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理不尽異世界ファンタジーライフ!  作者: 星月なつ
第3章 成り上がる為の1歩
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第16話 遊撃の奇術師

「フィールドぶっ壊しちゃったしリリア? って人消し飛ばしちゃったし俺大丈夫なのか?」

ソーマは選手控え室でボソボソと独り言を呟く。


「うーん。消し飛ばしたに関してはまた生き返るからいいとしてフィールドはそんな一瞬で直る物なのか?」

ソーマが心配するのは周りからの悪評。


なんだよアイツまたぶっ壊しやがってとクレームがきては15位以内に入っても評判は良くないと考えたのだ。


「ちょっくら見てくるか」

そう言って足を運ばせたのは観戦席。


「えーっと、ベルクとルリはーっと……いや、やめておこう。きっと俺の顔みたら説教の嵐だぜ」

油断してギリギリ勝った戦いだ。ルリがガミガミ言うのは間違いない。


という事でソーマは辺りを見回してルリとベルクがいないことを確認し、空いている席に座る。


椅子の座り心地はあまりいいとは言えない石造。


この大会はA・B・Cの三つに別れており、ソーマがAだったので次はBになる。


「あ、まだフィールド直ってないんだな」

ソーマは自分が破壊したフィールドを見てどうなるのかと様子を伺う。


様子を伺い始めて数秒後。白いローブを着た魔導師らしき男達がフィールドを囲む。


男達は杖を掲げる。

するとその後フィールドは綺麗に元の形へと戻っていった。


落ちていた破片一つ一つまで綺麗に元通りになる。


「すっげぇなぁー」

ソーマはそれを見て感嘆する。


「なんだ兄ちゃん。あんな凄い戦い見してくれたのにあんなフィールドを直すだけの魔法見て感動してんのか?」

話しかけてきたのはムキムキの肉体を大きく露出した大男。


背中には大きな大剣。髪の毛は坊主とシンプルである。いかつい顔がより雰囲気を引き立たせる。


「どもてす。僕この世界にまだ慣れてなくて」

ソーマはアハハ。と笑って誤魔化す。

何かしら誤魔化す時、髪の毛をかくのは癖である。


「慣れてないー? よくわかんねぇやつだな。あのパワーはレベル70は超えてないと出せないはずだ。なのに慣れてないなんてよくわかんねぇな」

男は首を傾げて疑問に思う。


「まぁそこら辺は気にしなくていいんですよ。ところで次は誰が戦うんです?」

ソーマはいかつい顔の男に問う。


「そんなん知らねぇよ。呼ばれるのを待つだけだ」

それに対して雑な対応。


「そこら辺なんか雑だな」

そうしていかつい顔の男と話しをしているうちに時間は経ち、B戦とC戦が終わる。


「さぁ次は昨年度この大会で優勝したキアリスだぁぁあ!!! 彼は15位中5位と好成績を収めている! そんな彼の称号は遊撃の奇術師だぁぁぁぁあ!!」

いつも通り叫び散らす大男。


「続いてその相手をする事になったのはトーマスだ! 彼は今年初参戦で実力に関してはまだ何も掴めておりません!」

そう言われると観戦席からトーマスと思わしき男がフィールドへと跳躍。


金髪に蒼眼。スマートな体つきに軽装。

腰に剣をしまっている。

その鋭い目つきからは気迫のような物を感じる。


「さぁぁあ開戦だぁぁあ!!」

大男が叫び散らす。と共に勝負は始まる。


「そんな薄い装備でいいのかぁい?」

いつもの軽い口調のキアリス。


「装備はした事がなくてね。これでも重装備にしたつもりなんだ。」

冷静にトーマスはキアリスに言葉を返す。


「そっか。それじゃあ」

そう言ってキアリスが足を動かした時にはもうトーマスの姿は見えなかった。


「僕の方から行かせてもらうよ」

姿を見せた時にはキアリスの背後。

既に抜かれた刀身はキアリスの首元へ。


「やるねぇ」

そのまま剣はキアリスの首を吹き飛ばす。


「!?」

切り飛ばしたキアリスの首は「残念でしたぁ」と声を出す。

すると同時にキアリスの体が爆発する。


「かわしたみたいだね」

キアリスはいつものナイフをジャグリングしながら辺りを見回す。


「ちょっとびっくりしたよ」

そう言うとまたキアリスの背後に姿を現す。


「またそれかい?」

キアリスは即座に後ろを振り向きナイフを投げる。

そのナイフはトーマスをすり抜ける。


「それは偽物だよ」

冷たいトーマスの声。


「わぁお」

そう感嘆した時にはトーマスはキアリスの腹部を切り裂いていた。


しかしキアリスの体は、また先程と同じように爆発する。


本体はどこかに隠れているのか……?

トーマスは考える。身体能力で負けることは無いと判断し、これ以上無意味に攻撃を仕掛けるのは意味無いと考えたからだ。


「そぉい」

トーマスの背後からキアリスの声。

キアリスが持つは大型のナタ。


トーマスはそれを剣で防いで後ろへと後退。


「こっちだよぉ?」

キアリスは前にいるはずなのにトーマスの後ろからキアリスの声がした。


「な!?」

急いでトーマスは振り向き剣を振る。


「いやいやこっちなんだなぁ」

その後は上からキアリスが降ってくる。


降りてくると同時にナイフを数個投げる。


それをトーマスは一瞬で剣で弾き飛ばす。

すると横から蹴りが入る。

最初にトーマスが視認したキアリスからだ。


そのまま体は二体目の元へ。

その後二体目がナタを振り下ろす。


そのままキアリスが振り下ろしたナタはキアリスの体に。


「ぐはぁっ……!?」

腹部に刺さったナタがトーマスの腹部を引き裂く。


「面白かったよぉ? 僕と当たらなければ上位に行けたのは間違いないねぇ〜。それじゃあ」

そう言うとトーマスの首元に静かにナイフを落とす。


「終戦だぁぁあ!!!」

そう大男が言うとキアリスはフィールドから降りる。そしてトーマスの体は光となって消えた。


「何だあれ……」

ソーマは思わず唾を飲む。


「分からねぇ。毎年あぁなんだ。なんで5位止まりになったか分かんないくらいあの人は強い。」

いかつい男は言う。


「これ勝てそうにねぇや」

そうソーマは言うとハハ……と冷や汗を垂らしながら笑った。

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