第十八話〝宿泊〟
楽しいお泊り会... ――宿命の炎
04月23日
PM 04:28
今日は突如決まったお泊まり会の日である。
俺、奏空、光は今日の夕食の具材を買いにスーパーへ到着していた。
俺達は手分けをして具材を集める。
「…アイス食べたい。」
と、俺はアイスコーナーに立ち止り... 瞬時に買い物かごに入れた。
「コラっ! 悠くんっ!」
と、目の前に奏空と丁度よく会ってしまう。
「…いや、自分のお金で買うからさっ!」
「じゃぁ、光ちゃんとヨウくんとお兄ちゃんのと私のもお願いね」
「…ぇ、それ俺が全部払うの...か!?」
「お・ね・が・い❤」
おっしゃあああああああああー!!!!!
と、思うしかなかった。 いや、もう仕方なかった。
お金? そんなこと気にするな!
PM 05:19
俺、奏空は家に帰って来た。 勿論、お客として光も一緒だ。
今日は金曜日なので... 土曜、日曜と家に泊まる予定な光である。
PM 05:21
「悠くんー、洗濯物を取り込んで来てくれないかなー?」
奏空は早速先程買ってきた物で料理を始める。
「あいよー。 任せておけーっ!」
実は、奏空の下着をたためるを狙ってました。
「悠くん、光も手伝うよー!!」
「ぉ!?」
「じゃぁ、光ちゃんにもお願いしますっ」
「任せておいてよ! 奏空の下着を悠に任せてられないと思ってね!」
――!? 光に俺の考えがバレていただと!?
「…あー。 まぁ、それが目当てだけど。」
――!? 俺は何を言ってるんだろうか!?
「わ、もぉ! 悠くん、冗談キツいよっ! じゃぁ、二人ともお願いね」
…なんだ...!? 奏空に救われた。
最近は真面目に素直に言えばいいのか。 いや、違うか。
そして、俺と光は二階の洗濯物干し部屋へと行った。
PM 05:38
俺達が洗濯物たたみを終わらせ、下へと戻って来た時。
「ただいまー」
妙な声が玄関から聞こえる。 そう、ヨウが帰って来た。
ともあれ、この時間まで一体なにをしていたのだろうか...?
俺は玄関へと向かってみた。
「ヨウ、お帰りー。」
「お、ただい... なんだよ、悠が迎えてくれるってなんか可笑しい気分がするー」
「オイ!? 喜べよ!」
「んぇー、嫌だなぁー!! 美少女以外しか興味ないし...」
ヨウが言いかけた瞬間に光が玄関へと。
「ヨウくんお帰りー」
「ちょ、え!? なんで、光ちゃんがいるんだ!?」
ヨウがビックリして脱いだ靴が吹っ飛んだ。
そして、その靴がなんかうまい具合に飛び... ダイレクトに俺の顔に!?
ってより、どーしてそうなる!?
「あ、すまねえ。 ワザとじゃないぞ。 ビックリのせいだかんな!」
「ぜってー後で借りは返すからな...ッ」
「んで、なんで光ちゃんはいるんだい?」
「今日は光は泊まりに来たんだよ」
「おおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「えへへ、お風呂とかさ、奏空と一緒に入る予定だよっ」
ヨウのテンションがいきなりあがっている。 そりゃそーだ。
家の中に美少女が2人もいるんだもん。
と、そんな時に昇さんも丁度よく帰って来た。
「ただい... …此処は学校か...?」
「お帰りです! 昇先生っ!」
「ぉー、お帰りですん! 昇さんっ!!」
「おかえりですよー、此処は家です。」
「…なんだ、残念だ!」
「いや、今日も騒がしくなりますね。」
「…。」
「お帰り、お兄ちゃんっ♪」
奏空が玄関へと来た。
「ぇーと、ご飯はもうすぐで出来るから、早くみんなリビングで待っててねっ!」
と、玄関から4人はリビングへ。
そして、それぞれリビングでの自分の趣味を始める。
光は奏空のお手伝いをしている模様であった。
んで、俺も暇なので... 奏空と光の近くへ行った。
「んーで、何か俺も手伝えることはないー?」
「悠くんは、お皿だしてくれるかな? ぁ、光ちゃん、お塩をちょっと貸してっ!」
「はいはい、他にはー?」
と、この様に奏空が無双している。
まぁ、奏空は完璧ないいお嫁さんになれると思うんだ。
一人でなんでもこなせちゃうし... 勉強、運動も出来るし。
可愛いし... めちゃくちゃ俺のストライクゾーンドキューンだし。
PM 06:02
奏空は今日の料理が完成し、夕食となった。
「「「「「いただきます!」」」」」
毎回恒例のみんなで食事の挨拶。
ちなみに、今日の夕飯はハンバーグである。
一斉に俺達は奏空が作った料理を食べ始めた。
「わー♪ ハンバーグ美味しいよっ!」
光が幼稚園児な感じでバンバーグを美味しそうに食べる。
「美味しい... あぁ... 美味しいっ!!」
俺も負けじと幼稚園児な感じでハンバーグを食べる。
「見てろっ! これがオレのハンバーグの正しい食べ方だっ!」
幼稚園児以下な食べ方。
「ヨウくんっ...? ふざけちゃダメだよ?」
奏空が大人な食べ方で怒る。
「…お前等... 幼稚園児... いや、ヨウだけ幼稚園児以下だな。」
昇さんも一口パクりっ! と、ハンバーグを食べる。
「まぁ、幼稚園児になりますよ。
そりゃ目の前に自分の好きな物があったらそーなりますよ!」
「そ、そうなんですよー!
光だって、幼稚園児じゃないんだけど、好きな物を前にすると、
そーなっちゃいますよっ」
「いあさ、オレだけ幼稚園児以下ってなんぞ!?
でもでも、昇さんだって、口にケチャップが付きっぱなしじゃないですかー」
そう聞いて、昇さんは騙された感じで言う。
「ヨウ、おまえ... いくらなんでもそりゃないだろうよっ」
そして、手を口に当て確認した。
「…。」
突如として、昇さんは立った。
そして、ティッシュをとり、手と口を拭いた。
「えーと... あぁ、あれだ... これはー。」
顔を真っ赤にしていた。
「ちょ、昇さん! そりゃないですよねー」
「光も昇先生にはお手上げですよー」
「うへー、昇先生ざまあ!」
「もぉ...お兄ちゃんってばっ」
みんなで笑ってました。 しかも、あの昇さんがだぜ!?
ってより、昇さんが確認する前にみんなは分かっていた事実であり、
笑いそうでみんなこらえるのに必死でした。
「…よし、ご飯食べよう。 あぁ。」
昇さんは食事を続けた。 しかし、みんなの視線は昇さん。
「…おい、食べろよ。」
「お兄ちゃんって意外に子供っぽい所があるんだよっ?」
「ぶっ!!」
昇さん... 卑怯です。
今回の出来事で昇さんのイメージがかなり崩れてる気がするのは俺だけか?
「ま、まぁ、いいじゃないですか。 人間...じゃな... いや、えーと!!」
「ん?」
あぶねぇ、あぶねぇ。 奏空の前で悪魔なんてことを言えるはずがないっ!
ってより、奏空は昇さんの正体を実際に知っているのか...?
「奏空、おかわりー」
「オイ、自分でしろよ! ヨウ!」
「うへーい。」
ともあれ、こーいう時に真っ先に何かを発言するな... ヨウ!
まぁ、そーいう所がいい所なのかもねー。
しかし、ヨウにも気になるところがあるのだが... まぁ、いいや。
「んで、光ー。」
「んー? どしたのー?」
「なんでお泊まり会なんだ?」
「あー。 昇先生の小テストが月曜日あるじゃんかっ。
で、それのアドバイスとか... 直接質問とかー!」
そう、月曜日には昇さんの数学の小テストが待ち構えていた。
勿論、光が言う小テストは俺のクラスであること。
俺も勉強しなきゃいけないのだが...。
「…俺は何もアドバイスもしないぞ?」
「ぇぁ!?」
「大丈夫! 光ちゃんには私がいるからっ!」
堂々とした感じで奏空!
「おぉ...! ありがとっ! 奏空っ!」
…あ、ヤベ、俺も奏空に教えてもらおー。
んで、気づいたら奏空と二人っきりな感じで... おっけーだろうね。
あ、でも光もいるんだよな...。 あれ... ダブルな感じで... ぉ!?
そう... 俺の妄想です。 パラレルな妄想がここに入る予定っ!
そんなワケで俺の妄想を含めつつ... 食事が続いて行った。
PM 07:04
「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」
俺達は夕食を終え... 自由な時間となった。
俺は奏空からお風呂が沸いた。 と、聞き... 風呂場へ。
PM 07:06
ザッバーンッ!!
お風呂に飛び込んだ俺。 …幼稚っぽいなぁ。
そんなワケで俺は湯船に浸かり... ゆったりしていた。
と、その時... 風呂場のドアが開いた。
「悠くーんっ!!」
「悠くんっ」
「ち、ちょ!?」
突如、奏空と光が入って来た。
俺はびっくりして、前を見ないようにすかさず後ろを向く。
…って、またこれかよっ!! …い、いやさ、嬉しいんだけどさ!
俺は後ろを向きながら、二人に話しかける。
「何故、入って来たんだっ!?」
「いあー、面白いかなーとっ」
「…お、面白くないよ!?」
い、いや... かなり嬉しいけど!
「私はやめようって言ったんだよっ!?」
「…むー。俺あがろうか?」
たった3分しか入っていないんだけど...
「いやいいよ! 光たちと入ってれば大丈夫だよっ!」
「いや、何が大丈夫なのか分かんないし!」
よし、大丈夫なら俺を洗ってくれるのか!?
「大丈夫だよ? 悠くんっ?」
「いやいやいや!?」
そんなワケで俺は後ろを向きながらも... 興奮してました。
「あ、あのさ... 体洗いたいんだけど...?」
「光が洗おうか? 悠くんっ?」
「あー!! 私がやるっ!」
「よし、二人は... 湯船に入ってね! 俺、出来るからっ!」
こんな展開はなんだ!?
…ってことで、俺は逃げるように風呂場から脱出した。
いや、脱出したくなかったんだけどね。 またお風呂に入らなきゃなぁ。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
風呂場から悠が出て、奏空と光の会話より。
「もぉ... 悠くん出て行くことなかったのにーっ!!」
「いや... 女の子と男の子は違うからね」
「…それを言ったら何も言えないんだけど...」
「私は普通のことを言っただけだと思うんだけどね?」
「そ、そお!? でもさ、奏空...?」
「ん? 何かなー?」
「奏空は悠くんのこと、どー思っているの?」
「んー。 難しいかなー...」
「へぇー。」
「あ、でも嫌いじゃないよ? 好きだよ?」
「えぁ!?」
「で、光ちゃんはどーなのかな?」
「え、光!? …んー、悠くんのこと... 好きになっちゃったなぁ。」
「…そ、そうだったの。」
「あ、でもそんなに好きという好きじゃないしさ! うん!」
「へぇー。」
「あ、体洗いっこしようかっ! 奏空の大きな胸とか洗ってみたーい!」
「え、ちょっと!?」
絵がないと難しいです、この場面。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
奏空と光の入浴中と同時刻、ヨウの部屋より。
「うひひ、お風呂場に超小型カメラを仕掛けておいてよかったぜ!」
ヨウは悠が風呂に入る前に超小型カメラを仕掛けておいたらしい。
「おぉ...!! すごい、すごすぎるっ!!」
超小型カメラからの中継LIVEが、ヨウの部屋のTVに映っている状況である。
※妙に湯気で隠れて見えにくいのだが、ヨウにはお構いなしらしい。
『光ちゃん、そこは... ダメだってばっ!!』
『えー、いいじゃんかっ! このデカイメロンめっ!』
『はうっ!!』
『よいではないかー!』
TVからは二人が洗いっこをしている場面である。
「これなら、いける! 確実に高収入が期待できーるッ!!」
と、TVの映像が急に天井を映しだした。
「ん!?」
突如のことで焦り始めるヨウであった…。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ヨウの部屋のTV映像が天井を映し出す直前の奏空と光の居る風呂場より。
「光ちゃん、そこは... ダメだってばっ!!」
「えー、いいじゃんかっ! このデカイメロンめっ!」
「はうっ!!」
「よいではないかー!」
と、光が石鹸を手から滑らせ... 石鹸が勢いよく上に飛んだ。
その石鹸は見事に超小型カメラのある位置に命中し...
奏空と光は気づかないのだが、超小型カメラの位置が変化したのだった。
そうも気づかず、二人は洗いっこに夢中である。
「も、もぉ! ダメだよ!!」
「女の子同士で出来るのはこー言うことだけなんだからねっ!」
「それ、理由になってないー!!」
そして、光の攻撃は無駄に続いたのであった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
PM 09:36
色々と一時的に落ち着いたこの時間。
勿論、俺は二回目のお風呂に入って来たんだが...。
と、俺と奏空と光はリビングで予定通りの勉強会をしていた。
その間に昇さんはお風呂に入っていた。
「もぉ、昇先生って丁度いい時にお風呂に行っちゃうんだよねぇ...。」
「そーだよなぁ... 昇さんだから仕方ないんじゃないのか?」
「お兄ちゃんを責めないであげてよっ、教師って大変って聞いたし...」
「か、奏空が言うならそーだよね!? 悠くん!」
「あ、ああ! そーだよな!」
どうも、奏空の言うことは正しくなってしまう。
真面目な上... 性格上、俺達は反対意見を言えない感じになっている。
「…んで、この公式はどーなんだ? 奏空?」
「あー、これは簡単だよっ」
と、俺のノートに何かを書こうとして、俺の近くに奏空が...
で、次の瞬間に俺の左腕に... 奏空の胸が...!?
「悠くん? これは、こーしてね!」
「あぁ...。」
緊張が高まる! そして、焦りも加わってくる!
「で、こーやってね!」
「ぁ、うむー」
あ、これ、動いたらもっと柔らかいものが。
全く頭に入っていない俺。
「こーやるんだよ?」
「お、おお。」
誘惑されてる俺。 全く集中出来ていないワケであります。
「むー。 悠くんは頭悪いなぁー!」
と、光も俺のノートに何かを書こうとして...
ってより、完璧に奏空に負けじとな感じがあった。
「ほら、こーやってさ!」
「ぇーと!?」
今度は光の胸が右腕に当たってる!?
「ち、違うよ! 光ちゃん! これだってば!!」
左から。
「え!? こーじゃないの!?」
右から。
こんなのが数分続きましたとさ。
ってより、こんなのは... ありえていいのか!? あれ!?
そんな所に一番来ちゃいけないパターンの男が...!!
「…ゆ、悠ううううううううううううううううううううううううううっ!!!!」
「よし、いいだろー。」
「ヨウは勉強進んでるー?」
「いや、めちゃくちゃ悠にイライラしてるんだぜっ!?」
「ヨウくん、なんで怒ってるのかな...?」
「あー。 えーとさ... 悠うううううううううううううううううううっ!!」
「お前等... 何してるんだ?」
まさかの昇さんの乱入です。
しかし... 二人していいところで入って来るよね! この二人っ!!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
PM 10:19
俺と光は奏空の講習を受けており、時間がだんだん過ぎて行くのだが...
中々時間が進んでいくのが遅くなってるのが感じた。
「こんな感じかな...? 分かったかな? 悠くん、光ちゃん?」
「むー。 なんか、分からなくなって来たよ。 ごめんな、奏空っ」
「光もなんか... うぅ... ごめんねー、奏空っ!!」
「疲れちゃったんだね... うん、了解だよ。 そろそろ休憩しようか?」
「おぉ、いいねぇ!! 奏空、ありがとー!」
「流石、奏空っ! 大好き、奏空っ!!」
光は奏空に抱きついた。 俺もそのノリさえあれば。
「あ、今日、悠くんが買ってくれた、アイスがあるからねっ!」
「わ、ありがと! 悠くんっ!」
「ってことで、悠くん... 冷凍庫にあるハズだからとってきてくれるかな?」
「あいよー」
俺はランランしながら冷凍庫にあるアイスをとりに行く。
…ってより、俺の今月の最後のお金で買ったんだぜ?
アイスを冷凍庫から回収し、光と奏空にあげた。
「やっぱり、この時期でもアイスはいいよねー!」
「そーだね、本当にありがとね、悠くんっ」
でもさ、俺は... 奏空の笑顔が見れただけでよかったのかもしれない。
…あ、光も笑顔だし、こりゃかなりの得だね。
「おー、悠、サンキュー!」
「なんで、お前までさっきまで居なかったのに知ってるんだよっ!?」
「悠、ありがとな。」
「の、昇さんも!?」
なんか... 急に居なくなったりするのに、こーいう時に二人しているんだよね…。
PM 11:20
先程、リビングにて昇さんに4人で挨拶をした。
しかし... 昇さんはこんな時間でも仕事があるんだよなー。 と。
いや、こんなに家に帰ってきているのだから、学校の仕事に決まってるよな!
俺達はもう寝る為に二階へと行った。
と、それを追いつつ、奏空、光も着いて来た。 ちなみにヨウも。
「んじゃ、オレはもう寝るよ。 おやすみー!」
「おやすみー。」
「おやすみ、ヨウくんっ」
「おやすみ、ヨウっ!」
と、ヨウが一番早くいい、部屋へと入った。
「んじゃ、次は俺だな... おやすみー!」
俺はそう言い、俺の部屋へと入ろうとし、ドアを閉めようとした瞬間。
「悠くんは寝させないよっ!」
と、俺がドアを閉めようとしたところを光が止める。
「えー。 眠いーよー。」
「じゃぁ、悠くんの部屋で寝るー!」
「ちょ!?」
「あ、じゃぁ、私も」
「いや、待て!?」
「冗談だよね、光ちゃんっ!」
「うんうんっ!」
「…むー。 おやすみー。」
「「おやすみ悠くん♪」」
と、二人のおやすみを聞いて、俺はドアを閉めて... ベッドに飛び込んだ。
疲れたなー。 と、俺はそんなことを考えつつ、眠りに入って行った。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
PM 06:34
場所は学校の下校途中。
菜々美は部活を終了させ、一人で下校していた。
勿論、悠や奏空、光はもう家にいる時間である。
そして、今日は部活友達は部活メニューを早々終わらせ、先に帰ったらしい。
菜々美のメニューは時間がかかったらしく、今一人での下校である。
「いやー。 疲れた疲れた!」
と、そんな軽々しく言ってるのだが、疲れていないのだろうか?
すると、一人... 友人が菜々美の目の前にいた。
「お疲れ様です。 近藤さん。」
変な所で出現する... 清水 怜だった。
「なんで、こんな変な所にいるんだ?」
「さぁ。 ともあれ、近藤さんにお話しがありまして...
今から、少しお時間はありますでしょうか?」
菜々美は迷ったのだが、すぐに終わるだろうと思って、怜の話を聞くことにした。
「んで、どーしたんだ? 怜?」
勿論、菜々美の警戒心は全くなかった。
そして、怜は不敵な笑みを浮かべながら... こう喋った。
「 貴女のリングを破壊しに来ました。 」
「…な、何を言ってるの? 怜?」
「嘘をついても... 無駄ですよ。」
怜は菜々美が覚醒者だと言うことをこの目で見ているのだから言えること。
しかし、菜々美には怜が覚醒者だと言うことは分かっていない。
だから、何を言っているのか知らないふりをしたのだが...
「ふふ... さぁ、近藤さん。 リングを渡してください。
そして、僕が近藤さんの目の前で破壊してあげますよ。」
と、怜がもう全てを知っているかのような口ぶりに惑わされていた。
しかし、菜々美は怜のことを友達としてとしか考えられない。
この状況でかなり菜々美の頭の中は、混乱していた。
何故、怜が菜々美の前に居るのか...
そして、怜はリングを破壊して、一体なにをしようとしているのか?
菜々美は考えた。 しかし、言葉が浮かばなかったのだが...
「嫌だね。」
「…?」
菜々美は考えた結果の言葉が... ――これだった。
しかし、怜は動揺もせず... 菜々美の話を聞こうとしていた。
「嫌だね。 これはうちが覚醒者としての証。
悠や光を助けたり... うちを覚醒者として強くしてくれるリングだし、
コイツとはうちは縁がありそうだからねっ!」
「訳が分からないです。」
「怜、オマエ!? 悠や光を助けるつもりはないの!?」
「ふふ... 僕は自分の使命の為... 動いているつもりです。
貴女に出会ったり、悠くんやみんなに出会ったのは...
おっと、これ以上は言っても貴女には意味がありませんよ。」
「裏切るってことなんだな?」
「そうなるかも知れませんね。」
「あぁ、そうか... じゃあ、うちがアンタの頭を打っ叩いて...
本当の意思を目覚めさせてやろうじゃないのっ!!」
そう言い、菜々美はリングを発動させようとする。
「〝リング〟... ――発動ッ!!!」
菜々美は赤いオーラに包まれ... 菜々美は〝炎ノ剣〟を手に掴んだ。
そして、怜に向け... 構える。
「ふふ... そうこなくてはいけませんね。 〝リング〟 ――発動ッ!!」
怜も発動させ、青いオーラに包まれ... 怜は〝ブレイヤー〟を持ち構える。
知り合いである二人が、戦わなくてはいけないのか分からない。
しかし、二人の戦闘が... ――今、始まろうとしていた…!