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悪魔との契約?

続きです。

 この事が春奈の心の中で桐島みどりへの怒りと憎しみが沸くキッカケとなった。


 春奈は自宅でパソコンを開き、前々から興味を抱いたネットサイトをチェックし始めた。


『麗しき悪魔女王の館』…


 出処不明だと言う謎の不思議サイトである。

 春奈が目を付けたのはグッズ販売コーナーで、その中でも何でも命令を聞いてくれると言う魔女の召喚グッズに興味を抱いていた。

 呪文が書かれているミニ経典、不思議な模様が描かれた魔法陣ラグ、そして杖…

 合計10万円もする高価な品物類だけど今の苦しいドン底から抜け出せるなら安い買い物である。

 だがよくチェックしてみると、今は全て無料となっている事が明記されている。

 何かのキャンペーンなのか?

 それらしい記事も広告も一切、記載されていはいない。

 春奈は何の躊躇いも無く、そのグッズをクリックした。

 自分の名前と年齢、職業、住所を入力して送信すれば完了である。


 そして意外にも、グッズは翌日に送られて来た。


 夜、入浴を済ませ品物を開封して中身を取り出してみる。

 赤い表紙のミニ経典と1㍍正方形の魔法陣ラグ、木製の杖とかが比較的大きな箱に入っていたのだ。

 説明書を見ながらラグを床に敷くと、経典を開いてみる。

 杖を手にして呪文を唱え始めた春奈。


「マンドゥラハンダー、ルスタードリストー、レブルンルゥガー…」


 複雑な言葉だから舌を噛みそうだ。

 高まる気持ちを抑えながら、ゆっくりとした口調で呪文を唱え続ける春奈。


「クスティムーバー、フライトス、アムゥード…」


 しばらくすると、魔法陣の模様が紫色に輝き始めて来た。

 部屋の中で風が舞い始め、辺りの物が飛び交って騒然となった。

 段々と怖くなったが、呪文にも力が入る。


「ミスリンガー、ラトライス、エクストス…」


 魔法陣の六芒星マークの中央辺りから紫色の光の渦が現れて上昇し始める。


「マンドゥラハンダー! ルスタードリストー! レブルンルゥガー!」


 やがて!


「出でよ! デスローニャ!」と言って、杖を突き出した春奈。


 光の渦が大きくなり、パーンと弾けた。衝撃で春奈は後方へ跳ね飛ばされる。

 クローゼットの扉に後頭部を打ち付けて目がクラっと来た。


 すぐに目が覚ました時に誰かが手を差し出して来た。


「立てるか? 手を貸してやるから」


 女性の声である。

 春奈は無意識に手を掴み、相手に引っ張られるようにしてゆっくりと立ち上がった。

 我に返った時に目に映った相手の姿に春奈は目を見開く。


「ええ!?」


 そこには全身黒装束に、長い黒髪の女性が立っていた。

 氷のような冷たい雰囲気の美しい女性である。

 笑みを浮かべる女性。


「召喚儀式、ご苦労」

「あなたが…、デスローニャ?」

「我はエリザベーラ。大魔女王様に使える者だ。使い魔と言っても良いであろう」

「私はデスローニャを呼んだ…つもりだけど? 何であなたが?」

「デスローニャ様は大魔界を統治されている偉大な御方だ。よほどの事がない限り、大魔界から出られる事はないし人間界にお出ましになる事は滅多にない。そなたの願いは、我が受ける事になっておる」

「ふーん、そうなんだ」

「召喚してくれた事に、デスローニャ様もとてもお喜びになっておる。サァ、何なりと申せ」


 腕組みをし、ニヤリとした表情で春奈は問うた。


「私の命令に従ってくれるの? 結構、ハードな事を命令しちゃうから」


 いきなり笑い出したエリザベーラ。


「どうせ己の欲の為に、このエリザベーラを召喚したのであろう? 邪魔者や憎い輩、許す事の出来ない輩どもを不幸にせよ。消しても構わない。大体が、こんな構図が多いものだ。そなたも同類だな?」

「鋭い勘ね? じゃあ細かい説明は抜きね」

「っで? そなたを苦しめる輩がおるのか?」


 春奈はオーバーなゼスチャーを交えながら、愚痴っぽく答える。


「もー、いーっぱい! ホント、ウンザリするぐらいいるから! お陰で私、毎日が辛くてなかなか幸せになれないんだよ! 私を不幸に陥れるのは全て、そいつらのせいだし」

「そうか。それは許せない事だな。では我がそなたが幸福になれるようにしよう」


 そう言ってエリザベーラは左手を出し、手の内側を上に向けた。


「何?」

「そなたの手を、この手のひらに置け。左右どちらでもイイ」

「何の真似?」

「契約だ。そなたは我を通じて悪魔と契りを結ぶのだ。そうすれば一生、そなたを守る事が出来る」


 悪魔と契約を結ぶと聞いて春奈は、変な話しだと思って躊躇った。

 でも幸せになれるって言うから契りを結べば良いのだろう。


「分かった」と言って、春奈は左手を置いた。

 すると、全身に何か強い衝撃が走るのを感じた。

 ニヤリと不気味な笑みを見せたエリザベーラ。


「我は、ここにいる1人の人間に対し、デスローニャ様の名の下に悪魔契約を交わす。

契約者の名は野崎春奈…」


 かなり長い呪文である。

 春奈の体に衝撃が走り、何とも言えない不思議な気持ちになって来る。

 そして紫色のオーラが全身を包み体内へと吸収されて行った。







使い魔女エリザベーラを召喚し、悪魔と契約した春奈の今後はどうなる?

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