#5 「(もしかしてこれ、詰んでる?!)」
魔物の流れに逆らって元凶を探していく。
下を見れば魔物が黒い川のように流れていく。
この数と戦うのは勘弁と苦笑いしつつ、サナとナユナは空を行く。
《飛行》にも大分慣れ、安定してきた気がする。
そんな時、前方に巨大生物を確認する。
「なんだあれ。」
その圧倒的な存在感に、サナは呆れ気味に変なデタラメもいるものだなと零す。どうやら自分の事など知ったことではないようだ。
巨大なそれについてナユナに訊こうとして振り向くと、ナユナはフリーズしていた。
「……な、ナユナ、さん?」
サナに名前を呼ばれ、ナユナは正気に戻る。
「……大……丈、夫……?」
サナに心配され、ナユナはおほんと咳払いして失礼しましたと一礼。そしてサナの疑問を察して答える。
「あれは巨亀竜と言います。この辺りでは最強の魔物でございます。」
わお、あれが最強の魔物、か。
……でもなんか様子が変だ。
「まさか……」
おい嘘だろ? 最強が何かから逃げてるって。
あいつ以上のがいるってか?
ははッ、笑えねえ。
「一旦戻ろう。」
サナの提案の意図を察し、
「御意に。」
とナユナは一礼した。
↓
「なに……巨亀竜だと?! 間違いないのか?」
調べてきた内容をアランに伝えると、彼はわかりやすく焦っていた。
「ええ、間違いありません。」
「更に言うなら、そいつも何かから逃げてたって感じだったよ。」
「嘘だろ?!」
追い打ちのようにサナが言うと、アランは変な汗をかき始め、そして
「チッ、仕方ない。避難しよう。」
舌打ち一つ、そう決断した。
アランは森の全員に避難すると告げた。
まあ当然のように怒号が飛んだ。
森を捨てるのか、と。
しかしその全員が続いたアランの言葉に黙った。
「巨亀竜が、いや、それ以上の存在が、ここに向かってきているらしい。」
どうやら巨亀竜は、それほどのものみたいだ。
斯くて樹霊種達はサナが開いたら《ゲート》を使って、避難を始めた。
◆┫「(もしかしてこれ、詰んでる?!)」┣◆
さて、樹霊種達と共に町に帰還したサナ達であるが、問題は多い。
差し当たり問題の一つとして、樹霊種のことが挙げられる─────訳ではなく。
もっと単純なことだ。
今まで気づかぬように心掛けていたが、しかしもう限界だ。
あまり我慢するのは色々良くないし。
それと、そろそろ気づく頃だろうかな?
「(もしかしてこれ、詰んでる?!)」
サナ……いや、アキが詰んでいることを。
では答えといこう。サナはナユナにこう訊ねる。
「女の人って、おてあらいどうしてるの?」
↓
「それはセクハラでございますか?」
さすがのナユナもそれはアウトらしい。
若干引いてみせるも───しかし直ぐに笑顔になり、
「……冗談です♪」
ただからかっただけだと告げる。
「ここに来る前は男だったのでございましょう?」
「ああ。それが幼女の姿になった訳だけど……」
「つまり?」
「OUTなんだよ。それをするのが。」
いくら自分の体とはいえ、アウトなのは確かだ。
さてどうするか───なんて考えているサナにナユナが言った。
「ここは開き直るほかないかと。幸いにも、サナ様はどう見ても少女ですし♥」
そうだよね。それしかないね。方法は。
「耐えるしかないか……」
サナはその事はもう考えないことにした。
種族の説明はまた次回に。




