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〝 夢 世 界 物 語 〟  作者: 神昴
〝日常編 後編〟
19/44

第十九話〝宿命〟

宿命の運命... ――裏切りの怜

04月23日

PM 06:48

近藤 菜々美と清水 怜は戦闘中である。

場所は下校途中の道から移動して、人通りの目立たない土手へと移動している。

二人はリングを発動させている為すぐに戦っている。


「ハアアッ!!」


菜々美の〝炎ノ剣〟は怜を目がけ振り下ろされる。

しかし、すかさず怜は回避し、菜々美に攻撃を仕掛ける為に、

距離をとりながら〝ブレイヤー〟で銃撃攻撃をした。

菜々美は銃撃攻撃を炎を纏わせた剣で振り払った。


属性的には菜々美のリングの属性である〝火〟は、

怜のリングの属性の〝水〟には弱点である。

しかし、属性の〝火〟は弱点であるのにも関わらず、

菜々美の発動力が強い為、同等な勝負となっている。


「ふむ。 距離をとれば銃撃攻撃が有効だと思ったんですが。」

「近距離じゃないのは、うちは嫌いだッ!!

  ――いくぞッ!!  ハアアアアアッ!!」

(うちはこんな裏切り者に負けてられるかッ!!)


菜々美は再び、〝炎ノ剣〟に炎を纏わせながら怜に対して走っていく。


「無駄ですよ!! 貴女の戦い方で僕には勝てませんよ!

  ――〝アクア・ショット〟ッ!!」


怜は銃撃攻撃を始める。

菜々美は銃撃攻撃をかわしながら、怜にだんだん近づいて行く。


「くらえッ!!! ――〝ファイアー・クラッシュ〟ッ!!!」


菜々美の攻撃が怜に直撃した... と、思った瞬間。

攻撃は怜の武器である〝ブレイヤー〟をトンファー状にした形で、受け止められた。


「…え...!? それは銃じゃないの!?」

「えぇ。 前にも〝ある人〟に言われましたよッ!!」


怜は受け止めたトンファー状の〝ブレイヤー〟で剣を弾き返し、

近距離での攻撃を開始させる。


「僕は近、中、遠距離とも... どの戦いのパターンでも戦えますからね。

  貴女の得意分野でもある近距離でも戦えますからね。」

「そりゃ、スゲェーな。。 でもさ、うちの近距離攻撃の方が強いってのッ!!!」

(負けてられるか...ッ!! こんな裏切り者に...ッ!!!)


怜に向けて、構えていた菜々美は〝炎ノ剣〟に炎と纏わせ...


「〝ファイアー・ブレス〟ッ!!!!」


それを怜に向けて放った。


「怜ッ!! うちは本気だ...ッ!! アンタを本気で倒す気でいるッ!!

  本当にアンタはどーなっちゃったんだよっ!?」


怜は菜々美が放った炎に向けて...


「〝アクア・スラッシャー〟」


トンファーから水の刃で炎を斬り刻んだ。

炎はあっという間に消滅してしまうのだが...


放った炎が怜の攻撃によって消滅した瞬間に菜々美は、

怜の目の前に飛び込んだ!!


「――〝ファイアー・...


炎を纏った〝炎ノ剣〟でまず、怜に縦斬で攻撃をし...


            ...クロス〟ーッ!!!」


十字に斬る様に次は横斬での連続攻撃を決めた。

その攻撃は怜の武器を吹き飛ばし... 怜にダメージを与えたのだった。


「…中々... やりますね。」

「うちだって... やれば出来るんだからっ!!!」


怜はダメージを受け、地に手を着けた。


「ふふ... やはりこう言う攻撃だと思ってましたが...

  反応に遅れてしまいましたね。

   しかし... これで、貴女と僕は同等です。」

「…!?」

「さあ、僕も本気で行かせてもらいますよッ!!!」


怜はダメージを受けたのにも関わらず、素早く距離をとり...

自分の武器の〝ブレイヤー〟を回収した。


「どういうこと... なんだ...?」


不安な表情で怜に話しかけたのだが...


「…。」


怜は答えようとしない。 そして、怜から攻撃に出た。


「は... 早いッ!?」


怜は無言で菜々美に距離をとって行く。

しかも、先程の戦闘よりも格段に行動スピードがあがっている。


「…手を... 抜いていたのかっ!?」


勝負事は本気で戦う主義である菜々美に対しては、かなりの腹が立つ行動だ。

しかし、その言葉も無視をし... 菜々美の目の前に怜がいた。

菜々美は剣で攻撃をするのだが... 怜は軽々避け、攻撃を開始する。


「〝アクア・スラッシュ〟」


近距離攻撃。 しかも、菜々美の目の前で剣がかわされた状況であり、

菜々美は剣で攻撃を受け止められる態勢ではないことを把握していた。

しかし...


「〝ファイアー・ウォール〟ッ!!!」


突如、菜々美の周りに現れた怜の斬撃攻撃を炎のオーラが防いだ。

そして、その防御技から、菜々美は攻撃へと出る。

剣を怜に向け、此方も負けず斬撃攻撃をするのだが、

怜はすかさず、距離をとったのだが...


怜の水の刃が菜々美の目の前に写った瞬間には、

菜々美の〝炎ノ剣〟が宙を舞っていた。


すかさず、菜々美は... 防御技をしようとするのだが...

怜の攻撃は菜々美の腹部に直撃していた。


「ガ... …グハ...ッ!! れ... 怜...ッ!!!」

「安心してください。 トンファー状にただ攻撃しただけです。

  僕の水の刃で貴女の腹部には攻撃していませんので。」


菜々美はそのまま倒れたのだが、腹部からは血は流れてはいなかった。

腹部にかけての打撃ダメージに変更させたらしい。


「僕の狙いはただ貴女のリングだけですから。」


菜々美はダメージで倒れた衝撃で発動は解除されていた。

怜は菜々美の右腕に着いている赤色のリングを回収し...


「…お疲れ様でした。」


赤色のリングを真上に上げ、トンファー状に持った〝ブレイヤー〟で破壊した。

その瞬間... 菜々美は赤いオーラを纏ったのだが...

すぐに赤いオーラは菜々美から消えた。


「貴女だけは... 巻き込みたくはなかったんですよ。 ――近藤さん。」


そう呟いて、怜は姿を消した。

その後、菜々美は数分気を失っていた。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「ここは... どこ...?」


――やぁ。


「…!?」


――そんなに驚かなくてもいいよ? 菜々美ちゃん。


「なんで... うちの名前を知っているの!?」


――あぁ、ずっと見てたよ?


「ずっと…!?」


――そうだよ... 君が知らない所でね。


「うちが知らない所...?」


――まぁ、気にしないでね。  でさ、君は何故ここに居るか分かるかい?


「分からない。」


――そりゃ、そーだろうね。 ここは〝僕の世界〟だからね。


「…で、うちは...」


――あぁ、話さなくても大丈夫だよ。 君は... 先程、戦いに敗れたんだよね?


「そうだよ... 友達だと思ってた人にうちは... やられた。」


――へぇー。


「うちは悔しい... もう一度だけ... もう一度あの時に戻れるなら...

  うちはあの時... 攻撃方法を変えてれば...ッ」


――そんなに自分を責めなくてもいいんだよ?

    あの男は君よりも格段にレベルが高いからさ。

     君があそこまで戦えたのは君も十分強いってことだし。


「…。」


――まぁ、あの男がなにを考えているのか僕にも分からないからさ。気にしないでね。


「…で、うちは死んだのか?

  こんな知らない世界は知らないし... さっきまで土手に居たんだけど。


――君は死んではいないよ、土手に倒れているだけ。

    でもね、君の大切な記憶だけが死んだんだよ。


「うちの大切な記憶だけ…?」


――そう。 君の大切な記憶だけね。

    そのワケはね... 君の赤色のリングが破壊されたからね。


「…あぁ、リングは怜にやられたんだ。

  目的とかなんだかとかで... うちのリングは...ッ」


――目的か... ふむ。。

    で、何故君はリングを使って、戦おうと決めたんだい?


「…正直、うちにもそこは分からないんだ。

  気づいたら、戦おうって決めていたんだよ。」


――人間って面白いね。


「ん?」


――いや、なんでもないよ。

    じゃぁ... 今後は... もっと安心して暮らせるかもね。


「…ぇ?」


――いやさ。 だって、君はもう戦わなくていいんだよ?


「…。」


――じゃあ、また会える時... いや、もう会えないか。さようなら。お元気でね。


「え、ちょっと!?」


――君に何があっても、大切な記憶はもう何もないんだからね。

    今後は安心して... ――学校生活を頑張ってね。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



PM 10:16


「ほら、菜々美明日は学校なんだから早く寝なさい!」

「わう... 分かったよ、お母さんっ!」


菜々美は明日の学校の準備をして寝る準備をしていた。


「明日の部活はキツそうだなぁ... わー。 寝なきゃ危険かもっ!」


と、近くにあった菜々美の携帯電話が鳴る。


「わっ!!」


菜々美は携帯電話を見て、喜びの顔を浮かべる。


「わー! 明日は部活がなくなったっ!? よし、友達と遊ぼーっと!

  んで、火曜日から部活は頑張るってことでっ!」


菜々美はワクワクしながらメールを友達に返信し、ベッドへと潜り込む。


「よし、明日はゲーセンでしょ、で、買い物ー!

  いや、違うところでも行ってもいい感じかなー?」


楽しみにしていたようであった。そして、菜々美は眠りに着いた。

今日は一段と安心して寝られる。そう感じた菜々美はぐっすり眠った。


何かを忘れているような感じは菜々美には全くなかった。

ただ、菜々美は普通の学校生活が楽しい女の子。


菜々美の大切な記憶は... ――一体?


04月24日

AM 08:20

今日は月曜日。俺と奏空は学校へ登校中である。

そこに、何時もの待ち合わせ場所に金土とお泊りした光がやってくる。


「おはよー! 悠くん、奏空っ! 金、土、日はありがとね!」

「おはよー。 いやさ、元気だなぁ」

「おはよーっ いやいや、光ちゃんこそありがとね!」


と、何時ものように月曜日らしい挨拶なのか分からないけど、そんな感じです。

すると、そこに菜々美の姿があったので俺は話しかける。


「菜々美おはよーっ!」


と、今まで見せたことが無い真面目で驚いた表情で話しかけて来た。


「…えと、どなたでしたっけ?」

「ぇ…!?」


菜々美に何があったのか全く分からない俺。


「な、菜々美ちゃん... どーしたの!?」

「大丈夫なのかな? 菜々美っ!?」

「えと、4組のアイドルの方達ですよね!?

  わー、今日はいい日かもしれないですっ! ありがとですよ!」

「「 !? 」」


奏空と光もびっくりな菜々美のサプライズかと俺は思ったのだが、

あの真面目に驚いていた表情... この表情からすると…

と、そこに見知らぬ女子生徒が。


「菜々美ー。」

「あ、真紀ちゃんっ!」

「おぉ、あの4組のアイドルに話しかけられたの?」

「うん!  ヤバッ! 今日はいいことばかりが起こりそうかもっ!」


そうして、菜々美は真紀と言う女子生徒と登校してしまった。


「「「…。」」」


俺達は立っているままだった。

何故... 菜々美が俺達を知らないのだろうか...?

それよりも、奏空は菜々美と友達じゃなかったのか...!?

いや、友達なら顔や名前など忘れることはないはず...。


「菜々美ちゃん...。」

「奏空...。  いや、あれはサプライズ... じゃないか?」

「なんで... 私のこと忘れちゃったの...?」

「奏空…。」


そんな疑問や悲しみが浮かぶ時に怜がやって来た。


「みなさん、お早う御座いま... っと、なんだかそんな雰囲気じゃなさそうですね。」


怜は何も知らないように俺達に話しかけて来た。


「おはよー、いやさ... 菜々美がさ」

「怜くん... 菜々美ちゃんが...ッ...

  菜々美ちゃんが私達のことを忘れたみたいなの。」

「…悠くん、近藤さんの腕に金属リングのような物はありませんでしたか?」

「いや、俺が見る限りなかったけど...?」

「やはり。」

「ん? 何が?」


「 リングを破壊された代償です。 」


怜は確かに覚醒者だ。

しかし、ここまでの情報を知っているとは...


「 他にもセフィラやトライエッジ... 他にも最近は出現しているようですが。

   主に能力を発動できる不思議な物に関しては、それなりに代償があります。 」


俺と光は怜の言葉に驚いていた。


「そ、それは驚きだな...。」

「なんで、怜くんはそんなことを知っているの?」

「ふふ、企業秘密です。」


…どんな企業秘密だよ?


「ともあれです。 そのような能力の力を持っている人には、

  それを破壊された時の代償があり、それは...


              〝覚醒ノ記憶〟


                    ...を破壊されてしまうのです。」


「〝覚醒ノ記憶〟...!?」

「えぇ、普段暗記するような記憶、そして、思い出を記憶したりするじゃないですか、

  そのような記憶をセフィラやリングを破壊されてしまった時には、

   記憶を破壊される仕組みになっているんですよ。」


「そして、〝覚醒ノ記憶〟がなくなった者には何時も通りの日常があるのだが、

  本人には全く知らない記憶がその者の記憶となってしまう。」


つまり纏めるとこうだ。


覚醒者はセフィラやリングでその能力を発動できるが、

覚醒者はそれを破壊されたりした場合...

〝覚醒ノ記憶〟となった自分の大切な記憶がそれによって破壊されてしまう。

これがセフィラやリングの代償だ。


そして、破壊された時には自分のこれまでの記憶が書き換えられてしまう。

それは大切な記憶が全く知らない記憶になるらしい。


「じゃ、菜々美は俺達のことを完全に知らないんだな?」

「そうなりますね。」

「菜々美ちゃん...」


奏空は光に抱きつき泣いていた。

友達がいなくなる... いや、実際にはいるのだが。

菜々美はもう友達じゃない他人と言うことになっており...

今までの俺達の記憶は、菜々美に対して全く違うものになっている。


仕方がないことなのか... と、思ってしまうのだが。


朝からかなりショックな出来事があったのだが...

俺達は学校へと向かった。 何時も通りの日常ではないのだが。


俺もセフィラを破壊されたら、菜々美のような出来事が起こってしまうのか。


              これは俺の現実なんだ


俺はそう考え、いつも通りではない思いを浮かべながら... 学校へ向かった。

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