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彼は少年兵   作者: 桃々藤
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虚ろ2

 確か、彼を保護して二週間が過ぎた頃だった。夜の見廻りの為に彼の部屋に入った。

すると部屋の窓から、彼が外に出ようとしていた。


サッシの上に足をおいて、しがみついている手は、今にも離れそうだった。僕がドアを開けたからだろう、彼は僕を見たんだ。


「君、何を⁈降りたら……」


その時、彼は彼は窓から飛び降りた。僕はすぐに窓から下を見た。


下では、彼が倒れていた。動いてる、よかった。


彼が降りたところまで走った。その場に彼はいない。

ふと森の方を見ると、彼が足を引きずって歩いているのが見えた。彼と目が合った。彼は慌てて森に入っていった。

僕は追いかけた。森の入り口付近で彼を捕まえた。彼は大声を出しながら暴れた。それを僕は必死に後ろから抑えた。彼は僕を振り切ろうとした。


「落ち着いて、落ち着いてくれ」

「ウワァーーーーッ」


彼はより暴れた。僕も負けじと離さなかった。すると、彼は諦めたのか、その場に座り込んでしまった。2人とも息を切らしていた。


「こ……殺せ、お、俺を……殺して」


彼は涙を流し、こう呟いた。苦しそうな顔だったよ。

夜空に輝く星が、夜を薄っすらと照らした。

僕は、彼を自分の膝に寝かせ、脈をみた。速い。彼の顔を見た。虚な目はよく濡れていた。呼吸は荒かった。彼は僕の服を掴んだ。その手は震えていた。


「殺してくれ。頭が痛い、イライラする……もう、死にたい」

「死なせない、死なせないよ」


僕は、震える彼の手を取った。


「もう、疲れた……。俺は、生きる価値なんて、ない」

「この世に価値のない命なんてないよ。君も、ここにいる皆も、生きるべくして生きてるんだ。生きろ。君はまだ若い」


持っている彼の手を、彼の胸に置いた。僕は彼の頬に手を当てた。彼は涙を頬に伝わせ、ゆっくりと目を閉じた。


 僕は彼を何とか背負って施設に戻り、部屋のベッドに寝かせた。光も騒ぎを聞きつけ、やってきた。


「何があった」

「飛び降りた」

「ここ、三階だぞ」

「うん、足を挫いただけで、あとは無傷だよ」

「はぁ、まぁ、大事なくてよかったな」


 僕は朝まで椅子に腰掛け、彼を見ていた。暫くして彼はうなされた。それは、朝まで続いた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


ご感想など書いてくださると嬉しいです。


初心者でいたらぬところも多々ありますが、これからもこの作品を宜しくお願いいたします。

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