第1話
記念すべき初投稿の第1話です。少しずつでも投稿していきたいと思っているので、お付き合い頂ければ幸いです。
「――あなたを、私の奴隷にするわ」
「……は?」
そこに居るのは、勝者と敗者だった。
この空間において勝者である――(外見からして8歳前後だろうか)幼い少女は、艶やかな薄浅葱色の長髪を敗者の鼻先寸前に垂らしながらそんな発言をしてのけた。
それに対して敗者である黒髪の少年――(こちらは10歳といったところか?)は、少女の発言に呆然としている。
そも前提として、何故2人はこんな内容の会話をしているのか。何故今2人がいる部屋はこんなにもボロボロなのか。何故2人は物理的な距離がこんなにも近いのか。
その疑問にお答えするには、時間を少し巻き戻す必要がある。
遡ること1年。10行ほど前に『勝者』と称された方その人である少女――アイリーカ・セメドリクは、勝ち組が確定している人生で7歳の誕生日を迎えようとしていた。
というのも、アイリーカの家は公爵家なのだ。すなわち、最も高い爵位の家の娘。
優秀な父と母の間に生まれ、出来の良い兄や姉を持つ人生が勝ち組でなくて何であると言えようか。
現にアイリーカは家族を愛し愛され、使用人や家庭教師にも好かれるような――どこにでもいる、ただの心の優しい娘だった。
――この、7歳の誕生日を迎えるまでは。
この国――ラセンステナにおいて、『7歳の誕生日』というのは非常に特別な意味を持つ。
どの国にも国教はあるもので、ラセンステナの国教は唯一神スタリクを称えるスタリク教だ。荘厳な神殿も首都にそびえ立っている。
さて、国民は7歳の誕生日を迎えた子供がいる場合、可及的速やかに神殿に連れていく義務がある。
それは何故か? ――『洗礼』と、『鑑定』があるからだ。
『洗礼』。言葉通り、行われるのは洗礼だ。スタリク教徒として、これからの人生を送るための儀式。いわば世話になる神へご挨拶をするようなもの。
その洗礼の場においてアイリーカ――私は、神にご挨拶をされていた。
ちなみに各話の文字数は私が『話に行き詰ったから今回はここで区切ろう!!!!!!!!!!』と思ったところで区切ってるのでバラバラになる予定です。
短かったら「あっこいつめちゃめちゃ行き詰まってんな?」と思ってくださいだいたいその通りです。ああほらえっと、ということで許してにゃん!!!!!!(許されない)(死刑)