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LEGEND COLLAR~色彩の英雄~  作者: 水晶 蜻蛉
青の章 誕生の洞窟 編
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青の章 第10話 説明の女神

説明回です。

青の章 第10話 説明の女神


「それじゃあ、先ずはアマツが聞きそびれたレベルやスキルとかの説明から始めよう!」


 元気いっぱいのヘルちゃんはやたら大声でそんな宣言をする。

 実際の歳など知らないが、その様子はまるで子供が自慢話を友達にしている感じがあり、大変微笑ましい。


「はい!」


 すぐさま説明が聞けると思っていた俺に、ヘルちゃんが胡座をかいた状態で自分の太もも辺りを叩く。

 ?内心首をかしげる。

 よく俺のイーターに来る八百屋のおっさんが友人と話すときに、話始めに自分の膝を叩く癖があったが、それみたいなものか。

 と、一瞬俺は思ったが、どうやらそれは違ったらしい。

 ヘルちゃん、一向に話始める気配がない。


「はい!」


 いや、なんなのだそれはいったい。


「カモン!」


 カモンじゃなくて……。

 なんだ、まさかとは思うが、俺にそこ―――ヘルちゃんに膝の上に座れってんじゃないだろうな?


「イエス!」


 先程から何で英語を使っているんだ? じゃなくて……、勘弁してくれ。確かに生まれたてと言うことを考えれば赤子の様なものかもしれないが、中身は二十過ぎた成人男性なんだよ。いい歳して女の膝の上は恥ずかしい―――


「ハイハイ、ごちゃごちゃ言ってないでここに座ろうね~、ははっ、鱗すべすべ~、……ああ、いい、いいね~」

 

 俺はいつの間にか伸びて来た両手を背中に回され、腹を上に、背中に腕を回された状態で抱き抱えられてしまった。

 たぶん第三者が見たら、赤ん坊を抱える様な体勢にされていると思う。どこかうっとりとした様な可愛らしい声が頭上から聞こえて来る。

 っく、かなり恥ずかしいぞこれ!!

 何でそんなに口元を緩めてる? 何で頭を撫でる? 何でそんなに嬉しそうなんだよ!?

 あれか? もしかしてヘルちゃん、爬虫類大好きっ娘か? そう言えば前世でも居たな、なーの友達で蛇とか飼って首に巻いてる写真を見せてきた女の子! あれと同類か!?

 

「えぇ~、蜥蜴は可愛いけど、蛇は気持ち悪いから嫌いかな~。えっへっへかっわいい~」


 俺には足の有無以外に見た目の違いが分からんが!? 

やめい! 頬擦りすんな! すごく恥ずかしいから!


「ハイハイ、照れ屋さんだね~。……まぁ、これ以上は君達が僕たちを助けてくれた後の楽しみにとっておこう~っと、じゃあ、スキルとかの説明始めようか~」

 

 これ以上!? これ以上とは何だ!?

 俺の心の中の抗議には触れず、ヘルちゃんは構わず語り出す。


「えっとね~最初は簡単な……、レベルかな。これはその個体がどれだけ成長しているのかを指すものだよ。成長と強さの目安って考えた方がいいかも。わかるかな~?」

 

 こっちの話を聞く気がないなら仕方がない。俺は黙ってヘルちゃんの話を聞く。どうせこれからあの世界を生きるためには必要な知識だ。バカな俺に分かりやすく説明してくれるなら、願ってもないことだろう。


「このレベルは、経験を多く積むことで上がっていくんだよ~。普通に生きているだけでも少しずつ上がっていくけど、より強い生物を殺したり、たくさん鍛練をするといっぱい上がるよ~。レベルが上がるとね、それによって取り込んだ経験値―――むこうでは魔素(まそ)って言うんだけど、それによって身体が強靭に作り変えられる訳だ。」

 

 むぅ、要は強い生物を殺したり、筋トレとかした分、強くなるのだな。当たり前の事に聞こえるが、身体が作り変えられる……か。修羅場を経験して精神的に強くなるのではなくて、物理的に身体能力が上がると言うのは俺には理解しがたい概念な。まあ、理解できなくとも納得するしか無いのだが。


「でもね、その生物ごとに強くなれる上限は決まっているんだ~。まあ、あの世界ではその上限の振り幅は君達が居た世界より大きいと思うけどね。」


 ふぅん、例えるならどれだけ猫が強くなっても、ライオンより強くなれない、そういう事だろう。


「うん、その理解で合っているよ。ただ、君達の世界と違って、猫はライオンになれる、それ以上にもね。生物として急速に変異出来る。これを進化と言うんだけど、レベルが上限まで成長した個体は、その個体に延び代があれば、上位の生物に進化できる。まあ、すべての個体が進化できる訳じゃないから、あまり期待するものでもないけどね」


 進化できる……ね。まるでゲームだなぁ。レベルとかスキルとかのステータスとか、よく風太郎フウタが実況しているゲームの設定で、頻繁に聞く言葉だ。フウタが、俺の店に来て『個体値が~』とか『変数が~』とか話しているのを聞く。風太郎あいつが食事中に仕事の話をするわけがないから、あれらは全てゲームとか、もしかしたらパソコン関係の言葉の筈だろう。


「ははは、うん、僕はゲームと言うのは分からないけど、でも僕たちの喚んだ人たちの大半は、この説明をすると揃ってゲームみたいって言うよ。叶う事なら僕もいつか体験してみたいね」


 まあ、普段ゲームをしない俺が説明されてそう思うのだから、大抵のゲームに触れた事のある奴は理解出来るだろうな。

 

「次! 次はとーーーーーっても重要な、スキルのお話しだよ!」

 

 なんだ、急に大声出して。二人しか居ないのだから大きな声は必要ないだろうに。


「スキルと言うのはね、僕達の世界において場合によってはレベルよりも大切な要素となっているものだよ! アマツに分かりやすく説明するなら才能とか特殊能力とかかな? どう? ピンと来た?」


 ……スッゴい特技と言った所か?


「まあ、うん、別にその認識でもいいか……、僕達が君達を喚んだのもどちらかと言えばスキルだね」


 むぅ? そうなのか、じゃあ魔法見たいなものか?


「いや、厳密に言えば違うね。……うーん、どう説明したものかな? ……スキルはその個体に影響を及ぼすもので、魔法は世界の法則に影響を及ぼすものかな? まあ、この説明だと結構な数の例外はあるけどね」

 

 個体? 世界? 


「まあそれは実際に使ってみればわかるだろうね。スキルについては、君の話を聴いた限りじゃもう使っているんだろう?」


 むぅ? 使った覚えはないが?


「『暗視』だよ。まあ比較的ありきたりなスキルの一つだね。ただ暗い場所でも視覚を失わないのは君の大きなアドバンテージだろうね。まあ、『暗視』は意識的に獲得しようとしたらかなり時間のかかるスキルではあるから、生まれてすぐ持っているのはいいことだよ」


 ああ、確かに洞窟の中であんなによく物が見えるのは助かった。あれがなければゴブリン共にあっさり食われていたはずだ。なるほど、この身体に元から備わっていた身体能力のお陰では無かったのか。


「スキルの中には常時発動している物が有るんだ、『暗視』がいい例だね。逆に常時発動していないスキルはスキルの名前を言ったりすれば発動できるよ、頭の中で念じてもいい。君の場合『尾の一撃(テイル・アタック)』なんかがそれにあたるね。『尾の一撃(テイル・アタック)』は尻尾を持つ生物が、尻尾を使って攻撃する際に攻撃をより強力なものにする、って感じかな?」


 むぅ、まあそういうものと割り切れば理解はできるな。納得できるかは別として。


「ははは、まあ君達の居た世界とは色々違いがあると思うけれど、こればかりは慣れてもらうしかないね」


 郷に入っては郷に従え、か。


「そうそうそれそれ! 意味は解らないけどたぶんそれで合ってるよ! 多分ね!」


 はぁ、やっぱりヘルちゃんは狂歌バカに似ているな。

 というか未だに俺はヘルちゃんに抱きかかえられたままなのだが、いい加減おろしてくれないだろうか。


「魔法はものすごく口で説明するのがめんどくさいから、もし君が魔法を使える様になったらまたここに呼ぶよ」


 面倒なのか、まあこれ以上難し説明は俺の出来の悪い脳みそじゃ理解できそうにないから、いいけどな。


「ふぅん? 魔法には興味ない? もしかしたら女の子の服の下が透けて見える様になるかもよ? お風呂覗けるかもよ? 惚れさせることも出来るかも?」


 ……ヘルちゃんは俺を変態だと思っているのか? 


「男はみんなけだものだって言うじゃん? 他の転移させた人も、魔法って聞くと男の子は比較的そんな事考えてたけどね」


 なわけあるか、そいつらは知らんが俺達はそんな下らない事に使おうなんて考えないだろう。


「ジンとフウタって人は?」


 前言撤回、俺と弟はそんな下らない事に使わないよ、もし使えてもな。


「見たくない?」


 いや、女の裸体が見たくないかと聞かれれば否だが、少なくとも俺はそういうのは合意の上でがいいな。


「正直だね~、ヘルちゃんはいつでもばっちこいだよ!」


 勘弁してくれ。本当に。


「あっはっは、まあ冗談じゃないけどこのくらいにして、レベル、進化、スキル、魔法……、まあ基本的な説明は終わりかな? ステータスは問題なく開けるみたいだし、一応戦闘も経験してる……、アマツは結構優秀だね」


 まあ、戦闘に関しては、前の世界ではいろいろ経験しているからなぁ。


「じゃあ、後はもし魔法が使える様になったらまたここに来れる様にしとけばいいか……。じゃあそろそろ時間もないし、僕たちを助ける為に馬車馬のごとく働いてね?」


 おいおい……。


「はは、冗談冗談、君はまだ幼体なんだから無理はしちゃ駄目。タイムリミットまではまだまだあるんだから、それこそ年単位で。しばらくは力を蓄えてね。たぶん君たちが考えているより、こちらの世界は厳しいよ」


 ああ、心配してくれてありがとう。そうだな、気長にやるさ。取りあえず目先の目標は生肉を調理して食える様になることかな。

 ……そう言えば、ヘルちゃん達を助けるって具体的には何すればいいのだ?

 その辺の話はあまり聞いてなかったが、封印とか言っていた記憶があるが、どこかの塔に閉じ込められているとか、遺跡の奥深くにとか、魔王の城にとかだったら手に負えない様に感じるぞ?


「ああ~、うん、それね……。実は僕たちもあんまりよく分かってないんだ。一応君達を通して、こっちでもいろいろやるけど、最終的に行動するのは君達だから……。まあとりあえずはどこにあるかも分からない僕たちの封印されている場所を探してね、封印されている場所の近くになったらこっちから連絡するよ」


 むぅ、よくわからんがそっちが指示を出してくれるなら、しばらくは力を蓄えるか。


「そうそう、それにこっちの世界での君達の生活基盤も整えなよ。君たちはもうこちらの世界の住民なのだから」


 ……そうだな、まあ衣食住整えるのも大事か。……ああ、蜥蜴だから衣はいらないのか?


「それじゃ他の人とも話をしなくちゃならないから、このあたりで今回はさよならかな?」


 ん、いろいろ教えてくれてありがとう、ヘルちゃん。


「僕たちから頼んだ事だからね、君達のこちらの世界での幸せを願ってるよ。ま、苦労は多いだろうけど」


 その言葉を最後に俺の意識は暗転する。

 








 ヘルちゃん、最後まで俺を抱きかかえたままだったな。


説明がしっかり伝わる様に文章を書くのは難しい。

筆者は人にものを教える事には向いていませんね。

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