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関わり②

結局志那は遅刻だった。しかし、今はとにかくもフェンスを壊した事が大人にバレるのが1番怖かった。


教室ー

志那が自分の机でダレていると、友達の「小馬佐美こうまさみが話しかけてきた。

「また遅刻じゃん。家近いのに何してんの?」

志那はうつむいたまま話した。

「さみやーん。どうしよ、次から遅刻できない!しばらく抜け穴使わないようにしないとー」

「なんかあったの?」

「私が壊したっぽい!でも、全然力入れてないのに、フェンスが曲がっちゃって…通れるけど、ほとぼり冷めるまで近づかんつもりー」

「バカヂカラだね!後で見に行ってこよー」

「バレてさー、弁償とかなったら怖いよー」

「でも、人の力でそんなに曲がるわけないよ。他に原因あるんじゃん?」

「…そーだよ。そーだよねー。そうだそうだ!私が悪いんじゃないよ!!」

志那は突然元気になった。

「サンクスさみやーん!次、社会だから移動だよね!行こうーー」

「なんだコイツー!ま、いいや行こう!」


授業後ー

志那は再び机につっぷした。

「何ー荒井のヤツーなんで今日は私ばっか当てんのー。さみやーん」

「たしかに異常くらい当ててたね。志那の事好きなんじゃないの?」

「あいつ35歳のオジンじゃーん!ないない」

「まあ、即問題になるけど。そういえばさ、志那フェンス壊した時、誰かに見られたとかなかった?」

「えっ???」

「そりゃわたしはチクらないけどさ、見た人いたら、その人が言うかもって思ったんだけど」

志那は体をブルブル震わせている。

「…いた」

「えっ!??いたの?!」

「でも、元はと言えばその子を助けるために壊してしまったってなるから…」

「…学校の子??」

「うん。同級ではないよ。見たことないし、なんかデカかったし」

「その子も口止めっていうか、なんかした方がよくない??デカい子ならすぐ見つかりそうじゃん?」

「その通りだ!私の平穏な学校生活を邪魔させはしません!!…でも先輩じゃないといいなー。先輩だと言いにくいなー」

志那と佐美は共にため息をついた。


放課後ー

志那が帰ろうと校内を歩いていると、体育館の裏口から朝のお尻の子が出てきた。とてもうかない顔をしている。

「あ、」

志那が思わず声を漏らすと、向こうもこっちに気付きペコッと頭を下げた。志那は恐る恐るその子に近づいていった。

「朝はどうもー。さ、先に聞いておきたいんですけど、何年生ですか??」

女の子はキョトンとしている

「あ、私1年です…」

それを聞いた志那は震えだした。

「あの…どうか…しました?」

女の子は心配そうに伺う。しばらくの沈黙の後

「わっははははっ!!年下かーーっ!ならば話しは早い!!とぉっ!」

志那は胸ポケットから蛍光ペンを取り出し、その子に突きつけた。

「お姉チャンよー。悪い事はいわねぇ。今日の朝にあった事は全部忘れていただきとうござんすねーーっ!さもなくばこのペンで顔にう⚪︎こマーク書くとかさせてもらいましょーがー!」

女の子は本気でとまどいながら

「あ、あの何をおっしゃってるかわからないんですが…す、すみません!わ、忘れるようにします!」

「ぎゃははははぁーーっ!」

悪魔のような志那の笑い声が体育館裏に響き渡った。


それから2人は並んで帰路に着いていた。

四塚しづかりまちゃんて言うんだー。ごめんねビビらせて」

「いえ、私も驚きすぎちゃって…すみません」

「あー朝の事ね、フェンス壊しちゃったから内緒にしててほしいって意味ね!気にしないで欲しいな」

「はい。わたしも助けてもらった方をチクるとかしませんから」

「ありがとう!!そーいや部活の帰りなの?体育館から出てきたし、あ、今日バレー部の練習か!バレー部なんだ?!」

そう聞くと、りまは元気なく微笑んだ。

「バレー部だった…って感じです」

「ヤバイ!地雷ふんだか?!」

志那は心でそう思った。

「私…運動出来ないんです。でも背が高いからバレーとかバスケとか誘われるんですけど、いつも練習がはじまってからガッカリされるんです。でも誘ったから辞めてなんて言いにくそうで…私気を遣ってもらって悪いなと思っていつも自分からやめるんです。今日もそれで…」

志那は難しい顔をしている。

「あ、す、すみません。初めて会った人に、しかも先輩にこんな話ししてしまって!す、すみません…!」

りまペコペコ頭を下げている。

「私もねー同じような悩みなんよー」

「えっ?」

「真逆というかー私スポーツはそこそこできるんだけど、身長小さすぎて、部活やってもなかなか認められないんだよねー。ま、実際身長差の問題もあったけど」

りまはまたキョトンとしている。

「えーーつまり何が言いたいかと言うとー。私らの悩みは同じって事さね!小さい大きいが逆なだけで!」

りまはうつむいたが、しばらくして少し笑い出した。

「お、笑ったね!でも大きすぎ小さすぎって

なんか、たして割る2とかできるといいのにねー!てか大きすぎとか言っちゃった!ゴメン!!」

りまはさっきよりスッキリした顔をしている。

「いえいえ。励ましてくれてありがとうございます。なんか先輩みたく明るくなれるといいなと思い…ました」

「そ、そう??ならよかった!!なんかあったらいつでも相談してきて!」

「はいっ!」

夕暮れの道に二つの影が同じ高さで並んでいた。


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