第三十話〝蒼穹〟
俺の戦い... ――あやめを救う唯一の方法
05月09日
PM 08:52
俺の目の前にはヴァングルスが存在している。
覚醒した俺は... ヴァングルス相手に戦おうとしている現状である。
俺の手には武器となる... ――妖刀〝村雨〟。
俺の身体の周りには青きオーラが漂っている。
「行くぜ...ッ!! ――ヴァングルス...ッ!!!」
俺はヴァングルス目がけて刀を構えながら走り込んでいく。
ヴァングルスは攻撃の態勢を整えたのか、再び俺に対しての攻撃を開始する。
ヴァングルスの攻撃は地面を揺らす攻撃で地割れ攻撃で、俺を足止めする。
「…危ねェッ!!」
俺は地割れ攻撃を回避し、ヴァングルスに斬撃攻撃を加える為...再び近づく。
「そろそろ... この技を使わなきゃ、勿体ないな...ッ」
俺は妖刀〝村雨〟に対して、言葉を唱える。
「始まりの雨... ――即ち...〝小雨〟...ッ!!」
言葉を唱えた瞬間、青いオーラが〝村雨〟から放たれ...俺の身体へと漂う。
また、先程降って来た雨の強さが増し...
そして、次の瞬間... 俺の身体が軽くなったことが分かった。
この力は、使用者の格闘スキルを上げる為の雨...〝小雨〟
俺は身体が軽くなったことを感じ、すぐさまヴァングルスへと近づく。
ヴァングルスは手で踏みつぶし攻撃をしてくるのだが、
俺には動きが見え、すぐさま回避し、ヴァングルスに斬撃攻撃をする。
先程と同じように俺は言葉を唱える。
「静かな雨... ――即ち... 〝霧雨〟...ッ!!」
今度は青きオーラが妖刀〝村雨〟を包み込み...
それを俺はヴァングルスに対して斬撃攻撃をする!!
――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!
攻撃はヴァングルスに見事に直撃し... ヴァングルスはよろける。
この力は、使用している妖刀〝村雨〟からの
近距離での強力な斬撃攻撃をする為の雨... 〝霧雨〟
俺はヴァングルスがよろけた所に移動し、再び斬撃攻撃をする。
「くらえええェーッ!!!」
俺は刀は扱ったことは一度もなかったのだが、
この〝ケセド〟の歴代所持者の戦闘の記憶が俺の頭の中に入ってくる。
その為、刀の扱い方をこの数分でマスターしたことにはなるが...
実際にはまだ刀の扱いには自分でも慣れていない。
と、ヴァングルスが突如、攻撃を仕掛けて来た。
「クッ!!!」
刀で攻撃を受け止めるものの... 数メートル飛ばされる。
と、ヴァングルスが突如、褐色のオーラを身に纏う。
「――!?」
俺が気づいた瞬間には、ヴァングルスの地割れ攻撃で、
地面に亀裂が入りその谷間に俺が落ちそうな瞬間だった。
「…危ねェッ!!」
俺は戦闘の記憶を元にすかさず、高く跳び上がる。
間一髪の所だった、とでも言おう。
しかし、俺は跳び上がり地面に着地するのだが、
続けてヴァングルスの攻撃が俺を襲う。
「クソ...ッ!!! 同じ攻撃でヴァングルスに近づけねェッ!!」
ヴァングルスは俺の攻撃方法を把握したのか、
距離をとっていた。 あんな怪物にも知能はあるらしい。
俺は距離をつめる為... 走り込んでいくのだが、
ヴァングルスの攻撃で足止めされる。
と、俺は戦闘の記憶を元にヴァングルスの動きを良く観察する。
ヴァングルスはの攻撃は、
一時的な時間稼ぎのような足止めのような攻撃である。
その攻撃は強力なのだが、広範囲に広がる攻撃であり、
俺のとっては苦手な中、遠距離での戦闘である。
「距離をつめようとしてもすぐに...
あの強力な地割れを引き起こす攻撃が来るよな。
なら... ――あの雨を使うしかねェな...ッ!!」
俺は先程と同じように相手に走り込んでいく。
ヴァングルスは地割れを引き起こす攻撃を再度うちこんで来る。
「次の雨... ――即ち... 〝中雨〟...ッ!!」
俺は言葉を唱えて妖刀〝村雨〟を相手に向け、刀を振るう。
距離は相手から中距離ほどというぐらいである。
刀を振るった瞬間に、青き衝撃波が放たれる。
その放たれた衝撃波は相手の地割れ攻撃をも巻き込み、
攻撃を避けられず、ヴァングルスに直撃する。
――ガアアアアアアアアアアアッ!!!!
この力は、使用している妖刀〝村雨〟からの、
中距離での衝撃波を放つ為の雨... 〝中雨〟
ヴァングルスは〝中雨〟により大ダメージをくらい、その場にひるんでいた。
それを予測していた俺は、すぐさまヴァングルスより高く跳び上がり、
刀をふりかざすッ!!
「最後だ...ッ!! ――〝霧雨〟...ッ!!」
――ガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!
先程の近距離からの強力な斬撃攻撃でヴァングルスを一刀両断した。
半分になったヴァングルスは消滅した。
「これが... ――俺〝ケセド〟の力だッ!!」
俺は綺麗に着地し、消滅するヴァングルスに言った。
そして、俺は発動を解除する。
その直後、先程から降っていた雨はやみ、この戦いは終わりを告げた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
PM 09:10
蒼雨 茜とヴァングルスの戦闘中である。
場所はビルの屋上である。
「あれが最後の覚醒者」
「んー。 青色のセフィラ... 〝ケセド〟だなあれは。」
そう、ビルの屋上から戦いを拝見していたのは、
皇王 煌... いや、十音 光と澪狗である。
「あの男、初めてなのに何故あんなにも戦えるんだ...?」
「あのセフィラのもう一つの能力... 〝戦闘〟に意味があると思うな。」
「〝戦闘〟...?」
「あのセフィラ... 〝ケセド〟は〝蒼〟 ――つまり蒼穹の力と...
もう一つの能力... 〝戦闘〟があるんだ。
その〝戦闘〟の能力は戦いの記憶を使用者が全て受け継ぎ、
全ての〝戦闘〟を刻んでいくって言う能力だ...。
勿論、セフィラには全てもう一つの能力がある。」
「ケテルには〝治癒〟 ティファレエトには〝復活〟だな...。」
「よくぞ御存じで。 ちなみに俺は〝分析〟っと。
まぁ、俺のもう一つの能力は... 文字からにして、
人の力を分析する能力だ...
結構これが有効に使えてラッキーなんだぜ?」
「お前は誰と話しているんだ?」
冷静にツッコんだ。
「…んで、なんで皇王 煌さんは、知っているんだ?」
「いや... 所持者は友達だからな...。」
「…何処までその友達に真実を隠し続けられるんだ? 皇王 煌さんよ?」
「――。」
「まぁ、皇王 煌さんの目的に俺は従うだけだからな。」
「感謝する...。」
(…目的は... 絶対に叶えてみせる...ッ)
そして、二人は再び蒼雨 茜の戦闘を見ていた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
PM 09:27
俺は自分の家に到着した。
…まぁ、先程の戦いで身体が雨でビチョビチョだけどな。
「ただいまー。」
「おかえり... え、どーしたの茜くん!? そんなに濡れて!?」
「せ、先生...!?」
俺が家に帰って来たら... 紗夜子先生がエプロン姿で迎えてくれた。
「ちょ... な、なんで先生がいるんですか...!?」
「い、いや、それよりもなんでそんなに濡れちゃったの!?」
「せ、先生はなんでですか!?」
「茜くんは一体なにをしたのかな!?」
そう、話が進まない方向へと俺が導いたらしい。
と、そんな時にあやめが来た。
「おかえりーあか... ってうお!? あんた、何をして来たのよ!?」
「い、いや紗夜子先生がなんで俺の家にいるんだよ!?」
「そんなの決まってるじゃないのよ! 私を家まで送ってくれたのよ!」
「じ、じゃあ、なんでエプロン姿なんだよ!?」
「料理を作って貰っているのよっ! 先生、料理がうまいんだからっ!」
「そうかな? へへっ」
完璧に俺の負けだ。
「んで、なんで茜はそんなびっしょびしょなの?」
「…お、俺はさ...」
ヴァングルスとか言えねェよ!!
「川に落ちた。」
「プッ... ハハハ!!」
「わ、笑うんじゃねェよ!! 仕方ねェじゃねェかッ!!」
「ま、早く風呂に行ってきなさいよっ」
「あ、ああ。」
「早くあがったら、ご飯だからねっ」
「…ぇ、あやめと先生は食べたんじゃ?」
「私もまだ食べてないのよ。 あやめちゃんが茜くんが来るまで待ってるとか」
「わ、私は別に... うん。」
「ありがとな。 あやめっ たまにはいい所あるじゃんかっ」
「みんなでご飯食べた方が洗い物が一回じゃないのっ ホラ、早く入ってきてっ」
そんなワケで先生が手を振ってくれているなか、
あやめはむくーっとふくれた表情で俺を見ていた。
先生だけだったら、よかったのにー。
そんなワケで俺は風呂場へ向かった。
PM 09:40
男は風呂からあがるのは早いッ!! 多分、そー決まっているッ!!
と、言うワケで色々して、次に色々な過程があって...俺はリビングへ。
「おー、あがったよー。」
俺はあやめと紗夜子先生に報告する。
「茜、遅いってばーっ」
「男でもこれぐらいが早いんだよっ!」
「もおー、お腹減ったあああっ」
「…じゃあ、先に食べてろよ。」
そんなワケで俺とあやめと...
「…あれ、先生? ご飯も一緒ですか!?」
「ふふ、今日、私はここに泊まりよっ!」
「な、なんだって...!?」
「茜、変なこと先生にしたらぶっ飛ばすっ」
「う、俺が... そんなことするハズないんだぜ!?」
「先生こわーいっ、あやめちゃん、私を守ってねっ」
「先生、安心してくださいっ、私が責任をもって茜を成敗しますっ」
「頼もしい!」
「…えぇ...!?」
妙な感じの空気になる。
と、まぁ、そんな感じで夕飯の支度が終わり...
「「「いただきますっ!」」」
三人での食事開始。 今度は俺も声出したからなっ
今日は... 紗夜子先生の手料理の肉じゃが... 後色々。
めちゃくちゃ美味しそうなんだけど...(ゴクリ
「せ、先生頂きますっ!」
俺は肉じゃがを食べる。
「うおおおおおおおおっ!! 美味しいっ」
「そ、そお?」
あやめも肉じゃがを食べる。
「わああああああっ!! 美味しいです、先生っ!」
「え、嬉しいなぁ」
「これ、あやめより美味しいと思いま...」
「茜...? あんたをぶちのめすわよ?」
「…い、いや... あやめのは先生とは違う味でめちゃくちゃ美味しいから!」
「あー、でも先生もあやめちゃんの料理食べてみたいなぁ」
「わ、じゃぁ、明日の朝は私が作りますからっ♪
茜はちゃんと起きること、分かった?」
「あーい。」
と、言うことで明日は何をしても起きなければ...ッ
「で、私は今日何処の部屋で寝ていいのかな?」
「お、俺の部屋に... …ぐああああああああああっ!!」
と、あやめのパンチが飛んできた。
「い、痛いじゃねェーかッ!! 冗談言っただけだよ!!」
「いや、今のは本気だわ! あれは変態が言うセリフだものっ!」
「だ、誰が変態じゃゴルアッ!!」
「あんたの部屋からたまに、女性の喘ぎ声が聞こえるんだけど?」
「…す、スミマセンでしたああああああああああああああ。」
男には秘密がある。 それを分かってくれ。
「先生は私の部屋で寝てくださいっ! あんな変態の部屋で寝たら、
何をされるか分かんないですもんっ!」
「でも、男の子の思春期の行動は... 保健室の先生としては大切な勉強になるかもっ」
「って、先生、それ!?」
「や、やたー!!!!」
「嘘だけどね」
「…。」
ってことで、妙に紗夜子先生に弄ばれた...!?
そんな感じで楽しい楽しい夕飯は過ぎていった。
05月10日
AM 02:18
「――!!」
俺は突如、目を覚ました。
何故俺は目を覚ましたのかは、分からないのだが...
何か嫌な予感がしたからだ。
「…一回、水でも飲んで寝るか...」
俺はベッドから起きあがり、リビングへ向かった。
冷蔵庫から水を取り出し... それを飲み再び自分の部屋に向かう為、
階段を降り、階段の途中にある窓から外を見た。
「変わらないか...」
と、俺が窓を見るのを止めたその瞬間... 俺はある物に気づいた。
「あれは...?」
階段の窓からは郵便受けが丁度よく見える位置にある。
その郵便受けに何かが入っていたことを俺は気がつく。
そして、再び階段を降り玄関から出て、郵便受けに到着する。
「封筒...? こんな夜になんで郵便受けに入っているんだ?」
俺はそれを持ったまま、リビングへ戻り...
電気をつけて、封筒の中身を確認した。
中身は紙が一枚入っていた。 それに字が書いてあった。
「朝の八時半に学校の屋上で待つ...?
どういうことだ? 俺が学校の屋上に行けってことか?」
字はパソコンで打った字であり...
それを印刷したようであり、判断は不可能だった。
しかし、これは一体何なんだ...?
俺はこの手紙通りの言葉に屋上へ行けばいいのか...?
俺は妙な不信感を持ちながら寝ることにした。
…実際に信じていいものか? と...。
AM 06:26
朝だ... 今日は微妙な時間に寝た為... こんな時間の起床となった。
そりゃ、寝る時間が狂えば起きる時間も可笑しくなるさ。
と、言うことでリビングへ向かった。
そこにはエプロン姿の紗夜子先生が朝手料理を作っていた。
「お、お早う御座います...? ぇ、先生...?」
「あら、おはようー、茜くんっ」
「今日の朝ごはんはあやめが作るじゃないんですか?」
「…あー、なんだかまだ寝てるみたい... あやめちゃん」
「何時も俺より早いのに...」
「ふふふ」
と、言うわけで今日の初めて会った人は先生だ。
うおー、ラッキー。 準備を済ませて、先生の手料理を待っていた。
AM 06:49
「おはよー、せんせ...」
「よお、あやめー。」
「ぇ、な!?」
あやめが起床して来たのだが、俺が早く起きていることでかなり驚いている。
「なんで、茜が私より早いのよーっ!?」
「いや、早くてもいいじゃねぇか。」
あやめがなんだか悔しがっている、何故だ!?
と、そこに先生が気づいたのか...
「あやめちゃん、おはよっ」
「あ、先生、お早う御座いますーっ!
なんで、茜が早いのか分かりますか? 先生!?」
「…んー、私にも分かんないわっ」
「ふふふー。 俺だってたまには早いんだよ。」
そんなワケであやめに勝った今日。
「あやめー。 お前、今日は早起きして朝ごはん作るんじゃなかったのか?」
「…ぇ。」
あやめが突如赤らめる。
俺の予想だと... 完璧に朝ごはんのことを忘れていた顔だ。 あれは。
よしきた、勝った!! 俺の勝利だ。
「…まぁ、今日は俺の勝ちだな。 ってことで、風呂掃除がんばれー。」
「ぇ、ちょ!?」
あやめのあの顔がたまらんっ!!
そんなワケで今日の朝の出来事だった。
その後は朝ごはんを食べ、朝からゆっくりした登校になったワケだ。
勿論、一時間かけての朝の食事はかなりの久々だったなぁー。
AM 08:15
俺とあやめと紗夜子先生は家から出た。
紗夜子先生は一旦自分の家に戻って事だから、車で行った。
そんなワケで登校は双子で学校へ登校となる。
この状況は小学生~高校2年の冬以来かもしれない。
あぁ、高二の冬までは正直、寝坊してなかったんだが...
高校の3年からは18歳を超えた... ってことで、夜をめちゃくちゃ長く過ごし、
結果的に遅刻の常習犯になったワケだ…。
「なんだか、久々だね。 この登校。」
「あー。 そーだなー。」
「なんで寝坊ばっかりし始めたのよ...? 最近は?」
「あー。 うー。」
「…あんたってホントにムカつく...ッ」
「いやさ... あやめとの登校は久々でさ...
話すネタとか正直考えてないしさ... なんだか、懐かしくて…。」
「…。」
「いや、夜を長く過ごしているのは俺が悪いと思っているんだけどさ。」
「ん?」
「まぁ、夜を長く過ごすのが大人ってことでさ!」
「ぷっ.. アハハハ!!」
「な、なんで笑うんだよ!? お前、子供の時に二人で憧れてたじゃんか!」
「そ、それは... そうだけど...アハハハ!!」
「むう…。」
「じゃあ、明日は夜を長く過ごしても私と一緒に登校してくれる?」
「…ぇ?」
「だから、明日もっ」
「あいよ。 今日はあやめに勝ったし... 続けて二連勝だぜ!」
「あんた... 私が何連勝してるか分かってる?」
「知らん。」
「…ごめん、私も数えてなかった。」
「まあ、そーだと思ったよ。」
「ハハハ!!」
「ハハハー!!」
そんな朝の登校である。
登校している他の学生は迷惑な感じで俺達を見ているだろうな。
そりゃ、朝から笑っているんだもんなー。
しかも、俺達を双子とは知らない他の学生は...
「なんだよ、あのラブラブなカップルはー。」
とかね! …ってより、あやめと俺がそんなワケ。
でも、こんな登校をあやめがしたかったのはよく分かっている。
だけどさ、大人だと夜長く起きていいんだよ!? ってことでね。
と、そんな時に橘 刹那が近づいて来た。
「おはよー、刹那ー。」
「おはよっ、刹那っ」
「おはよーっ! …なんだか、二人してカップルに見えて仕方ないのです。」
刹那には俺の頭の状況が読めていたらしい。
「「な!?」」
「あんなのと!? 俺が!?」「あの野郎と!? 私が!?」
「…まあまあ。」
まぁ、こんな調子で学校の校門へと到着した。
しかし、朝からこんなに暑いとは。もう5月ってやだなぁ。
そんな感想を浮かべながら俺達の教室へと目指した。
あることを思い出しながら...。
AM 08:25
俺達は教室へと着き... 自分達の席に座る。
俺はこの一等賞の席を優々と座る。 うむ、今日もいい感じっ!
と、そこに 3人 ⇒ 3バカ がやって来た。
「お早う御座います。 茜さん。 今日も清々しい感じですね。
そして、何故... 今日は早いのですか?」
「俺は暑いんだけどなー。 …今日早く来れたのは才能だ。 おはよー。」
「おはよ、茜ちゃん?昨日はよく眠れたかしら?」
「ちゃんつけんなよ! んで、今日は寝坊しなかったぜっ! おはよー。」
「オッス!! 茜先輩ッ!! 今日も暑いッスねッ!!」
「オッス!! シラヌイッ!! 暑いのは...ってオイ!? 誰のマネだよ!?」
「…で、3バカは何をしに来たんだよー?」
それが3人の心のスイッチを押す魔法の言葉。
「「「あぁん!?」」」
「まぁ、落ち着け。 ごめん。 ちょっとトイレなー。」
「待ちなさい!! 茜!! 貴方はここで私にひれ伏すのですッ!!」
「茜ッ!! なんで、アタシが入っているのよ!? アンタでしょ!?」
「オッス! 此方はアホじゃない... 最強の男だッ!!」
「あー、漏れるから、許せー!」
そんな感じで教室から出た俺。
ってよりも、シラヌイの言葉が一番ワケが分からないんだが。
そんなワケで実際の目的は... トイレではなく、屋上だった。
そう、今日の深夜の出来事が本当か調べるだけ...。
俺はそう考え... 薄々イタズラかと思いながらも屋上へと目指した。
ちなみに先程俺のセフィラである〝ケセド〟を持っていくことにした。
AM 08:29
学校の屋上。
「1分早かったけど、誰も居ないみたいだな...。」
俺は屋上に到着したのだが、そこには誰も姿がなかった。
「…イタズラか... チクショーッ!!! …まぁ、戻るか。」
と、俺が屋上から屋上へつながる階段に行こうとした時...
「時間よりも早く来るのは素晴らしいな...」
「――!?」
屋上から声がしたため、俺はすかさず振り返り、屋上へと戻った。
「誰だ...!?」
と、その瞬間、俺の目の前に紫色のオーラとともに人が現れた。
俺はその瞬間に〝ケセド〟を発動する体制を構える。
「発動はしなくてもいいさ... 話しだけで終わる。」
「…。」
俺はその言葉を信じ、〝ケセド〟を身に隠した。
「君をここへ呼んだのは、君の双子の妹を助けられるかもしれない...
と、言うことだ。 その為に呼んだ。」
「――な、何...!? 何故、お前は俺の双子の妹の名前を知っている!?」
「まあ、細かいことは気にするなよ... だが、助ける為には、
君の力が必要になる。」
「…俺の力...?」
「そうだ... 君に頼みたいことがあってね。」
「それは一体なんだ...?」
「この写真の男を殺して来て欲しい。」
「――!?」
俺はその写真を見た瞬間... どこかで会ったことがあった。
それは何時かの屋上で... 俺とぶつかった人...
そう二年生の... ――悠だ。
どうやら、俺の目の前に現れたヤツはコイツが覚醒者だと俺に言いたいらしい。
「この男が所持しているセフィラ... 〝ケテル〟 だ。」
「〝ケテル〟...!?」
「〝ケテル〟はな... 白色のセフィラさ...」
「で、俺が... 何故そいつを殺さなければならないんだ?」
「〝ケテル〟のもう一つの能力は... 治癒能力なのさ。」
「治癒能力...?」
「そうだ... その治癒能力でお前の妹の事情はこれで解決するんだ。」
「ほ、本当か...!?」
――しかし、俺の目の前にいるヤツが怪しいのだが...
実際の情報らしい... なぜなら、コイツが戦っている所は聞いたことがある。
白きオーラを放ちながら... 怪物と戦っていたことが最近だと…。
「まあ、お前も覚醒者なら... そいつと戦えば分かるはずだ。」
「何がだ...?」
「まあ、気にするな…。」
「…待て、お前は何故... 俺にそんな情報を教えてくれるんだ?」
「あぁ... 君の双子の妹を救いたいからだよ。」
明らかに可笑しい... 初対面だろう... コイツとあやめは...ッ。
「分かった。 じゃ、俺がその写真の男を殺し、〝ケテル〟を奪って来たとする。
その〝ケテル〟を使ってあやめを助けてくれるんだな...?
で、その先は一体どうするんだ...?」
「君達は双子の妹を救ってから、俺が〝ケテル〟が破壊するよ。」
「そうか... ならば、俺がその写真の男を殺さずに...
〝ケテル〟を奪い... あやめを治癒した場合にはどうするんだ?」
「…あぁ、それは無理だな。」
「…?」
「所持している覚醒者を殺さなければ... セフィラは本来の力を扱えない。
かといって覚醒者でなければ... セフィラの能力を使うことも出来ない。」
「ならば... どうすればいいんだ?」
「お前が〝ケテル〟を覚醒させ... その覚醒の力を、お前の双子の妹に注ぎ込めばいい。」
「そんなことも出来るのか...!?」
「あぁ、セフィラってのは不思議でな...。 で、宜しく出来るか?」
「…お前が嘘をつかなければな...。」
「俺は約束は必ず守る...。」
「じゃあ、それを俺は信じるぞ?」
「あぁ。」
「最後に聞く... お前の名前は一体何だ?」
「澪狗だ...。」
「…すまん... もう一回いいか?」
「…あ!? 澪狗だッ!!」
「…ぇーと?」
「あああああ。 紙に書いてやるからっ!!」
するとそいつは紙に名前を書き始め、それを俺に見せる。
「了解した。」
「お前のすべきことが終わったら、俺を呼んでくれ。」
「どうやってだ...?」
「屋上で俺の名前を叫べばすぐに来る。」
「…了解した。 では、失礼する…。」
「頼んだぜ...? 鬼〝オーガ〟よ。」
悠を殺し... 〝ケテル〟を奪い... あやめの肺を治癒させ...
あやめの苦しかった日々を救う。そうすれば、あやめは俺達と、
色々なことも出来るようになるハズだ。 そう考え、俺は屋上を後にした。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
AM 08:36
蒼雨 茜が屋上から去って行った数分後...。
「…チッ、面倒なヤツに頼んじまったなぁー。」
澪狗が独り言を言い始める。
「ってより、なんで名前を言ってあげたのに分かってくれないんだよ!!」
多分、蒼雨 茜の頭の中では...
澪狗は 見尾句 と考えていたのだろうな...。
ってより、ヤツは分析してもアホとしか出なかったんだが。
と、そこに十音 光がやってくる。
「酷い嘘をつくのね... 澪狗。」
「おー、皇王 煌さんじゃないですかー。」
「今、光は... 十音 光だから... 普通に呼んで。」
「まあ、あんな嘘をつかなければ、うまく行きませんぜ。」
「全部嘘じゃないの…。」
「まあ、俺なら嘘なんて沢山つけますよーっと。
それより、十音 光さんは友達に大嘘をついてるじゃないか。」
「…光は... 別に...。」
澪狗が蒼雨 茜に言った情報は全て嘘である。
しかし、覚醒者を殺すということは正しい...。
澪狗と皇王 煌(十音 光)の深い目的は... まだ明かすことは出来ない…。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
AM 08:37
「うぉ... ハッ... ハクショーンッ!!!」
俺は大きなくしゃみをした。
間違えなく... 俺のくしゃみは天下をとれるッ!!
と、そんな想像をしていた俺... 名前は... ――悠ッ!!
…久々の主人公枠を取り戻したワケだが。
い、今まで? んー、まぁ、いつも通りの日常だったかなー。
奏空が覚醒して... まあ、俺もびっくりしたよー。
あの時はさ、俺だって予想はしてなかった。
んで、最近は俺と奏空と光で昇さんの修行を受けてるんだからもー、大変。
無駄に昇さんは俺にだけ厳しくしてるしさー。 もうさ、俺だけヤバイよ!?
まあ、そんなワケで3年生の... 蒼雨さんと出会った時は怖かったよー。
ってより、あれはやっぱり3年生って感じがするからねー。 うんうん。
て、2年生は楽しまなきゃなー。 蒼雨さんに言われたし。
…あ、遅刻した時に偶然ぶつかるとかマジでびっくりしたからね!!
俺だって予想はしてなかったよー、もおー。 なんで、女の子じゃないんだ!?
他にはヨウがさー... まだ包帯を手につけてきてるんだよ。
いい加減とれ! って言ったら... え、お前... これ最近のファッションだぜ?
とか言われて... …ぇ? ちょ!?
まぁ、後々気づいて、ヨウに騙されたけど。
後は語れる事は... …あ、最近俺、新しい技覚えた。
なんか、白いオーラが... あ、これはまた後で話そうか。
でもね、戦闘スキルがあがったんだよ、またっ!
やっぱり〝ケテル〟は何か特別な感じがするんだよねえ…。
「悠くん?」
「うお!?」
「ぇーと、誰に話しかけてたの...? 今まで?」
「…ぇーと、それはまぁ。」
「悠くん大丈夫?」
「も、勿論っ!!」
久々の出番でヒロインの奏空もやっぱりウズウズしてたらしいです。
と、そこに光が帰って来た。
「おー、光ー。」
「わー、悠ー!!」
何故か最近光が俺をくんなしで呼ぶようになった。
「んで、光は何処言ってたんだ?」
「んー、乙女の秘密!」
「わー、ズリぃ!!!」
「ぇ、そこまで聞きたいの...!? ね、奏空! 悠が変態だよっ!!」
「変態なのは知ってたけど...」
「…!?」
そんなワケで二人とも元気いっぱいである。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおいっ!!」
「うあ、俺よりも変態が来た!?」
「ちょ、待てよ! オレは変態じゃないぜ!?」
「ぇ?」
「変☆態なんだぜ?(キリッ」
…と、言うことでヨウも無駄に元気らしい。
ってより、みんなして元気だからっ!
そんなに主力キャラでも最近の活躍がなかったからってはしゃぎすぎだぜ!?
そんな感じで何時もの日常が始まってる。
俺はそんな日々の中で... また新たなことも含めて...
この〝夢世界〟で、みんなと暮らしていきたいと思っている。
だから、みんな... ――今後とも俺を宜しくな!