ヘカテーによる序章
プロローグはいつもどおり彼女です。
ごきげんよう、私は傍観者ヘカテー。
想造主によって造られた存在。
これより語られる物語について、軽く説明しましょう。
古来より、[勇者]が[魔王]あるいは[悪しき魔神]を倒し、[世界を救う]という流れが、王道となっていました。
現に、[伝承]という形で大まかな物語の流れは残っています。
今回語られる物語も、一つの主観から見れば、王道と言われるものです。
しかし、伝承は真実のみを描いているとは限らないのです。
触れたくない真実を[歴史の闇]に沈め、ただ自分にとって[都合よく書き換え]られた伝承もあるのです。
本当に悪だったものは、何でしょうか?
本当に善だったものは、何でしょうか?
これより語られるのは、歪められ伝承として受け継がれてきた物語の真実です。
あなたにとって、受け入れがたい真実もあるでしょう。
聞かなければ、読まなければ、良かったと思うのかもしれません。
ですが、あなたが否定したとしても、真実は変わりません。
ただ、不変なる真実として存在するのです。
さぁ、真実の伝承という物語を語り始めましょう――
次話から本編です。