#13 「日頃の行いの差でございましょうか。」ボソッ
取り敢えず近づいてみることにした。
その藍済茶色をした奇妙な岩のような何かは、一切周りの風景に溶け込めていない。
サナでなくても邪魔だと思うようなまでに草原を台無しにしていた。
サナは内心喜んでいた。
「(あれがなくなればゆっくり昼寝ができるし、紅魔種もあれをどうにかしたいと思っている。つまりお互いの利が一致してる!)」
ということだ。
ある程度近づいたところでその岩のような何かに赤い点が二つ現れ、そして起き上がる。
赤い点は岩の目だろうか。人型になった岩の頭部についている。
起き上がった岩は、凡そ三メートルの高さがあり、かなりの迫力だ。
自分のほうが明らかに強いとわかっているサナでさえも心臓がバクバクなっていた。
と、サナにはその岩に名前が表示されているのが見えた。
「……タイタン・ゴーレム?」
名前の他にも、Lv、HP、MP、SP、LPと言った、タイタン・ゴーレムのステータスがサナには全てわかった。
サナがポツリと呟いたのにナユナが反応する。
「サナ様?」
「あいつの名前だと思う。Lvは……53、かな。」
次いでリィドとロゥラもタイタン・ゴーレムのステータスを読み取ったらしいサナに驚く。
が、五秒に一度ステータスが更新されることをロゥラから報告されていたリィドは、「なるほど」と呟き納得する。
そしてリィドはサナに更にタイタン・ゴーレムに関する情報を催促する。
「他に何かわかるか?」
「えっと、紅魔種だけ敵対視していて、ゴーレムには完全に魔法が効かないみたい。」
「日頃の行いの差でございましょうか。」ボソッ
ロゥラはナユナの呟きに苛っとしつつ、こう提案する。
「提案:我々だけを敵対視しているのなら、我々は下がったらどうだろうか。」
ふむ。確かにそれも気になるところだ。
リィドは二人に断ってロゥラと共に後退する。
ゴーレムは後退する二人を凝視している。が、追いかけようとする様子はない。
そして一定の距離を取ると、ゴーレムは再び元の岩の形に戻った。
この結果に、リィドは興味深そうに息を漏らす。
サナたちに合流するために再びゴーレムに近づこうとすると、再びゴーレムの目が光り、起き上がった。
「おやおや、相当嫌われておいでなご様子で(笑)」
◆┫「日頃の行いの差でございましょうか。」ボソッ┣◆
それから時間は少し進む。
ゴーレムについては手出し無用ということを紅魔種に伝えた。
紅魔種からのクエストは、サナが見たゴーレムに関する情報を伝えることで達成ということになった。
さて、お待ちかねの報酬の時間。
今回のこのクエストは集会所が出したものではなく、紅魔種が出したものなので、報酬は依頼主から直接貰う。
どんな報酬があるのかと期待していたサナだが……
「ないぞ?」
……――――はい?
今何と?
「報酬は用意していないぞ?」
……えーっと、どういうことだってばよ?
「我輩は紅魔種からのお願いを聞いてくれと言ったはずだが?」
つまりこれはクエストではない、と?
ガーンという擬音が似合いそうなほどガックリと項垂れるサナ。
まあ実際さほど頑張ってはいないから別にいいのだが。
あからさまな傷心アピールを続けるサナにロゥラが言った。
「慰藉:サナ、予が美味しいものを作る。それでいい?」
するとサナの表情がパッと明るくなった。
まったくサナは扱いが楽でいい。




