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〝 夢 世 界 物 語 〟  作者: 神昴
〝日常編 後編〟
20/44

第二十話〝大風〟

新たな訪問者... ――発動拒否!?

04月24日

AM 10:27

俺達は菜々美を失った悲しみの登校を終え、学校の授業を普通に受けている。

しかし、菜々美は実際にいるのだが本人は全くの別人になっている。

悲しみの中、授業をまともには受けることが出来なかった。

情報によれば、昇さんはこのことを知っていた。

しかし、光はそのことを知らなかったらしい。 そう、光は大切な記憶...

〝覚醒ノ記憶〟を失ってしまうことを恐れていた。

失くしたくない為には、戦って... 必ずセフィラやリングなどを破壊させないこと。

所持者が亡くなってしまえば、セフィラやリングはまた新たな所持者を探すのだが、

破壊されれば、セフィラやリングは新しい覚醒者を探せないことになる。


俺は考えていた。  …これからのことを。

もし、俺がこのまま弱いままだったら... 他の者にセフィラが奪われたり、

破壊されたりするのか、と。

ならば、強くなるしかない。 そう思っていた。

しかし、俺にはまだ力が無い、何もかも始めたばかりだ。

菜々美もリングを手に入れた時は俺と同じだった。

しかし、菜々美は短時間で成長していたので、菜々美はすごいなと思った。

〝覚醒ノ記憶〟があったら... 一緒にヴァングルスとかと戦えたのに。

そして、何時も通りの学校生活が送れたのに。



AM 11:57

お昼の時間なのだが、菜々美の姿は勿論ない。

ともあれ、先程廊下で見かけたのだが...

菜々美から見れば、俺は全くの他人となっており、全く気づくこともない。

何か悔しくも悲しくも思ったのだが...

覚醒者にはこういう結末が待っていることを俺達は実感した。


「お昼... 食べないんですか?」

「いや...。」

「じゃあ、僕は先に食べてますよ。」

「なあ... 怜。 お前は悲しくないのか?」

「…悲しいとは思います。」

「そうだよな…。」

「でも... ここから先に進まなければ何も進みませんよ?

  行動すべきことは行動すべき、考えるべきことは考えるべき、

   悔しがることは悔しがるべき、諦めるべきことは諦めるべきですよ。」

「…。」


怜の言葉に少し気になった。

そして、何故... 怜はそこまで平常心を保っているのだろうか?

昔にこう言うことがあったからこそ、怜は強いのか... と、俺は思っている。

そうだ、菜々美は死んだワケでもない。 …俺達の記憶がないだけだ。

しかし、俺達を知っていない菜々美は... 俺達にとっての菜々美ではない。


「まぁ、諦めてはどうですか?  菜々美さんのリングは破壊されたんですよ。」

「そ、そうだよな...。」

「何時もの悠くんらしくないですよ? 後、みなさんも。」


奏空はあまり今日は喋ってなく、ただご飯を口に入れて食べているだけ。

それを見ている光はなんだか、言いにくそうな顔で俺の方を見ている。


「…怜...。」

「どうしました?」

「菜々美のリングを破壊した本人って今... どんな表情をしているのかな?」


すると怜の箸が一瞬止まった。


「…分かりませんね。 僕はそう言うことをしたことはないので。」

「そうだよな...。」

「しかし、罪はあると思いますよ? 人間だと思いますから。」

「菜々美のリングを破壊したのは、ヴァングルスじゃないと...?」

「えぇ、僕の勘では。」

「すごい勘だな、それは...。」


光とヨウ、昇さんは完璧に違う。

まず、名前をあげる意味が俺にも分からないしな。


次にフローレンスを疑ったのだが... 行政からの特殊部隊の部隊長だ。

ヴァングルスを倒す為だけにつくられた部隊が、

覚醒者のリングを破壊することなんて、考えられない。


澪狗か?

アイツは菜々美を操ったりしたのだが...

俺には澪狗がリングを破壊して楽しんでいるなんて想像がつかなかった。

アイツの目的は俺のセフィラと俺の命。

そして、セフィラを集めて... だったような気がする。


皇王 煌... アイツは... …分からない。

アイツには破壊という言葉がなかった気がする。

ともあれ、あの仮面の男はまだ正体が分からない...。

正体が分からないヤツこそ、破壊など...



いや、待て。



最後に怜を疑った。

しかし、そんなハズはないと... 俺は思っていた。

だって、俺達と友達なんだ。

そんな友達が裏切ったりはしないだろうよ。 普通に考えて。


しかし、怜は色々と知らない情報を淡々と説明したり出来る。

少しは疑うのだが... 完璧に違うだろうな。 俺の考えだと。


俺は疑うことで菜々美の敵をとろうとしているのか?

もう、俺達の菜々美はいないのに。

そんな考えはもう諦めてしまえばいいのに。

俺はそう言うことを思いながらも... 暗い昼の食事を進めていた。


PM 12:31

俺は奏空、光、怜に一言行って屋上へと一人で行った。

その時、怜もどこかに行くと行ってどこかへ行ってしまった。

奏空と光は教室で待っていると言っていた。



PM 12:32

俺は一人で屋上に来た。

しかし、今日は何故か屋上には一人も居ない展開だったので、

俺は大胆にも真ん中に横たわった。


「…いい天気だ。」


俺は寂しい男ではないのだが...

今はこう言うセリフが似合う男なのさ。

…そんな理由をつけてアホな感じな俺だった。 いや、アホだ。


そんな時に一人、俺の方に向かってくるじゃないか。


「悠。」

「フローレンスじゃんかっ。」


そう、こんなタイミングがいいところにフローレンスはやってきた。


「…んで、なんでフローレンスが此処にいるんだ?」

「いちゃダメなのか?」

「いや、すまない。」

「まあ、私みたいなのがこう言う所に来ないキャラらしいしな。」

「そだねー!」

「いや、拒否しろよ。」

「ごめんなさい。」


少し怖いけど、フローレンスは優しい女の子なんです。

そんな時だった。


「 うーおーあーあーあーあーあーあーあーあーあーっ!!! 」


突如、空の方から女の子の叫び声みたいな声が聞こえた。

と、その瞬間... 寝ている体制の俺の腹に何かが直撃した。


「 グウオアアアアアアアアッ!! 」


…自分でも驚くぐらいの奇妙な声。


「だ、大丈夫か? 悠!?」


…心配するフローレンス。


「いっ... たたたっ」


…俺の腹の上で痛いポーズ。 ってより、痛いのは俺の方ね!


「悠?  …返事がない。ただのしかば...」


…いやさ、これはもうみんなが分かりきっているセリフだしさ。


「あ、だ、だいじょうぶですか!?」


…俺の腹に乗っている女の子が俺に話しかける。


「…。」


…俺は動けない。


「大丈夫だ。 そこの女の子。 そこのヤツは死んだ。」


…な、なんてことを言っているんだよ!? フローレンス!!


「わー。 またやっちゃいましたねー。。」


…ぇ、なにを言ってるんです!?


「女の子... お前も波乱な人生を送って来たんだな...。」


…ぇぇ!?


「はいです!  まったくもってはらんでしたよー。」


…波乱だったのか... こんな可愛い女の子に。


「ふむ、了解した。 じゃぁ、可哀想だから私がパンでもおごってやろう。」


…ぇ!?


「ふぇ!? ほんとうですか!? やたー!」


…ぇ、まさか...!?


「それじゃぁ、行くぞ、女の子。」


…俺を... このまま...!?


「はいですー!」


…置いて行くつもり... なんですか!?


フローレンスと空から降って来た女の子はパンを買いに購買へ行きました。

俺は... 勿論、放置された、と行ってもいいぐらいの放置。

しかも、屋上にはびっくりするほど誰も居ない日ですよ。 これは酷い(笑)


俺はそんなことを考えつつも... 気が付いていたら気を失っていました。



PM …分からない。


「俺を置いて行くなあああああああああああああああああああっ!!」


俺は起きた。 びっくりな早さで起きた。

しかも、ここはベッドの上... そう、保健室らしい。

ってより、びっくりするほど遅いツッコミです。


「悠。 大丈夫か?」


俺が起きてすぐに見かけたのはフローレンスだった。


「「悠くんっ!」」


そう、奏空と光もいらっしゃいます。


「…ッ...」

「動くな悠、お前は腹部を打撲している。」

「…マジかよ...ッ」

「悠くん...っ」

「…あ、あのさ...ッ」

「悠くん。 ダメ... 話さなくてもいいよ。」


そう言って奏空は俺の手を強く握りしめていた。


「ごめん...。 奏空。」

「ううん。 いいの...。 安心してね、悠くん。」



奏空が心配そうな顔で俺の方を見てくれているのだが、

死ぬんじゃないんだから、手を握るのは止めて欲しいのだが...

いや、違う! これは... 逆に喜ぶべきことなのか...ッ!?w(ぁ


「奏空... 大丈夫。」

「うん...。」


俺も奏空の手を強く握りしめていた。

何故だろうか... 俺は... …何故こんなことに...



って、待てよ...?



俺は...   あ!?




いや、あの女の子が空から降ってきて、それで腹部に。

俺は上半身を上げようとしたのだが、無理です。


「…悠くんまでも... こんなに...ッ」

「光ちゃん...。」

「悠、後で敵は討ってやるからな。」


と、そんな会話をしているのだが、正直、敵って言うレベルじゃないよね!?

ってより、何時の間にフローレンスと奏空、光達は出会ったんだ...!?

そんなワケで俺は聞いてみることにしてみた。


「なんで、フローレンスと奏空、光が出会っているんだ?」

「え!?  それは... 話せば長くなることだけど、聞く?」

「あぁ... 気になるからさ。」


そんなワケで長いらしい出会い話が始まった。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



時はさかのぼり PM 12:48

フローレンスと女の子は購買へ向かって歩いていた。

そして、購買へ行く時にすれ違う人々は必ず注目してしまっている。

そう... それは女の子の服装でもあるが...

フローレンス・ラシュアがこんな幼い女の子を連れて歩いていると、

親子にしか見えない。  フローレンスが制服だとしてもだ。


「ねーねー、おねーさん。 なんでボクにそんないいことをしてくれるんです?」

「いや、お腹が減ってると思ったから。」

「おお! さすがおねーさん!」


と、購買のおばちゃんの所へ行くのだが...

その並んでいる人々を無視して、そのままおばちゃんへと話しかける。

…順番を守れってば、フローレンスっ!


「じゃ、何が食べたい?」

「あれがいー!」

「そうか、激辛カレーパンか。」

「ち、ちがうのですよ!!」

「まぁ、分かっていたけど。  このチョコパン一つ。」

「はいよ。」

「わーい!」


順番を守らないフローレンスと女の子はそのまま屋上へと向かった。



PM 12:59

午後の授業が開始される1分前、それなのにフローレンスはゆっくりしていた。

…って、授業をサボる気かよ!?


「美味しいか?」

「はいですー☆」


女の子の笑顔...ッ!!


「あ、そうだ。 お前の名前は?」

「あー。 風間(かざま) (まこと)ですよー!」

「…可愛いのに無駄にカッコイイな。」

「ふぇ? そーでーすーか?」

「なんか... 真って言う字はさ、男系じゃないのか?」

「いやー、せんぞさまがそーいうかんじじゃないんですよー。」

「そ、そうなのか。」



PM 13:07

午後の授業が開始されている時間である。

そんな中、フローレンスと真は屋上へ辿り着く。

そして、フローレンスは真に対しての質問をする。


「お前はどうしてここに落ちて来たんだ?」

「あーう。 ちょっとしっぱいとかしちゃってですねー。」

「失敗?」

「あー。 ボクのじっけんなのですよー。」

「実験?」

「じっけんはですね、ひとはそらをとべるか!」

「飛行?」

「まーあ。 じっさいにはとべるはずがないのですが...

  ボクたちのせんぞさんがたは、そーやってかぜをかんじていたんですよ。」

「風?」

「…えーと、おねーさん... ことばがすくなくてだめです。」

「言葉?」

「わざとですよね...?」

「ですよね☆」

「…むー。」

「いや、冗談だ。  …お前の先祖様はすごいことを考える人なんだな。」

「そりゃ、なんだかへんなことばかりかんがえているせんぞさまらしくて。

  そらをとぶとか、そんなのにんげんにはむりなんですよね。」

「いや、出来るんじゃないのか?」

「…むー。」

「すまん。」

「で... そんなわけでボクのおとおさんとおかあさんから

  こんなものをもらってきちゃいまして... で、おちてきました。」


この言葉の意味は分からないような設定です。

だって真ちゃんはまだ子供なんですもん。

ってより、ひらがなだけだと読みにくいんだけど... 打ちにくいんだけど!


「む、漢字(かんじ)にするなら平仮名(ひらがな)()かないとダメなのですよ!」


面倒だ、ああ、面倒だ、真ちゃん。

どうして、男らしい名前なのに、そんなに可愛いの!?


「そんなのは(ボク)にも()かりませんです!」


いやさ、それは分かってるよ!?

ってより、漢字を平仮名に直すとか... 時間かかるんだけど!!


「ふぇー!  ()いじゃないですか!

  (ただ)しい(こと)()っていると(おも)いますですよ!」


もういいや... 先に進むよ? 良いかい? 真ちゃん!?

…そんな時、真は両親から貰ったあるものを出す。


「これなんですよー。」

「…こ、これは...ッ!?」


そう... 緑色のリングだった。

直前で自分のリングを確認するフローレンスだが...

色が違うだけで、全く同じリングだった。


「…覚醒者なんだな、お前。」

「かくせいしゃ?」

「…?」

「かくせいしゃってなんですか?」

「…。」


どうやら覚醒者と言うことは分かっていないらしい。

そりゃ、子供が覚醒者だと思うとびっくりだしさ...。

そんなワケで真はリングを手に付けるがグルグルして遊んでいた。


PM 01:29

そんなワケでフローレンスと真は屋上に居座り続けている。

…ってより、教師... 屋上まで見回りに来いよ!

悪な人が授業をサボるのに対してめちゃくちゃ屋上っていい所だぜ!?


「ねーねー、おねーさん。 じゅぎょーはいいんですかー?」

「…あ、忘れてた。」


絶対嘘だ。 チャイムがさっきから鳴っている時点で嘘だ。


「ま、私は成績優秀だから一回ぐらい大丈夫だ。」

「へー。」


一回じゃないだろ!  あの時はどうなんだよ!


「…で、話しは戻るがお前はそれをどーしたいんだ?」


リングについての話しを再開させるフローレンス。


「うー。 しょーじき、ボクにはひつよーないんですよねっ」

「じゃ、それをどーすんだ?」

「おねーさんにあげましょうか?」

「いや、私にはお前と色と属性は違うが、同じリングを持っているからな。」

「むー。」

「まあ、隠してれば大丈夫だろうな。」

「ぇ?」

「最近は、それを狙っている(やから)がいるワケよ。」

「そーなんですかー。」

「お前は本当に覚醒者じゃないんだな?」

「うー。 わかんないですー。」

「じゃ、発動してみればどうなんだ?」

「はつどうってどーやるんですか?」


フローレンスは少し目を細めて真を見る。

真は少しビクビクしながら、見ていた。


「私が実際にしてやろう。」

「おぉ!」


そうして、フローレンスは立ちあがり、手のひらを太陽に向けて、

フローレンスの黄色のリングを腕に付けた状態で、叫んだ!


「――〝発動〟ッ!!」


フローレンスの周りには黄色いオーラが放たれる。


「おおおおおおおおおおお!!」


真が大喜びしていた。  なんでだろ...。

そして、フローレンスは自分の武器である〝電雷・響斧〟を肩に乗せ、

仁王立ちな感じで真に向かって立った。


「どうだ?」

「おおおお! カッコイイですー!」

「お前もしてみればどうだ?」

「ボク、やるきがでました! やってみます!」


そうして、緑色のリングを腕に付け... 真も同じように手のひらを太陽に向けた!


「はつどうううううっ!!」


その言葉と同時に緑色のオーラが真の周りを包み込む。


「おおお!?」

「!?」

「やった! できましたよ!!」


…と、真が話した瞬間に緑色のオーラが消えた。


「…ぇ?」


そして、そのまま緑色のオーラや武器は一切出てこなかった。


「しっぱいですね…」

「…まあ、ドンマイってことにしてくれ。」


しかし、どうなんだ?

これは覚醒者としてリングが認めていないのか?

それともリングが発動を拒否しているのか?


「…うー。」

「ま、練習だろう。」


そう言って見たものの、真は少し俯いていた。


「ボク、いえにかえります。 ありがとです、おねーさん。」


何か悲しい感じの終わり方だった。

しかし、フローレンスにもよく分からないことがあった為... 何も言えなかった。


「じゃあ、ですよー!」


と、真は屋上のフェンスを乗り越えて行こうとしていた。


「危ないぞ!」

「いあいあ、だいじょーぶですよ! じゃ、ですよ!」

「あ!」


真はフェンスを乗り越えた。

と、フローレンスは真が乗り越えて行ったフェンスの辺りを確認するのだが...

勿論姿はなく... 下を見たのだが真の姿はどこにもなかった。

そして、午後の授業の4時間目の終了のチャイムが鳴り響いた。


と、まあ、こんな具合でフローレンスと真は出会ったワケなのだが。


「…そうだ。」


と、フローレンスは何かに気づいた様であり、屋上の真ん中へ。


「生きてるかー?」

「…。」

「生きてないか。」

「…。」

「まぁ、仕方ないしな。」

「…。」

「心広い、私が保健室まで運んでやろう。」

「…。」

「礼ぐらい後で言えよ。」

「…。」


そうして、死んでいるような塊をフローレンスは担ぐのだが...


思い出せ、あの時の出来事、そして場所を!


「悠、一言ぐらいなんか言えよ。」


そう、フローレンスが担いでいるのは悠である。

真が空から降ってきて腹部に直撃し、そのまま放置されて早一時間ぐらい。

そんなワケで色々と放置されていた主人公。

しかも、フローレンスと真は屋上まで再度来てるのになんかしろよ。

ってより、真、お前... 犯人だろうが!


…あ、ヤベ、この設定は悠は真のことを知っている設定になってしまうから、

女の子! 早く気づいてあげて!? ってより、運べよ!


そんなワケでフローレンスは悠を担ぎ、屋上を後にするのだった。

もっともあの女の子が運べるハズはないしな。

おねーさんであるフローレンスが運んであげないとねー!


ともあれ、フローレンスは本当に優しい奴だと俺は思っていた。いや、優しいよね。



PM 01:52

フローレンスは悠を担ぎながら屋上から降りて来た。

ちなみにこの学校の作りは5階まであり、

最上階の5階は屋上、4階は一学年、3階は二学年、2階は三学年、

1階は職員室および色々... と、なっており、

理科室、家庭科室等の移動教室は反対側の棟にある。

今は3階に降りて来た所だった。

丁度その時にフローレンスは、奏空と光に初めて会った時だった。


「あ、悠くんだ!!」


光がいち早く見つけ... フローレンスに話しかけた。


「あの... えーと、初めましてっ! 後ろに担いでいるのは悠くんだよね?」

「ああ、そうだが?」

「悠くんは一体どうしたんですか!?」

「…あぁ、死んだ。」

「「!?」」


奏空と光に緊張が走る。


「いや、死んだは言いすぎた。 多分、気を失っている。」

「よ、よかった。。」

「もお! ビックリするじゃないですか!」

「いや、こう言うことを言えば私は冷酷な感じじゃなくなると、

  悠に言われてな。 それでだ。」


フローレンスが真面目な顔で普通に言うとそりゃ冗談じゃなくなるよね。

しかも、今日が初めて会ったのに。


「…え、えと手伝いますよ!?」

「大丈夫だ。 悠には少し貸しがあってな。」


…貸しってなんだろ?


「そ、そう言われても手伝いますってば!」


奏空が悲しそうな顔でフローレンスに話しかける。

それを見かねたフローレンスはすぐに諦めた。


「…そ、そうか... なら、保健室へ運んでくれ。」

「は、はい!」

「奏空、一緒に行こっ!」

「うん!」

「私はいいのか?」

「は、はい... ぇーと...?」

「フローレンスだ。」

「フローレンスさん、有難う御座いましたっ!!」

「ありがとうですっ!」


そう言って奏空と光は悠を担いで保健室へと行った。


「私は同じ学年なのに。 敬語じゃなくても。」


フローレンスが妙な顔で独り言を言っていた。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



PM 01:57

奏空と光が保健室に到着した。


「さ、紗夜子先生っ!! ゆ、悠くんがっ!!」

「…ま、また悠くんなのっ!?」


どうも乗り気のない保健室の先生。

そんな先生の名前は 高崎(たかさき) 紗夜子(さよこ)先生である。

この学校の美人で一番綺麗な先生で人気でもあり、

保健室の先生とか、真面目にいいでしょ、それ! 的なね!

ちなみに眼鏡かけてますー。


「…で、今回は... っと、奏空ちゃん、光ちゃん、悠くんをそこに乗せてっ」

「は、はい! 行くよ、光ちゃん!」

「せーのっ!」


そうして、悠は保健室のベッドの上にあげられた。


「後は... 先生に任せて、貴女達は教室へ戻りなさい。」

「…わ、私は悠くんが心配だから残っていていいですか!?」

「あ、光もいいですかっ!?」

「コラっ それはダメっ」


言い方が可愛いのは若いからです。


「せ、先生っ!!」

「お願いしますっ! 先生っ!」

「…え、そこ粘っちゃうの!?」


可愛く驚く先生。


「も、もぉ、今日だけなんだからっ!」


ちょ、先生...!? そこはいいんですか!?


「先生! 有難う御座いますっ!」

「やっぱり先生は良い人ですっ!」


そんなワケで奏空と光は保健室で俺が目覚めるまで、待つことになりました。

…授業... オイ、授業は本当にいいのかよ...ッ!?



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



時は戻り PM 03:56


「…あー。 スゴイ感じに出会ったんだね... フローレンスと奏空と光は。」

「まあ、私は運んだだけだ、感謝しろ、悠。」

「有難き幸せー!!」

「ってことで、悠くんが元気になってよかったよっ!」

「まあ、光達はずーっと待ってたんだから感謝してよね!」

「おぉ! 有難き幸せ!」


…ってより、授業は本当に良かったのかよ...


「まぁ、話はよく分かったけど... みんな俺のことを心配しすぎじゃない?」

「…心配したんだもんっ」


奏空が少しふくれた。  可愛い。


「じゃ、私はこれで失礼するな。 じゃあな。」


フローレンスはその場を後にした。

そして、紗夜子が話しかけてくる。


「あ、悠くんおはよー。」

「お! おはようございます! 紗夜子先生っ!」


突如元気になる俺である。


「まぁ、元気になってよかったと思うんだが... もう少し寝てなさいねっ」

「えぇ、俺はかなり休んでいる予定ですぜっ!」


何言っているのか正直分からなくなる状況ですぜ。


「後は先生に任せてみんな下校の時間だよ?」

「あ、そうですよね...。」


奏空がまた寂しそうな顔で先生の方向を見る。

まさか... また、待つんじゃないだろうな...!? 奏空!? 光っ!?

そんな時に先生が奏空に話しかける。


「どうしたの?」

「私... 悠くんをまた待っていてもいいですか?」

「あ、光もっ!」


い、言っちゃったよ!


「…んー。 正直、遅くなっても奏空ちゃんと光ちゃんが、

  悠くんを運んで下校出来ないと思うから...。」

「そ、そうですよね...。」


まぁ、そうなると思うね...;;

授業もサボって... まぁ... ここは先生の言うことを信じなきゃさ。


「悠くん... じゃあ、気をつけて帰ってね。」

「悠くん、また明日だよ? あー、怪我しちゃダメだよー?」


そんな感じで奏空と光は保健室を退室した。

俺も奏空と光にはもう迷惑はかけられないと思っているし...

あの二人を巻き込むことによって... 俺は頼り過ぎているワケでもある。


そんな時に紗夜子先生が話しかけて来た。


「あの二人には手があがらないよ... 先生っ」

「そ、そうなんですか!?」


どうも可愛らしい仕草をしている先生。


「…で、先生に教えて欲しいんだけどっ!」


紗夜子先生がワクワクしながら俺に聞いて来た。 可愛い。


「悠くんは奏空ちゃんと光ちゃんはどっちがタイプなの?」


うおう! ビックリしたー!


「な、なんでそんなことを聞くんですか!?」

「いやさ、先生だって気になるもんー」


可愛い。


「それとも…?」

「それとも?」


ま、まさか...!? 紗夜子先生は俺のこと...


「まぁ、冗談はこんな風にしてみるね!」

「…。」


そんな先生の冗談が大好きです。


「先生... で、俺は動けないんですが...」

「そうね...。」


で、先生はそこまで考えていなかったらしい。

これは... まさか一日保健室で待機なのか...!?


「じゃあ、一日保健室で待機ね!」

「…!?」


まさか、本当にそんな風になっちゃうの!?


「冗談だってっ」

「…!?」


何かと俺を弄る先生。 


「じゃあ、私の車で悠くんの家まで送ってあげようか?」

「おぉ!!」


と、言うことで紗夜子先生の車で家まで送ってくれることになった。


「ってことで、私の仕事が終わるまで... 大人しく寝ててね!」

「はーい!」


そして、ワクワクしながら... 眠れなかったけど横になっていた。

ちなみに紗夜子先生の車に男性を入れたことがないらしく。


 俺 が 初 め て の 車 に 乗 っ た 男 性 で す 。


いや、正直どーでもいいんだよね。



PM 05:29

悠が寝ている時である。

そんな中、突如紗夜子先生が悠のベッドへ。

紗夜子先生は悠に気づかれないギリギリの所でベッドの上へ。

そして、悠の腹部を調べようとして... ある物に当たったことに気がつく。


それは...


「やっぱり... ケテルね...。」


そう呟いて悠の寝ているベッドから降りた。



PM 06:38

そんなワケで俺はこの時間には腹部はまだ痛むのだが、

なんとか立つことに成功した。


「おおー! 回復したねー」


そんな所を先生に見られて少し照れた俺。

そりゃ、俺の特殊なセフィラ、ケテルを持っているお陰で、

身体の回復はビックリするほど早いからさ。

これは先生には言えないんだけどね。


「じゃぁ、私も仕事が終わったから... 行こうかっ」

「おお、行きましょ! 先生!」

「無駄に元気ね... 悠くんっ」

「えぇ、そりゃ、ハイっ!」


無駄に元気な俺です。 先生が苦笑いな感じでした。



PM 06:40

俺は先生の力を借りながら...

っと、肩を少し借りている為、先生の胸が当たっています。←


「あ、段差に気をつけてね。」

「はーい!」


気づけば、年齢が低くなっている点もあげられる俺。



PM 06:46

紗夜子先生の車の中より...


「悠くん、学校生活はどう?」

「えー、そりゃ楽しいですよー!」

「ふふ。 じゃあ、今度からは保健室に来ないように努力しようね!」

「…ぇ!?」


…な、何故だ... 俺が保健室へ来ちゃダメなのか...!?


「ぇーと、先生、俺は先生に会いにきているだけです。」

「じゃ、怪我しないように学校生活を送ろうね!」


確かにねー。 でもさ、ヴァングルスとかと戦っている俺には...。


そんな時先生の表情が突如、一変した。


「ねえ、悠くん。」

「はい?」

「ケテルの能力が効いているみたいだね。」


…!?

突如、先生が俺に向かって言った、言葉に俺は驚いた。

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