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理不尽異世界ファンタジーライフ!  作者: 星月なつ
第1章 異世界という希望
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第7話 見えた希望

「そっか.....。元々アスリルで暮らしている人々の方が俺が暮らしてた世界の人々より遥かにステータスが上なんだ。それがたとえ一般人だったとしても」

幸太は下を向き、絶望する。

数分前まであんなに元気であったのにだ。


それはなぜか......。


気づいてしまったからである。

幸太が言っているようにアスリルに住む人々は元のステータス値が幸太の住んでいた世界より高い。

成人すれば人ひとりは女性でも吹き飛ばせるほどだ。


そしてアスリルの住人ならそうやって飛ばされても死なないのであろう。


異世界だろうと現実世界だろうと自分はただの役立たずであると気づいた。。


そんな幸太の前には前と同じ状況。

ぽつりと置いてある高級感のある木製の椅子に座る美女に黒髪の少女と白髪の少女。


「ん......? あれ。何でルリまで戻ってきてるんだ?」

幸太の疑問である。


「この子は簡単に言うとあなたの転移特典。あなたを守るための護衛みたいな役割だったの」

真ん中の美女に思わぬことを言われる。


「ごめんなさい。まさか一般人に殺されるとは思ってなかったから......」

下を向き反省している様子である。

もし幸太がここまで落ち込んでいなければルリの対応もまた違っていたであろう。


しかし現状は酷く落ち込んでいる。


「そっか......。こっちこそごめんな。んじゃ俺は大人しく元の世界に戻って就職先でもがしてくるよ」

幸太は自らが言った言葉に対して鼻で笑う。


「前を向いて幸太。また一緒にアスリルへ行こう?」

座り込んでいる幸太に手を差し伸べたのはルリである。


勿論元の世界に返せない訳では無い。これはルリの。ルリ自信の希望である。

まだ一緒に異世界で生きたいという希望。


「へ?」と間の抜けた幸太の前にしゃがみこみルリは言う。


「あなたは確かに何もできないかもしれない。でも......。私がいる!」

ルリは胸に勢いよく拳を当てて言った。


「私があなたを強くしてみせる。私があなたの助けに......。支えになってあげる!あなたをこの世界一の成り上がり者にしてみせる!」

ルリの言葉を聞き何故か幸太は涙をこぼす。


現実でここまで言ってくれた人はいただろうか。

否。幸太の学力は低く実際通っているのは底辺の不良校。


塾の先生も、学校の先生も呆れきって何も言わなかった。


「で でも俺......。ここ来る前は引きこもりで頭も悪くてただネットに依存してるだけの役立たずだったんだぞ!?」


「私は知っている。貴方がどれだけ努力をしていたかを……。どれだけ自分がくじけて心が折れて苦しい時でもちゃんと人に優しくできる人だということを。不良校に通ってたのも知ってる。でもそれはあなたの任意じゃないってことも知ってる」

普段とは想像もつかない程、ルリの喋り方には熱がこもっている。


「幸太は覚えていないかもしれないけど私に幸太がしてくれた事がどれだけ嬉しかったか……」

そう。ルリは過去に幸太と会っていた。


遡ること3年前。


幸太が中学2年生の時だ。

その頃幸太は勉強をしているのにも関わらず学力が上がらないことにイラついていた。


授業態度も良く、提出物も出していた。

しかしその成果を全く無かったものにする圧倒的に低いテストの点数。


五教科合計52点。平均点は10点である。


「……っくそ! なんでだよ!」

アスファルトの道路の道端に転がる石を蹴り飛ばす。


「痛いっ!」

たまたま幸太の蹴った石が通りすがった少女に当たったのだ。


少女は道の真ん中でしゃがみこむ。


そう。それがルリなのである。

その頃のルリは白いワンピースに麦わら帽子。髪の毛は今と変わらず白だった。


「あ。ごめんよ?怪我ない?」

ルリが抑えている、怪我をしたと思わしき場所を見つける。


「ちょっとまっててな」

ルリの足から少し血が出ている。それを見つけた幸太はすぐさまスクールバッグを降ろして小さなビニール袋を取り出すと、その中から消毒液と綿を取り出した。


「少し痛いかもしれないけど我慢してくれ」

綿に消毒液を染み込ませた後、ルリの怪我にぽんとポンと軽く当てて血を拭き取る。


ルリは泣きながらも処置を受けた。


最後に絆創膏を貼って処置完了である。


「よし、これで大丈夫。お母さんは? あ、おとうさんだったりする? いやここはまさかのおじいちゃんっ子パターンだったり?」

昔から幸太はこうであった。


「いない……。さっきはぐれちゃって。」

ルナは半泣きで安定しない中、状況をちゃんと伝える。


「そかそか……。ちゃんと言えるなんて偉いな。ほれ、ご褒美の飴ちゃんだよ。」

そう言ってイチゴ味の飴をルリに渡した。


それをルリは無言で受け取り口にほうばる。


「よし……。じゃあ探しに行こっか。」

そう言うとルリの手を取り歩き出した。


その後少女の証言を頼りに商店街まで行ったところで無事父親を見つけた。


しかし少女は嬉しそうにしていない。

逆に幸太の裾を強く掴んで行こうとしない。


「あ、すいません。娘さんですよねこの子。道で迷ってたんで」

そう言った瞬間だった。


「そか。」

適当に幸太に言葉を返す父。幸太の事をほっておきルリの方に目を向ける。


「おいルリ! お前はなんで人様に迷惑かけてるんや! 家に帰ったらどうしてやろうか……。」

その父の見た目は至って普通の成人男性。青いジーンズに黒いパーカー。身長は167位だ。


「……。」

ルリは半泣き状態で口を動かそうとしない。


その後いきなりビンタが飛んだ。

ルリの父親がルリに向かってしたのである。


「もういいわ。はよ帰るで。」

ルリの手を無理につかみ取り父親は連れ去って行った。


幸太は何も言えず商店街を父親と去っいくルリをただ見るだけで終わってしまった。


「なんとかしなきゃ……」

幸太は決意した。


その次の日も学校が終わったら同じ道路に寄ってみる。


すると電柱の影にいるルリを見つけた。


「あ、いたいた! 大丈夫ー? 」

幸太の質問にただこくこくとうなづくとルリは幸太の元へ駆け寄って袖をつかむ。


幸太のできること。それは精一杯ルリと遊んであげることだった。


「そういえば君名前何ていうの?」

「えーと……。流嶋梨々(るしまりりか)。」

ルリの元の名だ。


そう。ルリは元々幸太の暮らしている世界の住人だったのだ。


「そかそか……。よろしくな! 梨々花ちゃん! 俺の名前は野々村幸太。気軽に幸太って呼んでくれ。」

これを聞くとルリはこくりとうなづく。


ルリが会ってすぐなのに何故かあったことがあるかのように気軽に話してくれたのはこれがあったからである。


その日以来何日も梨々花、ルリと幸太はその道路であって遊んでいた。


しかしある日を境にそこにこなくなってしまった。


幸太は新聞を見るとそこには、父親の暴力によって少女一人死亡。

岐阜県 岐阜市。〇✕小学校に住む流嶋梨々花は父親、流嶋叶夢(るしまかなと)によって殺害された。

とのっていた。


その後ルリは幸太も行った不思議な空間に行き、まだ幼いからとアスリルにいかすこともできず、不思議な空間にいる美女に使えることにしたのだ。


そして話は元に戻る。


今の過去話をルリは幸太に話した。

すると幸太は泣き崩れた。

理由は簡単である。


思い出したから。ちゃんと自分の事を見てくれる人がいるということ。梨々花。ルリが今ここで楽しそうに生きてくれていたことが嬉しかったからだ。


「ありがとな、ルリ。俺アスリルに戻るよ。そんでルリと一緒に世界一の成り上がり者になってやる!」

不思議な空間の中でそう宣言すると、やる気に満ち溢れた目線を美女へと向ける。


「はいはい。やる気満々なのはいい事だよ。でもたまには突っ走らず人の話聞いてね?」

そう言って微笑む。


「え? 俺なんか聞いてなかったですか?」

幸太が聞き返す。


「そえねぇ。本当は転移する前にあなたに教えないことが沢山あったのよ。

ま、それはルリが全部教えたと思うわ。」

それはこの世界の設定についてである。


「あなたが行くところはどこか。ルリが転移特典だってこと。降りる場所に確証はないということや他にもいくつか。まぁ今更気にしなくていいけどね。後、この隣のあんまり喋んない黒髪の子はマリって言ってルリの妹なの。」

美女は笑いながら話を続ける。


「でもこれだけは覚えといて。私の名前はミスティア。改めて宜しくね! 一応この世界の創始者みたいなのやってます。ま、仕事は他に押し付けちゃってるけどねん。」

ミスティアは「テヘ」と可愛く舌を出す。


「えぇ……。まぁよろしくお願いします。」

この人が創始者とか世界滅びそう。幸太の正直な感想だった。


「何よその反応! もっとえ!? とかわぁーー!! とかあるんじゃないの!? 」


「無いです」

幸太は冷たい目+真顔でミスティアを見つめる。


「あぁぁぁあ!! もういいわよ! 行ってらっしゃい。」

ミスティアがそう言うとルリと幸太は手を繋ぐ。


その後2人はミスティアがかけたであろう転移魔法によってアスリルに戻される。


ホテルの中だ。


「あれ? 今回はまともな感じ?」

幸太ふと周りを見回すと何か違う気がすると感じルリと立っているベッドの反対側のベッドを見る。


「ちょ!? 何よあんた達!」

「は、入ってくるなー!!!」

男女が一つのベッドで裸になって寝ている。これはもう転移に悪意があるのではないか疑うレベルである。


「すいませんでしたぁぁぁぁあ!!!!」

瞬足と言っても過言ではない速さでルリの手を取り、その部屋を出る。


「はぁはぁ……。あのミスティアとかいう奴絶対わざとやったろ。」

幸太が息を切らしながらも愚痴をこぼすとルリは楽しそうに笑う。


「ん? どうしたんだ?」

「いいえ。何でもないですよー。さぁ成り上がり者になる為の一歩を踏み出しましょう!」


「お、おう! なんかわからないけど頑張るぞー!!」



アドバイスをまたTwitterでいくつか頂きました。

ちゃんとできているかわかりませんが今後ともよろしくお願いします!

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