#11 「回答:彼女等は適合者。」
「セレクタC、報告を。」
翌朝、紅魔種の集落、長の間。
リィドの執務室であるそこは、薄暗く、全体的に青紫っぽい、禍々しい印象を受ける。
一見落ち着かなそうな部屋だが、紅魔種はこういった雰囲気のほうがリラックス出来るのだ。
部屋の奥に座っているのは、全身赤の男性。リィド。
そしてその前に居るのが、全身赤の少女。ロゥラ。
朝早くナユナの家を出たロゥラは、リィドの下にいたのだった。
「報告:二名適合者を発見。一人目、識別名称、サナ・イル・リアノナ。女性体。戦闘力測定不能。5秒に一度ステータスが更新される模様。魔法の使用も確認。」
ロゥラの報告を聞いたリィドは「ほう」と関心したように呟く。
「二人目、識別名称、ナユナ・サエ・イミルム。女性体。戦闘力、凡そ626。白竜の龍降しを確認。」
ロゥラは二人の観測結果を言って
「適合者であるかと。」
そう結論付ける。
「ふむ。」
そしてリィドは考え始める。
どのようにして助けてもらうかを。
端的に言えば魔法の効かない魔物を倒して欲しいというクエストをだすだけなのだが、それを聞いて「はい、わかりました」と請け負ってくれる冒険者は少ないだろう。
普通新種の魔物は、魔法である程度の強さを測ってから倒すのだが、魔法が効かないとなると、どんな敵なのか全くわからないまま戦うことになる。
注意の怠りと死が直結する冒険者にとって、そんな条件のクエストを受けるなど、自殺行為に等しい。
きっと適合者二人は話に乗ってはくれないだろう。
暫く考え、しかし思い付けなかったリィドは、大きな溜め息とともに俯く。
そんなとき、部屋の扉がバンと音を立てて勢いよく開けられる。
急な出来事にロゥラの目は点になり、リィドは一瞬思考が飛びそうになる。
扉から日の光が漏れ、その光で部屋全体が明るくなる。
反射で瞳孔が小さくなるが、小さくなる前の瞳孔が開いていた状態の目に入ってきた大量の光が網膜を焼く。
そのせいか、全身が光で包まれたかのような錯覚をする。
少しして目が正常になると、扉を開けた者達の姿が見える。
一人は推定年齢10歳の少女。
寝癖のついた黒髪の、今にも倒れそうな人類種。
一人は推定年齢20代前半の女性。
長く整えられた紫髪の、人類種を支えている降龍種。
そして人類種の少女が萎れそうな声でこう言った。
「ロゥラ……朝ごはん……はよ………」バタッ
言い終わると同時、少女は倒れた。
◆┫「回答:彼女等は適合者。」┣◆
「ロゥラ、あの者等は?」
突然現れた二人。正体は言わずもがな、サナとナユナであるが、初めましてのリィドが二人を知るはずもなく。
ロゥラが何か知っているのではと思ったリィドは、紅茶を片手にそう訊いた。
場所は移動して、村唯一の飲食店。
自分のギルドでの役割をすっぽかしたロゥラは、取り敢えず村の救世主になろう二人を救うため、ロゥラが奢る形で二人に餌付け元い仕事をしていた。
リィドからの質問に、ロゥラは勢いよく朝食を食べ進める二人を一度みて、こう答えた。
「回答:彼女等は適合者。」
リィドは紅茶を吹き出した。
そんなリィドを他所に、ロゥラはどの様にしてここへ来たのかが気になるようだ。
「質問:どの様にしてここへ来たのか?」
サナは少し前から気になっていたロゥラの話し方を真似て答える。
「えっと、か、回答?:この様にして。」
↓
ロゥラがいないことに気付いたサナは、サーチ系の魔法を使ってロゥラの位置を調べた。
「……北方向に凡そ60km、暗い、広い。」
魔法を使ってみた結果を言ってみる。
ロゥラにはこの情報の意味がさっぱりわからないが、ナユナは何やら考え込んでいる。
「ここの北には、確か紅魔種の村があったはずでございますし、そこのことではないかと思われます。紅魔種は暗い部屋を好む傾向にありますので、間違いないかと。」
断片的な情報から場所を推測して見せたナユナをサナは素直にすごいと思った。
ロゥラの居場所も割れたところで、サナは《ゲート》でそこへ行くことをナユナに提案する。
「《ゲート:紅魔種の村》」
斯くて今へと至る訳である。。
中途半端な終わりかたですいません。




