関わり③
ある日の放課後近く、突然校内にチャイムが鳴った。
「次に呼び上げる生徒は至急社会科準備室に来るように。2年B組ー照木志那ー」
「へっ!?」
志那は驚いた。アナウンスで続々と名前が読み上げられてるが、聞こえていない。何せ呼び出しをくらったのは初めてで心当たりもある。
「やばくなーい?フェンスじゃん??」
佐美がニヤニヤとしている。
「うそー。監視カメラとかやっぱあったのかなーどうしようーー!!」
「とりあえず行けばわかるよね。今のうち言い訳考えとかないとね!」
「くぅー!人でなし!」
志那は手足をバタバタさせながら佐美に悪態をついた。
社会科準備室ー
足取り重くたどり着いた志那は恐る恐るドアの窓から中を伺った。
「あれ?結構いるなー。6人??知らんぷり通せるかもー!で、でも知らんぷりはよくないよな。こーなった以上他の人に迷惑かけないためにも真実を話さねば…」
意を決した志那は、思い切って準備室のドアを開けた。
「んっ?」
既に来ていた6人が一斉に志那を見る。
「テルキーーン!」
いきなり生徒の1人が駆け寄ってきた。
「湯島先輩!!」
その子はいきなり志那に腹タックルをかました。
「ぎょえーーっ!!」
志那は廊下に吹っ飛ばされた。
「あはは!相変わらずライトだねー!このこのーーっ」
彼女は湯島留美子。3年で、志那が中学の時に部活の先輩だった。
「もー何すんですかーいきなりぃー。けっこうマジでぶつかってるじゃないですかー!」
志那がよろけながら苦言を呈す。
「へっ!ゴメンごめーん!!そんなに思い切りしたつもりじゃー」
留美子はよろける志那に手を差し出す。
「んっんーっ!湯島ぁー。さっきも言ったがー」
そこにはデスクに座っていた礼郎がいた。軽く咳払いをしている。
「んー、でも、今のはねー!単純にこの子がライトって訳でー」
「君らが今…まぁ、要するに身体が当たるととんでもない力が…」
「あのー。」
そこにいた1人の茶髪の女の子が話を遮った。
「やっぱり非現実的です。私達がひとつになるとかどう信じろと?」
礼郎は立ち上がり窓辺を向いた。
「突然だし、話しも荒唐無稽だし、信じられないのはわかるが、これは事実なんだよ。君達はこれから来る戦いに身を投じる運命なんだ!」
礼郎が声を荒げる。
「先輩。何の話?あと、コブラツイストやめてください」
「テルキンしずかに!なんかよくわからないけど、荒井のヤツ教育委員会ギリギリの危ない話ししてるんだ。あんたは遅れてきたけど、私らはある程度聞いてる」
礼郎はデスクに身を乗りだし、大声で叫んだ!
「今こそ君たちが失われし古代兵器ビナーズバグを復活させるのだーーっ!!で、先生はそれをいろいろサポートする役割ですっ!!」
「……」
全員に沈黙が流れる。
志那はその中のりまに気付いた。
「りま、やっほー。」
「先輩、こんにちは」
「りまも呼ばれたって事はーまさかー」
「!!いえいえ、違います!抜け道のフェンス壊したのが先輩なんて一言もー。」
「あっ!」
再びの沈黙の後ー
「あいたたたたたたたたっ!」
留美子が志那にかけてるコブラツイストを固く締め上げる。
「あの!フェンス壊したのお前かーっ!悪い事したら隠さず言えと、中学であれほどーーっ!!!」
「ご、ごめんなさい!!ごめんなさいーっ!」
「ご、ごめんない!ごめんなさい!」
志那とりまが一緒に謝り続けている。
「すいませんがー」
そこに紫がかった青い髪の女の子が声をあげた。
「先生、呼びだしのワケが以上なら帰りたいんですけど。」
「えっ!今から君たちについて核心にふれていくー」
「失礼します」
その子はカバンを肩にかけ、そそくさと教室を出て行った。
「あ、ああーつ、月森ぃー待ってよー!…あー行ってしまったぁー」
礼郎はあからさまに肩をがっくしおとしている。そこへコブラツイストから解放された志那が近寄った。
「あのー、先生?すみませんが私何もわからないんですが」
「ああー。照木が遅いからだぞー!そういうくだりがなければもっとスムーズに話せたのにー。結構重大な事なんだぞー!あ、君たちの十代とは関係ないからねーあはっ!」
「キモっ!」
志那は心の中でそう思ったが、口に出さず心の中でだけ思えた事で己の成長を感じて嬉しくなった。