#9 「『美少女が仲間になりたそうにこちらを見ている。』」
「再現:わ、私を仲間にしてください!」棒読み
「……えっと、それはどういう?」
突然のことに戸惑うサナ。
ナユナに助けを求めたいところだが、彼女は今、サナに支えられてやっと立っていられる程消耗している。
今助けを求めたらナユナが可哀想だ。
「(せめてその棒読みをどうにかしてもらえればな……)」
少女は何か考えるように少し間を置いて、閃き
「再現:『美少女が仲間になりたそうにこちらを見ている。』」
機械的に告げる。
理解が追い付かず、はえ?とサナは間抜けな声を漏らすが、少女は気にせず続ける。
「『美少女を仲間にしますか? はい/いいえ』」
謎過ぎる展開にサナは兎に角落ち着けと自分に言い聞かせる。
「『はい/いいえ』」
しかし少女は考える間も与えず回答を迫る。
仕方ない。ひとまず
「いいえ」
「『美少女は悲しそうだ……。』」
少女は駄々を捏ねるように仰向けに倒れて両手足をバタバタさせる。
やがて立ち上がり、
「『美少女が仲間になりたそうにこちらを見ている。』」
もう一度訊く。
「(あ、これ面倒くせぇ)」やや引き攣った笑み
「『美少女を仲間にしま「お断りします。」
会話ループを始めた少女にサナは最後まで文を言わせずに断る。
すると少女は首を傾げ、「何故?」と問う。
「説明がなさすぎるから。オーケー?」
溜め息混じりにサナが答えると、
「回答:ノットイナフ。要求:詳細を求める。」
食い気味に返す。
「先ず、あんたは誰で何者なのか。それが不明な以上、話を進めることすら出来ない。反論は?」
「回答:ある。内容:話を進めるだけなら相手が誰であろうとできるはず。出来ない理由不明。理由の提示を求める。」
「(こいつ怠い……)」
そう思ったサナは、切り札を使うことにする。
「《ケアル》」小声
サナはナユナに回復魔法を掛け、対応してもらおうとする。
「……」
が、返事がない。
死んでいるわけではないはずだし、状態異常は《ケアル》が全部治してくれたのだが。
どうやらナユナもその少女の対応をしたくないようで、狸寝入りを続けているらしい。
そう考えたサナは、ナユナの耳元でこう囁く。
「ナユナ、今すぐ起きないと……」
「(……ゴクリ)」
微かにだが喉が動いたのを確認してサナ。
「魔力が続く限り《デス》と《レイズ》を交互に掛け続けて殺して生かして殺して生かしてするよ?」
────刹那
「ご注文はそいつの対応でございますね承りましたッ!」
すぐに目を覚ました。
◆┫「『美少女が仲間になりたそうにこちらを見ている。』」┣◆
やると言ってはみたものの、どこから手を付けたものか。
少し悩み、そして言う。
「……容姿の可愛らしさは内面が伴ってこそ引き立つというものですが……残念でございますね。」
この反応次第で対応は変わってくるが
「返答:それはお互い様。」ドヤッ
「(ぐぬぬ……)」
ジャブを打ったらカウンターを喰らい、ナユナは作戦を練り直す。
そしてまた思い付いたのか咳払いをして。
「……えー、あなたの要求は私のギルドへの加入でよろしゅうございますか?」
「回答:間違いない。」
「でしたら、条件付きでお受け致します。」
ナユナが思い付いた別の作戦、一度相手の要求を通してみる作戦。
一度要求を通せる旨を伝えることで、相手の気を逸らす効果がある。と思う。
また、条件付きでと言う言葉を入れることで、相手に妥協させやすくする。
一瞬で思い付いた割にはいい作戦ではないだろうか。
但し、以上の効果の考察は後付けである。
「質問:条件とは。」
「自己紹介すること。動機を述べること。その二つでございます。」
それだけ。
ちょっと面倒そうな子だけど、別にギルドに入れさせたくないわけではないからこれだけでいい。
「理解・実行:ロゥラ・メグ・スクルトラ。見た目、名前通り紅魔種。その他は後で登録証を見せるのでそこで確認して欲しい。動機は白竜と戦う姿に感動した。」
ロゥラと名乗った少女は無機質で抑揚のない声で言い、これで良いだろうかと問うように首を傾げる。
「(ナユナが良いって言うのならいいか。ちょっと苦手なタイプだけど。)サナ・イル・リアノナ。よろしく、ロゥラさん。」
側で話を聞いていたサナも、ロゥラのことをまあいいかと振り切り、手を出して握手を求める。
こうしてギルドにメンバーが一人加わった。
ロゥラの設定を急遽変更したので前回と印象が変わってしまったが、後悔はしていない。




