第三話〝授業〟
まさかの展開... ――疲れる非日常
04月09日
AM 9:00
授業開始のチャイムが鳴り響き、授業の開始の挨拶をする為に立つ。
国語担当の教師が教壇へ立ち、挨拶を始める。
俺は普段通りの俺を演じながらも、実際にはビクビクしている。
正直、勉強はしなくても出来る俺でもあったが...
何か違う雰囲気だと、感じながら挨拶を終えた。
最初の授業は国語の現代文。 一番苦手な教科が姿を現した!?
俺はいつものように、寝る体制へと...
寝ちゃいかん、寝たら分からなくなるじゃないか。
ともあれ、この教科はいいや、許してくれ。
しかし、隣をの奏空は真面目に授業を受けている。
勿論、教科書、ノート等々はきちんと出されており、授業を受ける準備が出来ている。
よし、頑張ってみようか…。
AM 9:50
授業終了のチャイムが鳴り響く。
結局、俺は起きていたんだが、全く頭の中に入らない状況でした。
理由としては、隣の奏空をじっと見てました。
素晴らしいです。 やっぱり真面目なのはめちゃくちゃすごいです。
すると、奏空から話しかけてもらえました。
「悠くん? ちゃんと勉強してるかな?
…ってより、私の方をじっと見てると私も緊張しちゃうよっ」
「いや、うん、頑張る! 心配かけてごめんねっ!」
そんな会話の中、あの二人組が違うクラスから来る。
「悠はいつものように寝てるかと思ったら、ボーっとしてたみたいだね!
…なんだ、発情期なのか? 悠?」
「まぁ、この年齢の悠くんなら発情期だから仕方ないですよ。」
なんだ、酷いぞ!?
俺ってこんな扱いなのか!? …えーと、ドンマイ。
「え、それは酷いぜ! 俺だって、発情したいんだぜ!」
(間違えた感じの発言をしてしまったんじゃないのか!? 俺。)
「悠くん... え、えと... 発情期はダメです。」
奏空は少し赤くなっている。
「うわ、きんもー!」
「悠くんはこーいうキャラでしたっけ...?」
どーしよ、なにも全く分からんです。
「あ、そろそろ始まりますね、では、クラスに戻りますね。」
「悠、きんもー! …うん、ごめんね。」
二人組は自分のクラスに帰っていった。
奏空も隣の席なのに次の授業の準備を始める。
しかし、10分しかない授業の合間休みってやっぱり短いよね。
そして、次の授業開始チャイムが鳴り響いた。
AM 10:00
次の授業はまさかの化学。 いや、まさかってほどじゃないけどね。
しかし、化学って二時間目にありそうな感じだよね。
今回は頑張るよ! ニヤニヤのボーっとしないからね!
話はめちゃくちゃ変わるが、此処の学校の時間の割り振りはこうである。
登校時間 07:00~08:40 朝の HR 08:40~08:50
一時間目 09:00~09:50 合間休憩 09:50~10:00
二時間目 10:00~10:50 合間休憩 10:50~11:00
三時間目 11:00~11:50 昼間休憩 11:50~13:00
四時間目 13:00~13:50 合間休憩 13:50~14:00
五時間目 14:00~14:50 合間休憩 14:50~15:00
六時間目 15:00~15:50 下校時間 15:50~20:00
と、なっている。
昼間の休憩が無駄に長い。俺の日常だったら、45分ぐらいしかないのに(笑)
ともあれ、授業時間が俺の日常よりも5分多い為、そこがキツい。
まぁ、奏空の顔を拝めるならいつでも... いや、すまない。
AM 11:50
さて、午前中の授業が終わり、此処から長い昼間休憩だ。
やっぱり、休み時間が長いっていいよね!
っても、話すことがないけど、そこは許してくれ。
奏空は授業の道具を片づけ、昼ご飯の準備をしている。
俺はそれに気付き、机を動かす。
あぁ、これが共同作業なのか! と、勘違いする。
「悠くん、いつもありがとね。 じゃぁ、待ってようか」
「え、待つって... まさか!?」
思った通りに、あの二人がやってくる。
「奏空ああああっ! 遅れたよーっ!!」
「ふふふ、少し授業が長びいていて...」
いつもの4人組みで食べるらしい。
俺は奏空と二人で食べたかったんだが... いかん、俺は何を一人で考えている!
そして、お弁当を各自開いて行く。
「あ、ヤバ。 箸、忘れたっ」
「おや... これで17回目ですよ? 大丈夫ですかー?」
「え、忘れるものなのか箸って」
(ってより、どんだけ確認しないんだよ、おいっ)
「菜々美ちゃんはうっかりさんだねっ... …あ、私のも箸忘れちゃった。。」
「ちょっ」(奏空もなのね!?)
「おやおや... では、割り箸だけを買いに購買へ行ってらっしゃい」
「あ、あぁ、行ってらっしゃい!」
(割り箸って普通、購買に売ってる物なのか!? …いや、売ってるか)
奏空と菜々美は割り箸だけを買いに購買へ行った。
そして、怜との二人っきり。 …ダメだ、話すネタが浮かばない。
そんな表情を読み取ったのか怜が話しかけてくる。
「そういえば、悠くん。 玉子焼き好きでしたよね?」
「あ、まぁ、っても、普通の玉子焼きだけど?」
「ふむふむ、了解です。」
「え、何を了解したの!?」
「いえ、なんでも。 ともあれ、僕としても玉子焼きぐらいは。」
「作れるの!?」
俺は何故かビックリしてしまった。
「えぇ、まぁ、人並みにですが...。」
まぁ、このご時世男が料理するのは普通だろう。
っと、会話ってこんな感じでいいんだよな?
なんだか、久々にこんな話題で話した気がする。
すると...
「わ、ご飯まだ食べてなかったの!?」
奏空が帰って来た。 まだ30秒も経ってないのに。
「もう、割り箸を買ってきたんですか?」
「いや、お財布をカバンの中に忘れちゃって。。」
「あ、そうなんですか。」
お財布も忘れちゃうなんて奏空はなんてドヂっ子なんだっ。
「先に食べててね! すぐに帰ってくるからねっ」
「あ、あぁ、待ってるよ。」
(快くお待ちしてます、奏空! ってより、早く来てくれえええっ)
そんなワケで奏空はまた行った。
正直、男二人を残さないでくれ、ネタがないから!
「すみません、少しトイレに行ってきますね。」
「あ、ああ、分かった。」
助かった…。 かなり助かった。
そして、怜はトイレへ向かった。 俺は一人になった。
まぁ、こっちの方が楽でいいんだがな。
こんな風に学校生活をしたことは中学の入学式の次の日のだった気がする。
ワクワクしてたよな、あの頃は...。
…話は突如変わるが、今の学年は2年生だ。一番楽しい学年でよかった。
で、クラスは全ての学年に7クラスある。俺のいるクラスは4組。
まぁ、一番真ん中ってことで人通りが激しいのもあるが、一番中心なクラスって、
無駄に昼間休憩時に人口数が多い。その為、俺も知らない人達を把握するのに便利だ。
4組の今の総員数は40人。 まぁ、教室が俺のいた学校より、広いから十分入る。
4組の特徴といえば... 個性的な人が多いって、
俺のいるクラスの生徒の会話から、今、聞いたのだが...。
まぁ、みる限り、この俺のいるクラスには個性的なのが多い感じがある。
それはまた今度探っていこうか。今日は今日の学校をどう乗り切るかだもんな。
俺の席は前にも言った通り、寝るにはベストポジションな一番窓側だ。
位置は後ろから2番目。 まぁ、午後の授業は寝ようか。
で、右隣は奏空。後ろは今日来ていないが...。
そんなことを沢山考えているうちに奏空、菜々美、怜が帰って来た。
「悠、先に食べ終わってるんじゃないかと心配したよー?」
「いや、俺も食べようか迷っていたんだが。」
「ちょ、食べないでいてよっ!!」
「あー、食べてないいから、大丈夫さ。」
そんなワケで昼食。俺も楽しみの奏空のお弁当。
ってより、俺と奏空の関係はこの二人、知っているのか…?
いや、知ってなかったら可笑しい…。
「悠くん、今日は悠くんの好きな玉子焼きだよー!」
「おぉ!!」
「でも、毎日入ってるけどねっ」
「おぉ!?」
そんなワケでこんな展開... 俺は想像してなかったぞ?
ってより、こんなに可愛い子からのお弁当は... もう堪りませんっ!!
「んお、今日の奏空様のお弁当の美味しそうな匂いっ」
聞いたことのない声が俺の後ろから響く。
なんだ...!? この展開は新キャラか!?
「あ、総司くん。一緒に食べる?」
奏空が総司くんという男の生徒に声をかける。
「いぁ、大丈夫うううっ! オレは君を横で見ながら食べるから大丈夫なのさ!」
右手を高く上げ、左手を横にグルグル回して、最後に目の前に両手をクロスする。
総司くんの決めポーズらしい。 ダセえ。
「ちょ、総司! 奏空に変なことしたらあたしが許さないからねっ!!」
「面白い展開ですね、やっぱり、こういう展開なんですね。」
それを見た菜々美と怜が反応した。
なんだ... 総司くんは変態キャラなのか。
そして、俺は奏空をバッチリ見ながら昼ご飯を食べ始める。
総司も携帯ゲームをしながらご飯を横で食べてこっち(奏空)を見てる。
え、これ... 無視すりゃいいの?
そんなワケで楽しい昼食の始まり始まり!!
PM 12:30
長々とした昼食は終了して、昼間休憩である。
しかし、あんなに長々とご飯を食べたのは久々だ。
いつもの日常なら、10分もかからないうちに終了するんだが...
毎回このペースでご飯を食べてると少なくてもお腹がいっぱいになりそうだ。
…ってより、この学校の中身を知りたい。
今日の朝は走って、学校の敷地内とか良く分からなかったからね...。
そんなワケで探検するワケにもいかないし... ああ。 どーしよ。
「悠くんっ?」
「あ、いや、なんでもないよ。ハハハ。」
すごいな... 奏空は。
俺の考えを全て分かってそうな顔して、俺に話しかけてくれるなんて...。
そんなワケで俺は考えるのを止めた。 奏空がそんな顔するのを俺は見たくない。
ってより、奏空と会ってからまだ半日しか経ってないんだよな。
俺は考えそうになったが、午後の授業中を使って考えるようにした。
授業中なら集中している姿を見せてれば、奏空も俺を気にしないだろうな...。
そう、そこが俺の異様な優しさでもある。 …微妙だけど。
そんな中、菜々美が動き出した。
「あ、次は体育だから早めに行くねー!」
「行ってらっしゃい、菜々美ちゃんっ」
「行ってらっしゃい。 近藤さん。」
「行ってらっしゃーい!」
( 近藤...? 菜々美ちゃんの名字か...。 )
近藤 菜々美は女性で2年3組に所属している。
彼女はどうやら陸上部に所属しており、エース的な感じだということが分かった。
で、朝は遅刻しそうだったのにあんなに速かったんだな...。
…で、次は怜だ。 彼を知らなければ... いや、知らなきゃ、俺が危ない気がする。
いや、別に好きなワケじゃないんだからね。 本当に。
まぁ、そのうち分かるだろう... と、丁度よく午後の授業の開始チャイムが鳴り響いた。
PM 01:20
この午後の授業はとてつもなく眠い...。
黒板に沢山の文字が書いてあるのだが... 俺は眠気に負けそうになってる。
ノートを書かなきゃいけないのだが、眠気によって書けず…
「悠くんっ、こらっ」
すると気がついた奏空が、俺に向けて軽くパンチをしてきた。
「あ、あ、ありがと!」
それをくらってとてもいい気分な俺でもあった。
いや、そのパンチが可愛いらしい程度の強さだったからであろう。
PM 02:43
授業は無視して、寝てました。
PM 03:50
今日の授業の終了のチャイムが鳴り響いた。
俺はチャイムの音と同時に体を起して、席を立つ。
ちなみに5時間目あたりからは、
俺が疲れてるのを悟ったのか、起こさなかったらしい。
すると、奏空が声をかけてくる。
「悠くん、おはよう。 よく寝たかな?」
「あー、すまない。 すっごく眠たくて...。 なんだか、ごめんね。」
「あ、いいよ? でも、家に帰ったら授業のノートに書き移してね。」
「…う、うむむ...。」
そんなワケで下校の準備。
クラスの他の生徒は掃除場所、部活へそれぞれ行く。
勿論... 俺は家に帰るらしい。 …いや、晩御飯の買い出しへ行くらしい。
そんなワケで奏空が準備をせっせとするなか、俺は立ちあがり深呼吸した。
…もう、これを〝夢〟だと思わなくてもいいんだよな... 現実なんだよな...と。
「悠くん、早く行こう♪ 今晩のご飯は、カレーライスだよっ♪」
「おお!? 楽しみだなぁ」
真面目に今日はラッキーかもしれない!
そんなワケで俺達はスーパーへ晩御飯の材料を買いに行った。
PM 04:40
春の夕日がいい感じだった。 今晩のご飯の買い出しは終わり、帰り道。
俺と奏空はくだらないようなそーでもないような話をした。
女子と肩を並べて歩いて帰るって幸せだ。 と、言うより初体験である。
PM 05:03
家に着いた。 奏空は早速今日のご飯を作り始めた。
うーむ、エプロン姿がいい! なんと、いい眺めなんだっ!
なんだか気がつかないうちに評論家になっていたようだ...。
あ、俺はこの時間の間に眠っていた授業の分のノートを、
奏空から借りてノートに書いている状態だ。 流石、かなり見やすいっ!
PM 06:11
いい感じにカレーのいい匂いがする。
そんな中、俺は料理以外の家事を今、しているところである。
いつもの日常だったらしてないんだけどね... これが自立の大変さかぁ...。
「ただいまー。」
そんな中であった... 突如として、あの方が帰ってきた...!
お兄様が帰って来た!! ってより、教師ってこんなに早く帰ってきていいの!?
そんな疑問の中、お兄様がリビングへ。
「おかえり、お兄ちゃん!」
リビングにお兄様が入った瞬間に奏空のスマイル!
「ただいま。今日はカレーか... 奏空も美味しそうに作れるようになったな。」
「えへへ。 そーかな?」
「お兄様、今日は早いですね!」
「…如何した? 悠? なんだもっと頭が悪くなったか? …いや、元々か。」
「俺の頭なんて単細胞ですよ、どーせっ」
「そうだな。」
「…え。」
そんな会話の中、ご飯を食べる準備を始める奏空。
俺は素早く手伝う準備にかかる!
それを見たお兄様も手伝おうとするが…
「おにいちゃん? 手を洗わないとダメだよ?」
「…すまん。」
「ざまあーっ!!!」
「オイコラ、悠っ」
そんな感じだった。 本当に温かくて面白かった。
俺はこれは〝夢〟なんだと思えなくなってしまう。 でも、今日はとっても楽しかった。