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嘘のつけない君へ  作者: ぷりっつ
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真っ直ぐな快晴、ぽかぽかの水色、微笑みが綻んでいくチューリップ達、愛を乗せてキスする蝶々…………春。

俺はこの季節が好きだ。

この季節にこの公園で、こうして微睡むこの時間が、たまらなく大好き。

こうしてると、何も考えなくても何故か幸せなふわふわした何かに包まれていく気がする。

「ふぅ」

小さく息を吐いた。

ああ、ここが一番落ち着く。

そして、俺がこうしてこの季節に微睡みながら考えることは、今年も将来のことだった。

幼稚園のお制作で何を作ろう。嫌いな給食をどうやって完食しよう。友達がちゃんと作れるか。クラスで発表する遠足の作文を緊張しないで言う方法。中学で勉強について行けるか。高校はどこを受けよう。中間テストへ向けての勉強法。

そして、今年は………"将来何になろう"。

世界を見る目線が上になっていくにつれて、考えることがなんだか現実味を増して冷たいものになってきているきがする。

小さくて可愛い、夢に満ちたあったかいことを考えていたあの日の自分はどこへ行ってしまったのか。

いや、もしかしたら、どこへも行けなかったのか。

冷たくなってしまった心も世界も、一緒に包んで温度を上げてくれる何かが現れたりすることが、俺にもあるんだろうか。

俺はそんなことを考えながら、今日も微睡みに沈んでいく。

一番心地良い、一番好きな、一番虚しいこの季節。

望んでいた暖かさがすぐ近くまで訪れていることに、俺はまだ気づかない。

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