表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

prologue 真っ青な出会い

初の学園モノです。

温かく見守っていただけると嬉しいです。

R15と残酷描写ありは保険です。いずれそういうのも出てくるかと思います。

それではどうぞ……

「問題!!人間のS、Mとは何のことだ!!」




 1人の少女からとある質問(クエスチョン)が来た。


 だが、そんなものはいたって簡単だ。


 Sとはサディストの略称のことで、人をいじったり、それに喘ぐ人を眺めるのが大好きな人のことを指す。

 ちなみに極度なSのことを「ド」を付けてドSと言うらしい。


 逆にMとはマゾヒストの略称のことで、人から受ける様々な痛みを快感として生きる人のことを指す。

 基本的にはいじられているのに笑っている奴とかはまさにMである。


……ちなみに『俺はMじゃない』

「嘘つけ!ドMだろ!!」

「あ…う、嘘じゃねぇよ!!」


 これから始まる物語は、普通の人が送るであろう平凡な日常に戻れなくなった『残念で』あわれな俺と、その他どこか『一癖ある』仲間(バカ)たち。そして『超ドSの鬼畜悪魔女との長きにわたる活動日記であr』


「あはは!鬼畜悪魔だって!こうちゃん言うねぇ!!あはははは!!!」

 突然部屋の奥のソファーからバカ笑いが聞こえて来た。どうしたのだろうか。


「………はぁ…康也様は何故そんななのか……」

 部屋の隅からは溜め息が。え、何?


「なるほど!!そこまで言えば三咲さんに踏みつけて貰えるんだね。勉強になるよ!!」

 隣では何やらカリカリと熱心にメモを取る音がする。


 あれ?俺ってまさか……?

「お前今なんて言ったちょっとこっちこい殺してやる痛めつけてやる早くしろゴルァ!!」


 やっちゃった。

「あぁしまった!!また口に、いやちょっと待って!!反省してますからぁぁぁぁああああ!!!!」


 これは、そんな残念な物語。

 

          バキッ。


~・~・~・~・~・~・~・~・

 0日目

今日から活動記録を書いていきたいと思う。

※ここに書くこと

・その日あった出来事

・それによって何が変わったか

・生存することが出来たか


~・~・~・~・~・~・~・~・


        * * *


 都心から少し離れたとある郊外、○○市。

 そこにあるそこそこの進学高校「私立上麹(かみこうじ)学園」に俺、城ヶ内康也(じょうがうちこうや)は通っている。今は夏休みも終わり、次は文化祭と学校生活は順調に進んでいるところだ。ちなみに今は家に帰る途中。


 人付き合いがあまり得意ではないこの俺だが、俺の良いとこをよくわかってくれる友達もできたし、英語以外は比較的良い点数を取ることも出来た。(英語はどうやっても無理だ)『何の問題もない、普通の人生だ。』


「おい康也、また口に出して言ってるぞ?ははっ!」


 突然隣から声がかかった。こいつの名は上村祐輔(うえむらゆうすけ)

 短髮の赤みがかったウルフヘアーに、整った顔立ち。だめ押しでサッカー部で1年なのに早くも期待のエース。

 この絵に描いたように女の子にモテる優男もまた、俺の大事な親友の一人だ。羨ましいぜこの野郎!!

「え、マジで?言ってるつもりは無いんだけどなぁ?」


 何の会話だかわかんないと言う人たちに教えてあげよう。

この俺、城ヶ内康也には他の人達とは違った点が2つほどある。


 1つは語り癖があることだ。今見ている出来事を頭のなかで物語のように変換してしまう。

 理由として俺はかなり本が好きで、自分でノートに小説を書くこともあった(完成したものは祐輔が読んでくれる。かなり恥ずかしい)。そうなってしまうのもまだ自分で納得がいっていた。


 だがもうひとつの癖がとても厄介………それは、思っていることがポロッと口に出てしまうこと。

 前にもそれで変なところ(「ブス」とか「嫌い」とか。決して彼女の事を言っている訳ではない)だけ口に出してしまい、『彼女にフラれたことがあった(泣)』


「え!お前そうだったの!?かわいそ~……まぁこれからだよ康也!高校生活はこれからなんだから!!」

 また口に出してしまった。祐輔の悪意のないとびきりの笑顔が心に刺さる。

「あ、また口に出しちゃった………もういいよ!ヤケクソだーー!!!」

 そう言ってやみくもに走り出す俺。足の速さには自信がある。

……あれ、目から汗が………?

「あ、おい!待ってくれよー!」

 あわててついてくる祐輔。途中転びそうにもなっている。

 だが、


「あっ!!」


 10メートルぐらい走ったところで俺は固まった。


 教室に数学の教科書を忘れていたのだ。数学の森崎(もりさき)は一度宿題を忘れたら、余裕で通知表の評価を1つ下げかねない。彼はそんな厳しい先生だ。


「やべぇ、数学の教科書忘れてた!」

 急いでUターンする。これからの進路を決める重大な宿題だ。忘れるわけにはいかない。

「マジで!?それはヤバいぞ!!お前が宿題忘れたら俺がうつせねぇじゃねーか!!」

 イケメン優男は勉強ができなかった。そこが唯一、俺が勝てるところだろうか。

「なんだそれは!そんなことさせないからな!!悪い、先帰っててくれ!あとで連絡するからー!!」

「お、おう、わかった!」

 そう言って親友を先に帰らせ、俺は一人校舎に戻っていった。


        *  *  *


 基本的にこの学校は、1階が3年の階、2階が2年の階、そして3階が康也が通う1年の階となっている。


 今は文化祭の準備が着々と進んでいるので、至るところに文化祭の雰囲気が感じられた。

 ……何故か石灰で出来たミロのヴィーナス像なんかがあったりする。 


 この上麹学園の校舎は第一棟、第二棟の両端を渡り廊下で繋いだようなロの字型をしており、上に行くための階段と康也の教室はほぼ対角線上にある。


 これはもう『ここで朽ち果てろ、野垂れ死ね』と言われているようなものであり、せめて斜めに渡り廊下を設けてくれないかと本気で講義したこともあったが、大人の事情ということであえなく却下された。

 そう言われたら仕方がない。だって大人の事情なんだもん。これはもうD組になってしまったことを『恨むしかない。よし、恨もう!』




「ふーん…お前はそんなふうに私のことをおもっていたのか?」



 不意に背後から凛として澄んだ声がした。

 今まで聞いたことがないが、どこか心に染み入るような声。だが、このときの俺はまだ気づいていない。それどころか更にいつもの癖が暴走する。俺のバーカ。

『そうだ。そういうことにしておこう』

 そこで気づいとけば良かったのに。俺のバーカ×2。

「よし、殺す。オマエヲコロス!!」

「ん?…ってうわっ!」


 気づいたら横からとんでもないスピードで拳がとんで来た。俺は体を反らすことで何とかそれを回避することに成功。


「なにすん………っ!」

 さすがの俺もそいつに向き直り、殴り飛ばそうとした。普通こんなことされたら誰だって怒るだろう。


「やられたらやり返す」

 それが俺の座右の銘だ。もちろん2.47倍返しで。


 父親の喧嘩っ早い性格がまともに遺伝しているせいか、そこら辺のチンピラとなら1vs1でやれば余裕で勝てる並みの戦闘力は持っている。そのお陰でさっきの鉄拳も不意打ちだったが何とか避けられた。かちんと来た俺は身体を捻り相手を正面から捉える。



 だがその行動がむしろ裏目にでることになる。


 よく考えてもみよう。思いきり突っ込んできた相手に直後に振り向いたら、それこそ間近でご対面になっちゃうじゃねぇか。俺のバーカ×3。


 そしてそいつと目が合った途端、俺の体はコンクリートのように固まってしまった。

 驚くのも無理はないだろう。

  

 殴りかかってきたそいつは女だったのだ。

 そして、不覚にも俺は彼女に見とれてしまった。


 まるで卵のように白くて艶やかな肌の中心に、鈍く光る(とび)色の大きな瞳がしっかりと俺を捉えている。


 その迫力におもわず俺は一歩退き、彼女全体を見渡す。


 華奢な肩にすらっとスレンダーな体型が、上麹学園特有のピッチリとした制服によって強調されている。背は自分より少し低いくらいだろうか。

 腰までかかるような漆黒のストレートヘアが似合っていて、まるでラノベにでも出てきそうな女の子だった。 


 うわぁ……すごい………


「…?…なんだ貴様、人の体をまじまじと見るな!」

 体を見られていることに気づいた彼女から執政が飛ぶ。

「え?あ、はぁ………」


 確かにちょっと見すぎだ。紳士な俺は目をそらし、チラチラと彼女を見ることにした。

 ……それでも見る!見たいものは見たいんだ!


 なんか見た目が女神みたいな子だなぁ…というのが第一印象。

 なんかもう好きとか超越して感心しちゃうレベルだね……が第二印象。

 今まで『こんな可愛い子は見たことがない』というのがーーーー


「……!!な、何を言っているんだ!?そんな……この私が可愛いなどと…///」

 どうやらまた言葉にしてしまったようだ。俺の言葉に動揺し、いきなり彼女が赤面しながらオロオロと走り回っている。


 なんだ、また声に出してしまったか。この癖早く直さないとな……まぁ直んないから苦労してんだけど



 しばらく何かぶつぶつ呟きながら歩いている彼女を見ていた俺だが、そこで彼女になくてはならない決定的なものを見つけた。


 ただひとつ、この完璧と言っていい彼女に無いものがあるとすれば…………


『……胸がない。』


 はぁぁあ!? 何言っちゃってんの俺!?

 完全に禁句(タブー)だろそれ!!

 だがそんな当然のこと、気づいた時にはもう遅かった。


「っ!!……………ロス」

 ぴたりと足音が止む。直後に、彼女の体からから不吉なドス黒いオーラが発せられた。「ゴゴゴゴ」という音が聞こえて来そうな殺気だ。さっきまでの赤面した彼女はどこに行ってしまったのだろう。……ていうかロスって何だ?

「へ?」

 どうやらこの言葉が合図だったらしい。


「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!!!!!」

 突如、彼女の体がブレた。


 ドーン!


 吹っ飛んだ。そのままの意味だ。

 彼女の強烈な後ろ回し蹴りが見事腹に炸裂(ジャストミート)。俺の体はミサイルのように吹っ飛んだ。


 前にバトル漫画で後ろに向かって吹っ飛ぶシーンを見たことがあったのだが、まさに俺は今そんな感じで宙を舞っている。絶賛吹っ飛び中です。


 …そしてこのまま吹っ飛ぶと向こうにはミロのヴィーナス像が。


 あれ?詰んだ??


 俺はヴィーナス像の土手っ腹に激突した。

 その勢いのまま二人で仲良く突き当たりの壁に衝突。腹と背中からのダメージが酷く、そのまま意識を失いそうになった。


 その時に俺が見た印象深いものといえば……

『…パンツは…ラベンダー、か………』


 バキッ!


 ヴィーナス像の石灰の臭いと血の臭いが混ざり合う。俺の顔は彼女の鉄拳によりぐちゃぐちゃになってしまっていた。


………ガクッ。




タイトルの読み方としては、「俺はエスのエムじゃねぇ!?」で良いと思います。

第1、2話は連続で投稿しますが、そこからは不定期です。

気長に待ってください……すいません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ