異世界に来たらしい
光が収まって目を開けると、そこは教室ではなく、壁や天井に彫刻が彫られた、全く知らない部屋だった。そして、目の前には一人の美しい女性がいた。
「勇者様方、どうかこの世界を救ってください‼︎」
目の前にいた女性がそう叫ぶ。
「お前何言ってるんだ?」
「此処は何処なの⁉︎貴方は誰!」
「此処はランドリア王国、ランドリア城の部屋の中です。そして私はランドリア王国の第1王女、エルシア・フォン・ランドリアです。私が異世界からあなた方をお呼びいたしました」
「はぁ?という事は、此処は異世界なのか?」
「じゃあ、早く元の世界に帰してよ」
「残念ながら、あなた方を元の世界に帰す事は今の私には出来ないのです」
みんながざわめく。
「もう家に帰れないの?」
「勝手に俺達を呼んでおいて、帰せない?巫山戯んな‼︎やり残した事があるんだぞ⁉︎」
王女にみんなが怒る。王女は言葉責めにあってあたふたしている。すると、
「みんな一旦落ち着いて!僕達を呼んだのにも、きっと理由がある筈だよ!先ずは話を聞いて見よう!」
と、神崎君が呼びかける。神崎君の言葉でみんなが黙り込む。
「ありがとうございます、後の詳しい説明は私の父である国王がしますので、皆さん、ついてきて下さい」
そう言われたので、王女についていった。
◇◆◇◆◇
移動中、僕は気付いた事があった。
ーー"もう一人の僕"が全然話しかけて来ない。
確認してみたら、見事に寝ていた。ちなみに寝ているかどうかは何となくわかる。
それはともかく、異世界に来たんだから起こさなきゃいけないよね。
『おーい、黒也!起きてよー!』
黒也はもう一人の僕に付けた名前。
そしてこの会話は脳内で出来るので他の人に聞かれる事はない。
『起きて!おーきーてーよー!』
『ちょ、起きるから!今起きたから脳内で大声出すのやめろ!』
やっと黒也が起きた。
『で?何があった?』
『それがね・・・異世界に来ちゃった』
『はぁぁ?そんな訳…あっ本当だわ』
僕達は記憶や視界を共有出来る為、今記憶を見たのだろう。
『それにしても、厄介なものに巻き込まれたな』
『他人事のように言わないでよ。僕が望んで来たんじゃないんだから。それに巻き込まれたのは黒也も同じだよ?』
『まあ何とかなるだろ。そこらへんは王様の話を聞いてから決めればいい』
『それもそうだね。じゃあそろそろ会話やめるよ』
『何かあったら俺から話しかけるから、あんま驚くなよ?』
『分かった。じゃあね〜』
会話を終了してしばらくしたら、豪華な扉の前についた。
「この先に国王がお待ちです」
そして王女は扉の前にいたメイドに扉を開けさせた。
〈補足〉
白也の一人称は僕
黒也の一人称は俺
になっています。