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彼は少年兵   作者: 桃々藤
9/81

広場2

彼が広場に出て一週間が過ぎ、事件が起きた。


広場から、子ども達の騒ぎ声が聞こえた。


「何?騒がしいわね」

「あ、僕、見てきます」


僕は駆け足で広場に行った。広場の真ん中を、子ども達が取り囲んでいた。警備員はたまたま居なかった。


「みんな、どうしたの?」


広場の真ん中に進んだ。そこにいたのは、左目を押さえて転がりまわる男の子と、それを見下ろしている悠也だった。ワンピースパジャマは泥だらけで、悠也は笑っていた。


「あぁぁぁぁ、目が、目がぁぁぁぁぁ」


男の子は、地面でもがいていた。


「君、どうしたの?」

「目を……やられたぁ」


口の中を切ったのか、口から血が出ていた。


断末魔の声を聞いた他の大人たちもやってきた。


「巽!」

「光、この子が」

「あぁ、すぐに治療を」


大人たちは男の子を担架に乗せ、治療室へ運んだ。周りの子ども達は、この騒動を見ていたのだろう。数人は、怯えているようでその場にふさぎ込んでいた。


僕は、悠也の前に行き、問いただした。


「悠也」


彼は虚ろな目をキラキラと輝かせながら、クスクスと笑っていた。


「君がやったの?」


彼は答えない。僕は、思いっきり悠也の頬を叩いた。彼は倒れた。僕は彼を起こし、両腕を掴んだ。思わず声を張った。


「君がやったの?」


彼はまだ笑っていた。だが顔は少しひきつり、目には涙を浮かべていた。


「……笑ってないで、泣きたいなら泣きなさい」


彼の顔がみるみるうちに強張った。息づかいが少しずつ荒くなった。


「泣け!」


彼は肩を震わせた。


「泣けぇっ!」


僕は、彼に向かって叫んだ。彼は涙をポロポロと落とし、手で顔を覆い、声を出して泣いた。僕は彼を強く抱きしめた。彼は、より大きな声で泣いた。彼の涙で、僕の肩は濡れた。


「ねぇ、何があったの?」


子ども達は誰も答えてくれなかった。


「悠也、行こう」


僕は、泣きじゃくる悠也を連れて僕の部屋に行った。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


ご感想など書いてくださると嬉しいです。


初心者でいたらぬところも多々ありますが、これからもこの作品を宜しくお願いいたします。

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