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LEGEND COLLAR~色彩の英雄~  作者: 水晶 蜻蛉
青の章 誕生の洞窟 編
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青の章 第21話 異形の白いお客様

今年もインフルエンザが流行っていますね。皆様も体調には気を付けて、よく食べよく寝て毎日健康に生活しましょう。

青の章 第21話 異形の白いお客様

 

 巣に一つしかない出入り口。そこから乾いた何かを引きずるような音が聞こえてくる。

 音は次第に大きくなり、俺の中で緊張感が高まる。

 

 先ほどまで俺に甘えてきていた (もしくは俺で遊んでいた)芋虫は、心なしか普段よりも体を縮めている気がする。

 しかし、いつもの様に砂の中に潜る様子はない。まさか戦うつもりだろうか?

 もしかしたら芋虫は俺よりも格上の存在なのかもしれないが……。普段の様子からは戦う姿など想像できないな。

 

 俺は芋虫を守るように、芋虫の前に立ち、四肢に力を込める。流石に友を敵前に立たせるほど、俺は友達がいの無い奴ではないのだから。

 

 そして、ついにお客様は我が家(巣)に到着したようだ。

 

 

 …………。

 むぅ。……どうしたものか。

 

 俺はてっきり、ここに近づいてくるのは敵、餌、友好的な生物のいずれかだと考えていた。

 まあ、それぐらいしか可能性として考えられなかったからな。それに友好的な生物など、可能性として考えていただけで本当に来るとは思っていない。野生はそんなに甘くない。

 

 ……しかし結果はどうだろう? あれはどれに該当するのだろう?

 いや、そもそも生物―――に当てはまるのだろうか?

 

 死体に該当する気がするのだが?

 

 骨。そう骨だ。

 白くて、丈夫で、ほとんどの生物はそれを肉と皮膚で覆っているであろう骨。カルシウムの塊。物によっては良い出汁が取れる骨。

 

 その骨が動いているのだ。いや、骨は動く物だ。筋肉などの働きでな。

 しかし骨が単体で動くことはない……と俺は思っていた。

 

 しかし目の前のこれはなんだ?一切肉や皮の類が見られない、内臓もない純粋な骨。

 それも、巨大ながそのまま白骨化したような―――というかそれそのものだ。その筈だ。

 

 しかし骨蛇は確かに動いている。瞳の無い空洞は俺の方を向いている。

 理解が追い付かない。もしかして手品の類か? 誰かがどこかでマリオネットの様に、糸を引っ張って操っているとか?

 

 そんなことを考えているうちに、骨蛇はまさに蛇のようなうねうねとした動きで近づいてくる。そのスピードは意外にも早い。

 

 俺は混乱を頭から追い出す。

 一先ず、骨蛇に友好の意思はないらしい。ならば殺す―――いやもう死んでいるなら、倒すが正解か。倒すだけだ。残念ながら倒しても骨なので肉にありつくことができない。モチベーションが上がらないが仕方がない。

 

 骨蛇は蛇そのものの動きで鎌首を擡げ、噛みついてくる。ちらりと見えたが骨蛇の口内には立派な牙が上顎と下顎に二本ずつ生えている。まさか毒など無いよな?

 

 俺は咄嗟に横に跳ぶ……暇もなかったので転がった。真横で骨蛇の口が勢い良く閉じる音は酷く耳障りだ。

 移動も早いが、噛みつく時のスピードは更に速い。危うく噛まれる所だった。

 

 転がった体勢を立て直しつつ、『尾の一撃(テイル・アタック)』を放った。

 

 『尾の一撃(テイル・アタック)』は骨蛇の肋骨に当たり、しかし、肋骨を少し揺らす程度の影響しか与えなかった。

 

 効果がないと分かると、一旦距離を置こうとして気が付く。骨蛇の頭部が、俺ではなく芋虫の方を向いていることに。

 俺が骨蛇の攻撃を避けた事で、俺の後ろにいた芋虫が骨蛇の標的になってしまった。骨蛇は芋虫に向かって大きく口を開けた。

 芋虫は動かない。

 

 ―――ガチンと、堅いものが衝突する音が洞窟内に響く。

 

 しかし、芋虫に傷はなく、俺にも傷はない。

 唯一傷を負ったのは骨蛇だ。

 

 骨蛇の顎は上顎も下顎も僅かにヒビが入り、上顎についている立派な二本の牙の内、一本は折れて地面に転がっている。

 

 あ、危なかった……。

 咄嗟の行動で意識してやった訳ではなかった。何とか芋虫を守ろうと骨蛇に向かって走りだし、バク天宙返りの様な動きで跳びながら、勢いそのままに『尾の一撃(テイル・アタック)』で尻尾を思いっきり蛇の脳天に叩き付けたのだ。

 進化前はこんな攻撃、出来る筈もなかった。どうやら進化による身体能力の上昇はかなり大きい様だ。

 

 更に驚いたことがもう一つ。

 現在骨蛇の頭部には細い糸がぐるぐるに巻かれており、それはさながら狂犬が噛みつかないように口に装着する器具の様であった。

 もちろん糸を巻いたのは我が友、芋虫だ。

 

 芋虫は俺が骨蛇の頭部に一撃を入れた瞬間、それを見計らった様に口から糸を吐き出し、そしてそのままぐるぐると骨蛇の顎を封じてしまったのだ。もしかしたら芋虫はこの状況を狙っていたのかもしれない。

 

 芋虫の真意はどうであれ、結果的に俺たち二匹のコンビネーション (偶然)により、骨蛇の攻撃手段を一つ減らせた訳だ。

 

 骨蛇は数秒俺の一撃を受けたままの体制で動きを止めた後、何事もなかったかのように頭部を持ち上げた。

 予想はしていたが、痛みなどは感じないらしい。

 

 骨蛇はそのまま、今度は俺に向き直るが、口元をもごもごとさせた後、急に頭部を煩わしそうに左右に振ったり、地面に擦り付けたりし始めた。どうやら顎が開かない事に気が付いた様だな。

 

 痛みは無くとも感覚はあるという事か?

 

 この隙に、芋虫が地面に潜り始めたのを見て、俺も一旦距離を取ることにした。

 芋虫が逃げたのか、それとも追撃をするために一旦身を隠したのかは知らないが、どちらでもいい。芋虫は良くやってくれた。

 

 そういえば芋虫は骨も普通に食べていたな。

 日頃お世話になっている芋虫に、特大のプレゼントでもあげるか!

 

 さあ、|仕切り直し(第二ラウンド)、始めるか。

 

 骨蛇は顎を開けられない事を諦めたのか、再び俺の方を目掛け、体格に似あわないスピードで進んでくる。

 

 その際、部屋の中央にある卵の密集地の脇を骨蛇は通ったが、卵に興味を示すことなく俺に向かって突き進んでくる。卵に興味がないのか、俺を殺すことの方が骨蛇にとって優先順位が高いのかは分からんが、取り敢えず芋虫の心配も卵の心配もいらなそうだな。

 

 「ギャアアアグァアアアアア!!」

 

 進化の影響か、余計に可愛げのなくなった声で咆哮しながら、俺は地面を蹴った。

 

 


はやいものでもう今年も残す所一カ月。

目指せ今年中に1000PV!!

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