#0 《レベルが上がりました》
とある金曜日、夜。
三崎アキは帰宅中だった。
「また終電ギリギリだったなー。もっと早く帰れないかなー。」
宴会があったからではなく、普通に残業でそのくらいの時刻まで長引いてしまったのだ。
それがここ数日ずっと。
就業時間に文句言いつつも結局無遅刻無欠席で頑張ってしまう。
それが彼、三崎アキだ。
家に着き、玄関のドアを開けた。
いつもならそこから少し散らかったリビングが真っ直ぐ見えるのだが、今日は出来なかった。
何故か玄関のところに黒紫のカーテンが掛かっているようになっていて、その先は見えなくなっている。
疲れてくたくたのアキは欠伸で目を塞がれていたため、それに気付くことが出来ずそのまま突っ込んで行く。
全身が中に入ったところで漸く視界は戻り、その異様な光景に気付くことが出来た。
が、既に手遅れだったみたいだ。
どうやらその黒紫のカーテンのようなものは、別の空間への入口だったらしく、何の抵抗もなくするするとアキを飲み込んでしまった。
「(な、なんだ、これは?!)」
入口は既に閉じ、アキは何もない暗闇に閉じ込められてしまった。
そしてアキの意識は次第に零れていった…
◆┫《レベルが上がりました》┣◆
彼が目を覚ますと、辺りには森が広がっていた。
「(どこここ?)」
知るはずも無かろう。何せここは地球上ではないのだから。
証拠に今、巨大な影が通りすぎた。
見上げるとそこには大きな竜が何処かへ飛んでいた。
そして彼は再び同じことを、先程より強く思った。
「(どこここ?)」
視界の右下には、何やらステータス画面のようなものが見える。
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∵∵ ∴‥(¨:)
Lv 4
HP 67/67
MP 43/43
SP 38
LP 82
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読み方はわからないが、HPとかMPとか書かれているから恐らくステータスなのだろう。
一番上は…なんだろう?
更にさっきから視界の左下でピコピコしてるのはなんだろうと目をやると、
《世界への適合に成功しました》
《レベルアップシステムの生成に失敗しました》
《肉体の再現に失敗しました》
といった、所謂ログが流れている。
その中には、
《レベルが上がりました》
というログもあった。
ステータスを見ると、本当にレベルは上がっているらしく、Lvの欄の数字が4から5に変わっていた。
その上そのレベルアップは5秒に1回のペースであった。
「(うわ、これってそのうち飽きるタイプのチートだ… 最終的に無双ゲーになるやつ。)」
なんて思いつつも、彼はまあいいかと流し、初めのうちだけでも楽しむことにした。




