関わり④
礼郎は気を取り直し話しだした。
「照木以外には言ったが、先日の土砂崩れ。あれは“目覚め”だ」
志那は他に呼び出された人を見た。留美子、りまの他に、同じ同学年のクラス違いの2人、伊敷蓮香と高須賀•ハート•美生。蓮香はさっき発言した茶髪の子で志那は話した事はないが、女子剣道部の期待のエースと噂されている。一方美生はイギリスのハーフの子で整った顔立ちと気さくな性格で他校の男子から人気のある子だ。
「さっき帰っちゃった子もそうだけど、2人もあんま知らんし、なんだろー?」
「てるきーー聞いてるか?!先生はお前に話してるんだぞ!」
ぼーっとしてる志那に礼郎が一喝する。
「あ、すいません!聞いてます」
「ったく!…で、それぞれのポジションだが、これをなさねば十分に力を引き出す事ができないからー」
「あれ!考えてた間に話しかなり進んでるー!!何の話かついてけない!」
志那はびっくりしたが、今さらもう一回初めからお願いしますなんて言えないので、わかってるフリをした。
「よし、じゃあ実際に試そう。照木と四塚。二人ともこっちへ」
志那とりまが呼ばれた。礼郎は目を輝かせている。
「僕だって今だ歴史ある荒井家の書物に沿って話してるだけでまだ半信半疑だが、これではっきりする。四塚、照木を肩車してくれ」
「へっ?!」
志那とりまは顔を見合わす。
辺りはふぅーと呆れたため息をついている。
「あのー、先生。何をさせたいのか。これがその…合体とかいうものなんですか?」
りまが恐る恐る口を開く。一方それを聞いた志那は
「合体?!合体て何!なんか面白そうじゃん!!」
一気にテンションが上がっている。
「合体って何って??お前話し聞いてなかったのか??」
礼郎がむっとする。志那は慌てて
「い、いえ!き、聞いてましたよー!り、りま早くしゃがんで!」
「え、は…はい」
りまはいわれるがまましゃがもうとした。その時また礼郎が大声をあげた。
「ストップ!!四塚はしゃがまんでいい!そのまま片手で照木を肩のせれるかやってみろ。ただし、ちょっとも動かんかったらやめとけよ!ケガするといけないから」
「えっ、片手って…」
周りに失笑が漏れる。留美子は自分の腕時計を見て、いつまで続くのかーという感じだ。
「大丈夫!なんかー片手鍋を肩に担ぐみたいなイメージで私持ち上げてみて!」
「わ、わかりました。じゃ、じゃあいきます。」
全員の注目の中、りまは志那の左腕をそっと掴んだ。そしてすっと上にあげてみた。
ぽふっ
柔らかい音がして、志那が気付いた時はりまの肩の上に座っていた。その場にいる皆きょとんとしている。
「ま、まさかっ…ほ、本当に?!」
沈黙を礼郎が遮った。
「り、りまちゃん。私こー見えても結構重いのよ?なんかなんの抵抗もなく上に上がったんだけど…」
「せ、先輩まるで綿あめみたいに軽いんですけど…そ、そうなんですか??」
流石に他の3人の生徒もびっくりしている。りまの力が強いとかそんな感じではなく、明らかに志那が軽すぎる。そんな乗り方だった。
「先生。」
蓮香が礼郎に話しかける。
「話し通りって事ですか?他の人が乗っても、自分の身体の一部のように重さを感じなくなるって」
「あっ、ああ!これで証明された。君達はこうしてそれぞれが四肢となり、胴体である四塚を中心として、頭が照木、左腕に高須賀、右腕が月森、左脚が湯島、右脚が伊敷となることで古代兵器ビナーズバクのオーラを纏う事ができるようになるんだ。すげぇ!信じらねぇーー」
礼郎は興奮冷めやらぬ様子で何度も感嘆の声を漏らしている。志那はとりあえずりまに降ろしてと頼んだ。
帰り道ー
志那と留美子は久しぶりに一緒に帰る事にした。途中ハンバーガーショップに寄った。
「ルミ先輩ー実は私話し全然聞いてかったんですけどー」
「ああっ?!やっぱねー!あんたしょっちゅうノリでごまかすからねー。うーん。まーなんていうかー簡単にいえば、私達が合体して悪のロボット軍団を倒すって話しだったよ!最初は笑いそうになったけど、途中からうざかったわ」
「な、なにそれー。荒井が言ってたんですかー??」
「そうそう、なんかふるーい巻物?みたいのだしてきて、そこに絵がいろいろ書いてあったんだけど一個指さして、お前達にはこのロボットのパーツが身体に溶け込んでる!とかめっちゃテンション高いし!キモちわる!」
「あいつ頭大丈夫ですかねー?怖くないですかーそれ」
「なんか次集める時は合体について指導するとか言ってたけど…。そうだ!あんたあれどうなってんの?肩の上に乗っかったやつ!明らか無重力みたいだったし!」
「あーなんかよくわからないですけど、あのりまっていう後輩に触れて上に上がる時なんか…一瞬で身体の重さ消えたって感じです。自分でもわかる感じ」
「ふーん。ねぇねぇ!今私らもできるって事かな!店出てやってみよーよ!!」
30分後ー
人気〔ひとけ)のない土手で留美子の喜びと悲鳴の声がこだました。