を受け、巣の壁に体を打ち付けてしまった。あまりの衝撃に
どうやら戦いは続行の様だ。第三ラウンドが始まった。
筆者は映画館にはあまり行きませんが映画は好きです。
特に訳の分からないクリーチャーと人間の戦いが好きですね。まあ、今話はクリーチャーVSクリーチャー何ですけどね。




