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プロローグ:Carmina Burana da Z

╋――――――――――――――――――――……

┃■プロローグ:Carmina Burana da Z

╋――――――――――――――――――――……


 数メートルおきに設置された松明の炎が、大広間を照らしていた。


 室内の造作のほとんどが大理石からなるその空間は、この数日間にわたり重苦しい雰囲気に包まれていた。


 大広間の北側は数段高くなっており、壁の両側には四つ葉のカタバミをモチーフにした軍旗が飾られている。


 そして中央には玉座が設置されており、玉座からまっすぐ南に向かって紅いカーペットが伸びているのが見て取れた。


 カーペットの中ほどには、ひとりの少女が立っている。


 表情からは何も読み取れない。


 しかしそれでも両の目に宿った意志の強さだけは、かろうじて垣間見ることができた。


 その少女に向かって先ほどから玉座の主が語りかけているところだった。


「よいな、かならずかの者を連れ戻し、この世にふたたび色を取り戻さねばならん」


「御意にござります」


「もしも時すでに遅く、この玉座が闇の者たちの手に落ちていたならば、その時は予に代わってそなたがその闇を払うのだ」


「はい」


「では姫よ。こちらへ参れ。玉座の仕掛けを授けよう」


「……」


 少女が近寄ると、玉座の主は何事かを彼女に告げた。


 少女は一瞬だけ驚いた表情を見せたが、すぐに元の無表情へと戻っていった。


「それでは父上。わたくしは行って参ります。わたしくが戻るまで、どうかご壮健で」


「うむ。往くがよい。我が姫よ」


 少女は大広間にいた百名ほどの手勢を引き連れ、堂々とした様子で退出していった。


 そしてこれが、色を奪われてしまった世界の、ものがたりのはじまり――――。


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