第九話〝覚醒〟
恐怖と不安と... ――覚醒する力
――〝夢〟は楽しかったか?
「いや... 全く楽しいものじゃないさ、これは。」
――そうか... もっと違う結末を迎えられたかもしれないのにな。
「そうなのか!?」
――いや、嘘だ。 ふひひー。
「ふざけんなよっ! ってより、起こしたら〝夢〟が終わるじゃないかっ!」
――死にそうな勢いだったじゃないか... さっきの夢はさ。
「…あー。 確かにあのままだったら... ね。」
――まぁ、そんな時もあるさ... 所詮〝夢〟だろ?
「確かに... 〝夢〟は〝夢〟なんだったんだが...
…どうも、現実過ぎて驚きがあってさ...」
――おぉ... それはすごいな。 お前は想像力が豊かだな。
「そんなものなのか? まぁ、楽しかったのだが...
…あの終わり方しかないか? …あぁ、残念だぜ。」
――〝夢〟なんだから、仕方ないさ。
「…ってより、お前は誰だ?」
――あぁ... 秘☆密。
「お、おいっ!!」
――いや、そーいうキャラとか欲しくないのか?
「いらねえだろ!?」
――スマン。 ああ、スマン。
「いや、俺も怒ってごめん。」
――いいや、こっちこそ。
「あ、一つ教えてくれ... お前の性別はどっちだ?」
――ふふ、女だ。 見て分からなかったか?
「あぁ... 可愛いってことは分かっていたが... …なんか、分からなくなってね。。」
――お前の判断力がないだけじゃないのか?
「あー。 俺は面倒と仕方ないっていうのが口癖だしなー。」
――なんだ、ただのアホじゃないか。
「アホじゃねーよ!」
――ともあれ... こんなにも時間を使ったな。
「あぁ、めちゃくちゃ可笑しいぞ、この感じ。」
――まぁ、またお前に会いに来てやるからさ。
「あぁ、待ってるぜ。」
――じゃぁ、精一杯楽しんでくれよ?
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04月12日
PM 05:45
俺は生きていた。
長い〝夢〟を見ていたような時間が〝夢〟の中で流れた。
PM 05:46
俺は先程... ヴァングルスの強力なビームを真正面から受けた。
しかし、俺は傷一つない... しかも、挫いた足も治っていた。
ただ、俺の周りには... ――白いオーラが纏っていた。
そして、俺の手には拾った綺麗な丸い物があった。
だが、俺の目の前にはまだヴァングルスが生きている。
昇さんと光が驚いた顔をしていた...。
勿論、俺の後ろに奏空がいる。
そして、俺は綺麗な丸い物を頭の上にかざす。
「発動...ッ ――ケテルッ!!」
俺は知るはずがない綺麗な丸い物の名前をその時には知っていた。
そして、ケテルは発動する。
俺を纏っていた白いオーラが徐々に広がり始める。
それは... ――綺麗な純白の白だった。
白いオーラがグラウンド中に広がり、そして...
「――無ノ剣ッ!!」
ケテルが剣に変化した。 使い方も分からずに...。
俺はそれを両手で持ち... ――ヴァングルスに攻撃を仕掛けた。
「――インフィット・アクセルシュートッ!!!」
グガアアアアアアアアッ!!!
ヴァングルスは攻撃をくらい... ヴァングルスは消滅した。
そう... 俺はこの時... ――〝覚醒〟したのだ。
突如、意味不明の分からない力... ケテルによって。
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――あ... そうそう... 君はこれを〝夢〟だと... 思っているんだよね?
「あぁ、違うのか?」
――ふふー。 これは君の現実だよー?
「…え、ちょ、待て!?」
――まぁ、驚くのも仕方ないさ... 君は寝てからの此処に来たからね。
「寝てから... 来た...? あぁ、寝てから此処に来てたってこと?」
――あー、説明が面倒だなぁ...。
ともかく、君はケテルを拾った時から...
君の現実は、確実に違う方向に行っていたんだよっ
「ケテル?」
――君が拾った綺麗な丸い物だよ、うん。
「あぁ... あれねぇ...。」
――それが君の人生を変えたってことだよ。
「俺の人生を変えた...のか...!?」
――どうした? 泣いてるのか?
「い、いやさ... とっても嬉しくて...」
――なんだ... だたのアホじゃないか、お前は?
「…そ、そんなこと言うなよっ!」
――ともあれだ。 ケテルを何故拾ったんだ?
「なんだか、良く分からないけど... 俺はあの時、拾いたかったんだよ。
…何かが変わる。 って、一瞬思った結果なんだけどね。」
――まぁ、それが正解だったのかもね。
「それはどういうことだ?」
――時期に分かるさ。
「あぁ、そうか... で、このケテルは一体何なんだ?」
――説明が面倒なんだが...
「い、いや、そこは教えてよ!」
――あぁ、分かった分かった。
その綺麗な丸い物... つまり、ケテルはね... セフィラって言うんだよ。
「セフィラ?」
――まぁ、神話時代に創られた物なんだけどね...
――セフィラってのは、エデンの園にある木の実なワケであって。
それが今の時代まで受け継がれて来たこの実なんだよ。
セフィラはな... 特殊な物であって、食べられないんだが、
適合者とも言う... いや、覚醒者には、特殊な力が使えるんだよ。
で、その力ってのは...。
〝世界を救うことも... ――破壊することも可能な力。〟
でもあるし、全て揃えれば...
〝その力だけで... ――世界を我が物に出来る力が授かる。〟
まぁ、使い方にさまざまだしな...。 お前だけの力だしな...。
「…え、そんな物を俺は拾ったのか...!?」
――まぁ、元々は10個しかなかったこのセフィラだが...
神の遊びによってな... 15個になってしまったんだよ。
で、お前で歴史上では三代目になる。
これを光栄と思えよ? ――悠。
「…神の遊びとか。。 どーなってるんだよ、セフィラっ!
ってより、三代目なのね、俺!?」
――勿論、セフィラはお前の拾った以外にもある。
白色、赤色、青色、緑色、黄色、桃色、橙色...
水色、紫色、灰色、黒色、銀色、金色、虹色、透明。
と、それぞれの色があってな...。
その色ごとの能力がそれぞれあるワケよ。
「スゲェな... よくそこまで実が違う味に成長出来たな...」
――あぁ、生命ノ樹ってのはすごいんだよー?
まぁ、そんなワケだ。 お前は覚醒者となったワケだ。
「俺が覚醒者...? 拾っただけなのに?」
――まぁ、そのうち分かるさ。
「で、俺が白色なワケね? …で、肝心の能力ってのは?」
――お前の能力は... 〝無〟。
「〝無〟...?」
――無限だ。
「無限... か。」
――後は知らん。
「お、オイオイ!?」
――まぁ、使ったことないからね...。 使った者にしか分からないさ。
「あぁ... そうなのか...。」
――それを実際に使って戦った時に... 初めて分かる。
「そうなのか。」
――まぁ、実際... セフィラ同士をかけて奪い合うのが初代から感じだけど...
正直、今の時代は分からない...
しかも、誰が覚醒者なのかは、私にもよく分からないしな。
「初代方式だったら... 知っている人とかとの戦いってのはしたくないな。」
――無駄な所で優しいんだな。
だが、初代方式だったら、お前は間違いなく死ぬ。
「確かにな…。 でも、死ぬのか...」
――そりゃ、そうだ。
奪い合う = 殺し合う みたいなもんだし。
「怖いな...。」
――でもさ、二代目辺りからね... セフィラを世界の為に
使ったりしてたしさ、大丈夫だと思うよー?
「軽く言うなよ、たまに怖いんだからなっ!」
――あぁ、スマン...
そんなワケだ... お前は選ばれた覚醒者なんだ。
「そうなのか。」
――ともあれ... お前に話しといてよかったよ。
「そ、そうなのか? それよりも...
なんで、俺みたいなのが覚醒者なんだ?」
――偶然なんじゃないのか?
「…。」
――ともあれ、お前を〝夢〟として考えたワケなんだけど...
ここは現実だ...。
勿論、命がなくなったら... お前は死ぬ。
「あ、そうなのか。」
――まぁ、そんなワケだ... こんな説明でお前は分かったか?
「いや、全く分かりません。」
――そーだろうな...。 時期に分かるだろうよ。
「そう願いたいんだけどね...。」
――じゃぁ、期待してるよ? 救世主さんっ
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PM 05:52
俺の目の前でヴァングルスが消滅するのが分かる。
そんな時、昇さんと光は全てのヴァングルスを倒したのか...俺の方に来た。
しかし、ヴァングルスは俺が倒したので最後らしく...
この出来事は終わりを告げた。
「悠... お前...。」
「悠くん... 一体キミは...?」
「俺は... ――俺はケテルの覚醒者だ。」
その言葉は俺も何を言っているのかが、分からなかった。
PM 05:53
俺の目の前でヴァングルスの消滅を見た。
まさか、俺が... 自分の力でヴァングルスを倒すとは。
ちなみに奏空は色んな事でビックリしたのか...
俺がヴァングルスを倒した時には、気を失っていた。
そして、昇さんが奏空をおんぶした。
昇さんと光がまた話しかけてきた。
「ケテルの覚醒者... まさか、悠が... いや... ありえない...」
「悠くん、そのセフィラを見せてっ」
俺は光にセフィラのケテルを渡した。
「先生... でも、これは本物ですよ!?」
「確かに... この純白過ぎる何色にも染まらないような白色...」
「じゃあ... 悠くんは〝最後ノ剣〟に繋がっているってことですよね...?」
「そうなってくるよな...」
そんな話をしていたのだが、俺はもうそんなことは知っていた。
なぜならば... 俺は〝夢〟を見ていたからだ。
しかし、何故、この二人が知っているのかが知りたい。
「昇さんと... 光は... 何故、こういうことを知ってるんだ?」
「それは... 悠.. 場所を変えよう。」
「あ、はぁ...。」
俺達はグラウンドがめちゃくちゃになっているのだが、
それを放置するかのように... 俺達は屋上へと移動する。
せっかく、委員会で仕事したのに。
PM 05:58
奏空は気を失っていたままだったので... 保健室へと運んだ。
奏空は大丈夫なのか、とても気になるのだが...。
PM 06:00
俺達は学校の屋上へと着く。 空は暗くなる一歩手前だ。
俺はまず、昇さんと光のことについて聞いてみた。
「昇さんと光は一体何者なんだ...?」
「あぁ、簡単なことさ... 俺達は、お前と同じ覚醒者だ。」
「そ、そうなんですか...」
「まあ、セフィラを使う者じゃないんだけどねっ」
「セフィラ以外にも何かあるのか?」
「あぁ、あるさ。 俺達の能力元になっているのは... ――トライエッジだ。」
「トライエッジ...?」
「まぁ、悠くんの持っているセフィラと同じ感じの力の源だよっ」
そう言って、光はトライエッジを取り出し、俺に見せてくれた。
本体は三角形の形をしているのだが、どの辺りが端なのかが、分からない。
色はクリアホワイト系の綺麗な白色の三角形の物だ。
「そしてね、この能力は... 〝光〟 ――つまり、太陽だよっ
あ、聖なる力とでも別名呼ばれるけど... まぁ、キラキラな感じかな?
それとね... 光は天使なんだよっ♪」
「…て、天使なのかっ!? え、光が...!?」
「ほ、ほら... あの2階からグラウンドへ飛んだ時に翼を見せたじゃんかっ」
確かにあの時に俺はバッチリ見てしまった。
まぁ、俺は〝夢〟だと、思っていたのだが... これは現実。
で、光の能力を簡単に言うと、聖なる光の太陽能力的な...?
しかし... 天使ってのはフィクションの登場人物じゃないのか...?
と、俺は思ったのだが... 正直、そこら辺は実際分からない。
「まぁ... 突如、天使が居るなんておかしいもんね。
大丈夫... 先生なんて、悪魔だからねー」
「お、オイコラ... 俺が言おうか迷ってたんだが。」
昇さんが焦る。
天使の次は悪魔の登場ですか...。
ともあれ、天使と悪魔って対立関係じゃないのか...?
この現実では何もなかったことになっているのか...?
「まぁ... 悠、俺は悪魔であってな...。」
「はあ...。」
「信じてくれよ... 天使が居るなら悪魔も居るさ。」
「昇さんは... 奏空のお兄さんじゃないんですか...?」
「そこは... 裏事情だから、後々教えてやるかさ。」
「そ、そうですか...。」
そんなワケで俺は困った。
突如、出会った方々が天使と悪魔だなんて...。
しかも、昇さんの裏事情が気になって仕方ないんだが...。
「そうそう... 俺の能力を教えるのを忘れてたな。」
そう言って昇さんは俺にトライエッジを見せてくれた。
「俺の能力は... 〝闇〟 ――つまり、暗黒。
まぁ、悪魔の能力なんてこんな感じだろうな。。」
悪魔だからこそ、扱える闇の力。 なんて、考えやすいんだろうか。
トライエッジの色はクリアブラック。
光のトライエッジと反対色になっている。
ともあれ、これは俺の現実なのだから認めようとした。
今までの現実じゃない、非現実?
…いや、俺が求めた非日常だったのかもしれない。
〝夢〟でもなければ、日常でもない、現実... だと。
すると、昇さんがまた話しかけて来た。
「そうそう... 何故、俺達が戦っているのかと言うとな...
――ヴァングルスの出現により... だ。」
「ヴァングルスの出現ですか...。」
「そう、昔俺達が戦っている時では... ヴァングルスの出現はなかったんだ。」
昇さんは昔から何と戦っていたんだろうか...?
しかし、ヴァングルスについてだ...。 その存在はこの世では恐ろしき怪物だ。
ヴァングルスが何故、出現したのかが昇さん達にも分からない。
と、俺に話してくれたのだが...
それなら、何故... セフィラを生み出したのか...?
それと、セフィラに似た感じの力を生み出したのか...?
そんな疑問が浮かんだ。
俺の現実はすでに変わってしまっていた。
「あ、そーだ! なんで、光と先生が知り合い同士なのかと、言うとね!
…まぁ、ヴァングルス殲滅隊ってのかな?そんな感じの隊なワケなんだよっ(笑)」
「なんじゃ、そりゃ。。」
「悠、あきれるなよ。 俺も遊びじゃないんだからな。」
「じゃぁ... 光と昇さんの出会った頃はいつなんです?」
「…あれ... お前と出会ったのはいつだっけ...?」
「え、先生...!? …ぁ、実は光も...」
「え、どーなっているんですか!?」
そんなワケで二人の出会いのころは分からなくなったらしい。
いつの間にか仲間になって、一緒に協力して、ヴァングルスを倒していたらしい。
しかし... 何故、出会ったころの記憶がないのだろうか...?
そこは覚えてなければいけないハズじゃ...?
まぁ、二人には忘れてしまいたい過去があるハズ。
そんなワケで俺は深く追求をするのを止めた。
勿論、著者... が面倒だったとかじゃない...?
…あ、面倒だった... てさ←
そんなワケで著者の理由はさておき...。
今度はヴァングルスの話にうつる。
「昇さん...。 ――ヴァングルスって一体何なんですか?」
「悠、実は俺にもよく分からないんだ。」
「光も良く分からないんだけど...ね。」
「そうなんですか...。」
「まぁ、謎の生命体... ってことにしてくれ。」
「はあ、了解です。」
「だが、ヴァングルスは... ――奏空を狙っていたことには違いはない。」
「か、奏空を...!?」
奏空は何故... ヴァングルスに狙われているのだろうか...?
「そのことは正直... 俺達にもよく分からないだけどな...
今の所は奏空を守るだけが、俺達の仕事なんだよ。」
「そうだったんですか...。」
つまり、謎の生命体から奏空を守る為の力...。
「で、ヴァングルスってのはあんな同じ感じのような感じでいいのか?」
「いや... 悠くん、また同じ感じとは限らないんだよ... ヴァングルスはね。
さっきみんなで倒したヴァングルスは... ――〝獣属〟ガークスだよ。」
「〝獣属〟ガークス...。」
「属性は持っていないってさっき情報が来てねっ
しかも、増殖するっていう能力はないらしいんだけど...」
「光... それは一体どういうことなんだ...?」
昇さんが疑問を抱いた。
〝獣属〟ってのは、元々属性がないので、そんな能力はないはず。
「では... 誰かが、俺達のような力を使って増殖させたっていうことなのか...?」
「――フッ... よくぞ気づいたな... 覚醒者よ。」
その時、見知らぬ声が後ろから響いた。
俺達は急いで... 後ろを振り返る。
そこには見知らぬ人が立っていた。
顔は薄暗くてあまり見えなかったが、声で男だと判断出来た。
「お前は誰だッ!!」
昇さんが声をあげる。
「俺か... 俺はな... ――澪狗だ。」
「あー!」
「悠くん、誰だか分かるの!?」
「いや、全く。」
「オイ、悠っ!!」
「…楽しそうだな、お前等。 まぁ、いい。
ともあれ... ――俺の能力はどうだった?」
「増殖なのか? お前の能力ってのは...?」
「いや、残念... 俺の力は...な。」
そう言って、澪狗は何かを取り出した... ――それは紫色のセフィラだった。
「このセフィラはな、イェソド... 能力は〝幻〟 ――つまり幻想だ。」
「幻想...!? …あれは、全て幻想だったのか!?」
「流石だな... 闇ノ支配者〝セーレ・ルシファー〟さんっ」
「…何故... 俺の本名を知っている...!?」
「さぁなぁ。 まぁ、いいや。
ぁ、言っておくけど、元々、〝獣属〟ガークスは3匹しか居なかったワケよ。
思う以上に遊んで貰って楽しかったって言ってたぜ?
じゃぁ、俺はこれで...。 また、会おうぜ。」
「ま、待てっ!!」
…澪狗は能力を使って、幻想だったのか... すぐさま消えた。
しかし、昇さんの名前は偽名だった...。俺はそこが気になって仕方がなかった。
「先生...。」
「の... 昇さん...?」
「いや、すまない...。 俺としたことが...。」
昇さんは偽名をバラされたのが気になっていた。
光は何かを思い出したのか... 少し考えている...
何か、昇さんの名前で何かがあったか...?
想いが交錯する放課後の屋上にての出来事だった。
これから俺達の戦いが始まって行くのは俺にも考えてあったのだが...
――俺は戦えるのかが、心配だった。
そして、これは俺の現実である。 それを受け止めることにした。
俺は... ――これから、一体どうなってしまうのだろうか...?