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俺の経験値だけ時間制だった  作者: リリエル
プロローグ
4/20

#3 「然し異例でございますね。」

「お目覚めください。 サナ様(・・・)。」

 ナユナの言葉の違和感に、サナは飛び上がる。

「ささ…様?!」

 なんというか、痒い。

 "敬語を使われる"までは何とか耐えられた。キャラ?というものだから仕方ない。

 だが様まで付けられると、なんか、こう……

「はい。何となくこれからサナ様と勝手に呼ばせて頂くことにしただけでございますので、どうぞお気になさらず。」

「何となくなら止めてくれないかな…? 何か痒いんだよ。」

「少しすれば慣れると思われます。ですので、どうぞお気になさらず。」

 どうやら止めるつもりはないらしい。

 サナは溜め息一つ、立ち上がって出掛ける支度を始めた。

 道具や服をナユナがまとめて置いてくれたようで、然程の時間も掛からなかった。


 ↓


 集会所に着いた二人。

 冒険者となった以上、仕事のクエストを受けなければならない。

 どうやらこれは義務だそうで、冒険者としての登録をしていると他の仕事に就けないらしい(但し土木業や騎士等、例外はある)。勿論冒険者を辞めれば他の仕事に就けられる。

 住民の多くが冒険者になる為、兎に角商店のライバルが少ない。これでは必然的に産業が停滞してしまうので、最低二軒は同じ品を扱う店を設けることも義務となっている。また、その二軒とも同じ傘下になることは認められていない。

 冒険者でいることによるある特権もある。毎月一日に集会所に申請すれば、一ヶ月ギリギリ生活出来ないだけのお金を貰えるという。初心者用の救済処置だ。ギリギリ生活出来ないので、何かしら一つクエストを受ける必用があるのだが。まあ、どう考えても完全なニート対策だな。

 因みにだが、クエストは各ギルド(パーティーと考えて貰って問題ない)単位で受けることが多い。

 この説明をナユナから受けた時、なかなかに良くできていると思ったものだ。

「さて、今日はどのようなクエストに致しましょう?」

 おお、そうだった。


「……」

 サナは訝しげにクエスト掲示板を見詰めていた。

「サナ様?」

 横から掛かったナユナの言葉に少し身を震わせそうになりながらもサナは応える。

「昨日よりクエスト増えてる?」

「当然でございます。クエストは毎日午前〇時に更新されますので──」

「いやそうじゃなくて、明らかに合わないんだよ。」

 サナは言いたい事の意図が違う事を指摘する。

「と、言いますと?」

「昨日ここは可成混雑してた。多分クエストの終わったギルドが打ち上げでもしてたんだろ。一ギルドの人数が五人程度と仮定すると、昨日受けられたクエストは二十くらいだと思う。その時掲示板にはざっと十くらいのクエストが貼ってあったから、昨日のクエストの総量は三十とかその辺り。でも今日は軽く五十はありそう。昨日が特別少なかったってこともあり得るけど、そんな話は聞かなかった。」

「言われてみれば、そんな気もしますね。」

「よくあるの? こういうこと。」

「いえ、あまり。」

 そう。確かにクエストは増えている。サナの推測通りに。

 だがこれが何を意味するかは誰も知らなかった。


◆┫「然し異例でございますね。」┣◆


「イミルムさん!」

 掲示板前でクエストを選んでいたときに掛かった受付嬢の声に、ナユナは不思議そうに応じる。

「イミルムさんに指名のクエストが入ってまして。」

「…あぁ。」

 そういえば、と指名のクエストが入った事で、ナユナは自分がこの町で一番強い冒険者だった事を思い出した。

「それはどのようなクエストで?」


 ↓


「場所は樹霊種の森。ここからかなり東へ向かった所にございますね。」

 指名のクエストという事で断りにくく受けてしまったが、考えてみるとその場所とは結構な距離がある。具体的には馬で行って丸一日掛かるくらい遠い。

「そんなに遠いの?」

 地図を知らないサナから、無邪気な問いが掛かる。

「はい。それはもう。」

「じゃあ《ゲート》使う?」

「ゲート、でございますか?」

 サナはステータスを見ていて気になっていた《ゲート》というコマンドを試して見たかったのだ。昨日は無かったから、きっと寝てる間に追加されたのだろう。

「説明には〈ここと目的地を繋ぐ門を出現させる〉って書いてあるから使えるんじゃない?」

 無邪気に教えてもいないことを言うサナにナユナは訝しげに訊ねた。

「…サナ様のミドルネームは〝イル〟でございますよね?」

「まあそうみたいだけど?」

 返ってきた答えは果たしてそうだったが、なんかよくわからなくなってきたので、ナユナはそこで思考を逸らすことにした。


「然し異例でございますね。」

「何が?」

 サナのことは追々調べるとして、ナユナはもう一つ不思議な点を言ってみる。

「樹霊種。彼らは普段森の中で生活してまして、亜人の中で最も人類種を嫌う傾向がございますし、何でも自分たちだけで解決しようとします。そんな彼らが降龍種である私にとはいえ外部にクエストを出すとは。何かあったのでしょうか。」

「え? ナユナは人間じゃないの?」

 さっきから気になっていたが樹霊種とか降龍種とか、何のことだろう?

「その辺りも含めて後ほど説明いたします。それより今はクエストを」

「ああ、そうだね。《ゲート:樹霊種の森》」

 サナが唱えると、目の前に門が現れ、それを潜ると森の中に出た。

この世界ではレベル20もあればすごいんです。サナが異常なんです。

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