第10話 星10集団クエスト
はい、どうも前書きを書くのはおひさしぶりのなつさんです。
あんまり弱音をいうのはよくないと思うんですけど少し言わせてもらいますw
腰が痛い('ω')
それでは本編どうぞw
馬車の中ではルリとソーマは喋ることは無かった。
理由は簡単気まづいからだ。
ソーマはきっと喋りかければちゃんと返してくれるし、笑顔だって見せてくれることをルリは理解していた。
それでも話しかけれないのは無理して表情を作ってもらいたくないから。
ルリのできる最大限の気遣いだ。
そんな馬車の中の気まづい空気を作っていた原因の一つはソーマのいつもと違う鋭い目つきだった。
「さぁついたぞおまえら!この俺……。ドレイク様に続けー!!」
オールバックの海賊風の服装である中年の男が腰につけている反りが大きい刀を抜き進むべき道を示す。
「おおおおー!!!」
雄叫びを上げる様々な年代の男達。
女性陣は基本なにやってんだかと見ている。
雄叫びをあげた瞬間一斉に皆、一連に続いていた馬車から降り、先頭にいたドレイクという男について走っていく。
目の前に広がるのは岩山。周りには何も見えず雲色もあまり良くないと言える。
そんな中を走り抜ける軍団の目の前に現れたのはモンスター。
ヴェルガリアスである。
それもかなり大きい。
白い鎧の様な鱗で全身を守っているようにみえる。
目は黄色く光っており、口からは蒸気が出ており、なんとも言えない威圧感を放つ。
二足歩行で腕が少し短いことから外見は恐竜である。
「ヴォォォォォォォオ!!!!」
首を上にあげてヴェルガリアスは声を上げる。
「ヴェルガリアスだ!! 行くぞお前らー!!!」
「おおおお!!!」
ドレイクの指示に従い自慢の剣を抜き、攻撃をする者達。
中距離で魔法を唱える者達。
ヴェルガリアスは☆10ランクの敵であるが皆一歩も引けを取らない。
……かのように見えていた。しかしこのクエストの闇がもう顔を出す。
このクエストにはレベル制限がない。簡単についていける。そう思い付いてきた駆け出し冒険者をここに置いていくという算段である。
☆10を幾度も相手にしている熟練者と駆け出しでは走るだけでも大きな差があるから実現できる嫌がらせのようなものである。
一番最初に剣を当てたのはドレイク。
反りの大きい刀には闇属性のエンチャント。
闇属性のエンチャントは、相手に状態異常をもたらす呪い等の効果を発揮する。
「くらえええええ!!!」
先に狙うは右足。闇雲に飛び込んで胴体を狙うより、先に体制を崩そうという狙い。
しかし剣は無惨にも弾かれる。しかしドレイクは手慣れていた。
弾かれるのは想定内。次にくる攻撃。それは左足を大きく前に出したことからその勢いで尻尾を振って攻撃するとドレイクは読んだ。
弾かれた勢いを斜め右上に持っていくと体は斜め右上へと吹き飛ばされる。
それと同時にドレイクの下を尻尾が地面を削り取るかのように通る。
その後ドレイクは空中で一回転。体制を整えて、刀を両手で持つと思い切り振り上げて下に振り下ろす。
その勢いでドレイクは回転し、ヴェルガリアスの目に切りかかる。
グチャァッ!!
目の潰れる音が聞こえると同時に血も吹き出しドレイクに降りかかる。
「ギュァァァァォア!?」
首を大きくふり後退する。
近くにいるのは危ないと判断し、ドレイクは一旦ヴェルガリアスから降りて皆の元へ降りる。
その後ドレイクが降りた後、後ろの冒険者もヴェルガリアスの元に辿り着き畳み掛ける。
驚く程に犠牲者は少ない。
まだここらだと駆け出しの冒険者でもついてこれていたようだ。
そんな前線の事を気にもとめずダラダラと歩く三人がいた。
まだヴェルガリアス見えないような位置を歩くのはソーマとルリ。そして赤髪の駆け出し冒険者だった。
目の色は蒼く、おっとりとした目元が優しさを感じさせる。
服装もソーマの異世界に来たばかりの頃の格好である。
多くの荷物を背負っていることから支給品の運搬を任されたのだろう。
多くの駆け出し冒険者はそう扱われるがソーマは何も持たされていなかった。
「は、早く行かなくて大丈夫なんですか!? ほらモンスターの声も聞こえてますし!」
白髪の少年は焦りながらソーマに声をかける。
「おうおう。まってって」
それに対してソーマはゆっくり行こうと言う。自分がだらけていたいからと先程言っていたのだがそれは違う。
赤髪の少年の大量が持つかどうか気にしているのだ。
チート装備があるからこそ体が軽く感じるし歩き続けても何も感じないソーマだが、来たばかりのソーマは支給品を背負って走っていたら即限界だ。
「私は早く行くのをおすすめするですよ?だってあの人たち熟練者ばっかりだし置いてかれたら馬車がいっちゃいます」
そう。クエストを進める時は、馬車も動向を共にする。
だからルリが言うことはごもっともである。
それを意味するのはついてこれなかったものは帰れないということ。
「確かになぁ……。じゃあ力試しも含めてちょっと走ってみるか」
ソーマは軽くその場でぴょんぴょん跳ねると口を開けてこう言った。
「お前ら俺に捕まれ ルリは背中でおんぶ。赤髪の少年君はまえでだっこだな これぞおんぶにだっこ」
「ちょっと意味が違う気が……。ソーマ? 適当に頭に浮かんだ言葉を使うのは馬鹿の証なのですよ?」
ルリの毒舌復活である。
「な!? やめろよ心がいてぇよ!」
「へっ」
ソーマの反抗をルリは嘲笑う。
「まぁいいよ! 早く乗れよ!」
まぁそんなこんなで赤髪の少年はだっこでソーマの右肩から顔を出し、ルリはだっこで左肩から顔を出す。
「よし……。いくぞ!」
グッと足に力を入れる。
次の瞬間地面はソーマの足の形に岩山は凹み、ソーマは高く飛び上がる。
もちろん飛んだ方角は交戦中の熟練者達のいる場所。
「ウオォォォォォォオ!? 」
「しぃぃぃいぬぅぅぅう!!!」
青ざめた表情で叫ぶソーマと、死ぬと叫び散らす赤髪の少年。
それを真顔で見つめるルリ。
やがて3人はヴェルガリアスの頭上へ。
「だ、誰だあいつら!」
皆が混乱する。それはそうだろう。空から急に人が降ってくるのだから。
「ル、ルリ!赤髪の少年を頼んだ!」
ルリをポイと投げ捨てると同時に赤髪の少年もルリと同じ位置に投げる。
「ったくぅ……」
ルリは呆れながらも自分自身の体に、赤髪の少年の体に浮遊魔法をかけた。
青白い光がふたりを包むと「このままゆっくり降りるからね。」とルリは赤髪の少年に言った。
それを見て「親方! 空から女の子が!」と叫ぶ少年1人。
そしてソーマはヴェルガリアスに段々近づいていく。
「テメェらこいつは俺がもらってくぞー!!!」
ヴェルガリアスにぶつかる寸前に背中にある鞘からアルリア装備の剣を抜く。
そしてヴェルガリアスの頭に落ちる瞬間剣振り下ろす。
ヴェルガリアスの頭は真っ二つ胴体は地面に打ち付けられた。
それと同時にソーマも地に降りる。
ソーマは、熟練者達が様々な剣技や魔法を使い、攻撃してまだ怯んですらいないヴェルガリアスをワンパンで終わらせた。
すると数秒後爆発するかのようにして消えた。その爆発の中から一人の影。
ソーマだ。
ヴェルガリアスは沢山の金を落として行った。
そんな中、
「うおおおおおお!!!」
「すげぇぇぇえ!!」
そう言って盛り上がれるのは極わずかの人間であった。
なぜならソーマは犠牲になるはずだったから。今回のイベントの。
今喜んでいないものはそれに関与しているもの。先頭のドレイク等がまさに今喜んでいない。
それはそうであろう。自分が倒して経験値を貰うこともできず、計画も狂ってしまいそうなのだから。
今から数時間前。クエスト出発前の事。
「おいお前ら。今回もいつもと変わらない作戦で行くぞ」
ヒソヒソと何人かを集めて話をするドレイク。
そのドレイクの言葉にうなづいて返事を返す。
「一応説明はしておく。まず今回のクエストに参加している駆け出しは7人だ。お前らわかってるよな? 行方不明になっていた冒険者を助けると救出金がてるってこと」
そう。ドレイク達がしようとしているのは救出金の入手だ。
救出金は一人助けるだけで100000ルギアでる。7人助ければ700000ルギアである。
大儲けだ。
「救出金を出すためにはそこらへんでくたばってたらもらう。そして俺達がくたばった駆け出しを途中で拾っていってあの場所に監禁するんだ。その二日後そこから掘り出して助けましたーって言えば救出金は俺たちに回るだろ? 毎回やってるからわかると思うが一応聞くぞ。理解はできたか?」
ドレイクの話した言葉にうんうんと頷く仲間達。
そして今その計画はやぶれようとしている。これほど強いものがいたら弱い駆け出し冒険者を助けつつ進めてしまうから。
そして今赤髪の少年を抱えてきたのが救助したと勘違いし、余計失敗するんじゃあないかとドレイクは恐れる。
「おいお前。」
ドレイクの判断。それは今ここで死んでもらうこと。そこまでして金を集めなければいけない理由があるから。
「え? 俺ですか?」
そう言って振り向いてドレイクの顔を見ようとした瞬間。
ソーマの目の前にはドレイクの刀が振り下ろされていた。