#6 「何もないのが特徴、か。最っ高だね!」
樹霊種のクエストの後。
何だかんだでもう日が沈みかけているのが窓から射す光からわかる。
そんなとき、二人の会話はこのように始まる。
「なんか……凄く変な感覚だった//」
サナ、否。アキがそう感想を述べ、だがさすがのナユナも苦い顔をする。
「(お、お手洗いに行った感想を言われましても……)」
「ところでさ、種族について教えてくれない?」
サナは話題を変え、ずっと気になっていた種族について訊ねる。
「帰ったら教える約束でしたね。承知しました。」
────種族には人類種、樹霊種、降龍種、紅魔種、狐人種の五つがある。
種族毎にそれぞれの特徴がある。
樹霊種は耳が長く尖っていて、全員金髪なのが特徴。コンという霊を従えていてそれを使って攻撃する。
降龍種は全員紫髪で、手の甲に刻印があるのが特徴。その刻印を使って龍を召喚することが出来るが、それにはオリハルコンという特殊な金属を触媒にする必要がある。
紅魔種は髪も眼も紅いのが特徴。種族の中で唯一魔法を使うことが出来る。
狐人種は狐の耳と尻尾が生えているのが特徴。非常に身体能力が高い。
「へー。で、人類種は?」
「えっと……」
そうサナから訊かれ、ナユナは少し目を逸らす。
「人類種は、何もないのが特徴……でございます。」
何もないのが特徴。皮肉な話だ。
今まで何とも思ってこなかったナユナだが、サナも人類種の一人とあって後ろめたさがあるのだろう。
そんなことを知ってか知らずか、サナは無邪気にこう言った。
「何もないのが特徴、か。最っ高だね!」
ナユナはサナの反応に、え?と声が漏れる。
「だって何もないってことは、何にでもなれるってことじゃない?」
きょとんとするナユナ。しかしサナは尚も続ける。
「じゃあ、何で王族のミドルネームは《イル》が多いのかな。」
────ミドルネームは各種族で異なる。
樹霊種はエフ。
降龍種はサエ。
紅魔種はメグ。
狐人種はフク。
そして人類種は、イル。
「確かにおかしな話、でしたね。」
確かにおかしい、と過去形で言った。
やっとナユナも気づいたらしい。
「生物の上で最も脆弱。だからこそ知恵をもって強者と渡り合う。最弱は、一周回って最強になるんだぜ。」
「では、圧倒的な力を持ち、且つ弱者の知識をお持ちのサナ様は、文字通り最強生物でございますね。」
「そう言うことになるのかな?」
そしてナユナの家に笑い声が響いた。
◆┫「何もないのが特徴、か。最っ高だね!」┣◆
「サナ様、お風呂に入られませんか?」
ナユナが半目でサナに言った。
お風呂という単語に、サナが苦い顔をするのが後ろを向いていてもわかるが、ナユナは続ける。
「今日一日で色々なことがありましたし、その……体は勿論、心も癒す必要があるのではないでしょうか。」
ナユナのベッドに横になっているサナは耳を塞ぎたい衝動に駆られる。
ナユナは大分オブラートに包んで言っているが、本音はきっとこうだ。
森へ行ったときに付いた汚れやかいた汗を流していただけませんか、ベッドが汚れるので。
実際今のサナは、余り綺麗とは言えない程には汚れている。
確かにサナ自身、一刻も早く風呂に入りたい気持ちはある。
しかしダメなのだ。
そう。
幼女の裸体というのは童貞には刺激が強すぎるものであって……
「(いくら自分の体とはいえ、一部ならまだしも全身はきついっすよ!)」
そう考えるサナ。対してどうしてもサナをお風呂に入れたいナユナはこう提案する。
「もしあれでしたら、お背中をお流し致しますが。」
ナユナの提案を聞いて、サナはあることを思い付く。
「(そうか、ナユナに体を洗って、そのあいだ間ずっと目を瞑っていれば!)」
しかしサナはまだ気づいていなかった。
この考えの、重大な欠陥に。
↓
「あの………」
「なにか?」
困った顔のナユナ。
一方で目を瞑った状態でサナ。
「その、ですね?」
「どうかした?」
そして遂にナユナが言った。
「……服くらいご自分で脱いで頂けます?」
確かにサナは十歳だが、服くらいは自分で脱いでくれ、と。
そこまで子供ではなかろう、と。
そう暗に告げるナユナに、だがサナは反論───というより開き直る。
「だってロリっ娘の裸とか発禁レベルだし。」
しかしナユナは駄々るサナを正論で迎え撃つ。
「しかしそれではサナ様は生きていてないのではないでしょうか。」
「……」
「生物である以上生理作用はあります故、ここは慣れるためにと振り切るべきであると思われますが。」
「…………」
漸くサナは意を決して。
「……わかったよ!」
まあここでもしナユナがサナの駄々を聞いていても問題は別にあったのだが……それはまあ想像に任せるとしよう。
チート要素どこ行ったw←
そ、そのうち出てくるよ。多分。きっと。恐らく。




