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〝 夢 世 界 物 語 〟  作者: 神昴
〝日常編 後編〟
13/44

第十三話〝火炎〟

新たな覚醒者... ――火炎ノ力

04月15日

AM 08:00


「おはよっ 悠くん! 今日もいい天気だよっ! 早く起きてよっ!」


この声が聞こえたら、俺の今日の朝開始です。

これを聞かなきゃ、朝じゃないもんね! 俺としてはっ!


「あぁ、おはよ、奏空っ」

「悠くん、妙に元気だね? どーしたの?」

「いやさ、良い夢が見れてねっ」

「へぇー! ぁ、遅刻しちゃうから支度してね」


そうして、奏空は俺の部屋を出た。

あぁ、あの笑顔が見れる朝は... とてつもなくいいぜぅ!

…こんな様に俺は起きるのが日課になりましたとさ。


AM 08:05

朝食を開始する。

今日はみんなが揃っているワケである。


「昇さん、俺達と食べると遅くなるぜ?」

「あぁ、大丈夫だ... 車で行くからな。」

「ぇ、乗せてくださいよ。」

「いや... 奏空だけを乗せて学校に行くならいいけど。」

「ぇ、ちょ!?」

「もー、お兄ちゃんってば! 私だけじゃダメでしょっ!」

「ぇーと、冗談だ... すまん。」

「あぁ...悠だけは走って、昇さんの車の後ろを追いかければいいぜっ」

「ちょ、ヨウ!! いや、無理だろ」

「まぁ、何時かは乗せて学校に連れてってやるから。」

「え、いいんですか!?」

「ヨウと悠以外な。」

「「の、昇さん!?」」


そんな緩やかな感じの朝食の時間が過ぎて行った。


AM 08:36

俺達は普段通りに教室へ着き... 話で朝のHRまで時間を潰した。

勿論... 光、菜々美、怜とは何時もの道で会って学校まで一緒に来た。

しかし... こんなに大人数で学校に行くのは初めてだよ...

車とか来たら、避けるとかしないとダメだから面倒なんだけどね。

くれぐれも3列歩行とかしちゃダメだよ!?


AM 08:40

朝のHRの時間になり、昇さんが教室へ入って来た。


「今日の... 出席は... みんな居るよなー。」


そう言って出席簿を見ないで教卓へ置いた。


「の、昇さん! 確認いいんですか!?」

「いや、ヨウが居れば後はみんな居るからな、うちのクラスは。」


…確かにこの数日... ヨウだけ休んだのしか確認していない。

なんだ... 元気なクラスじゃないか、うちのクラスはっ!


「ってことで、今日のお知らせはー。  …特にないな。」


スゴイ。 お知らせは、特にないのか。

いや、昇さんが言うのが面倒とかじゃないよね!?


「悠... どーした? 何を焦っているんだ?」

「えー、お知らせがない学校って初めて見ました!」

「いや、実はあるんだが、正直、うちのクラスに関係のないことだからな。」

「あぁー。 そーなんですか... …ん!?」


まぁ、昇さんのことだ。 仕方ないね。


PM 12:20

今は、昼間休憩の真っ最中である。

そして、いつものメンバーでご飯中でもある。

…んで、このメンバーは学校中でも結構有名になって来たらしく...

気づけば、うちの4組には沢山の生徒が昼を楽しんでいる状況である。

学食もあるのだが... 何故か、4組は大盛況である。

人口が無駄に多い為... 広い教室でもすぐにギュウギュウな状況である。


まぁ... 大体の理由は学校のアイドルへと昇格した二人が原因でもある。

その学校のアイドル二人を目当てに学校中の男子が来ている状況で...

いや... それはいいことなのだが... 俺が被害にあってる状況だ。

…で、でも負けないんだからね!  男、悠、頑張りますん!


光「なんだか... やっぱりこのクラス人が多くなったよね」

奏空「た、確かにね...。。」


光と奏空が周りの状況に気づく...。

そりゃ、こんな状況だったらそーだよね! 4組だけ人数が多いしさ!


悠「まぁ... …今度食堂に移動してみるか?」

菜々美「逆に人数が多いからダメなんじゃないのー?」


確かに食堂にしてみれば、人数が多いと思う。 まぁ... …どーしましょ。


怜「ならば... 悠くんをあの大群の場所へ放り投げれば、大丈夫ですよ?」

悠「そーか! 俺がみんなを挑発して、誘導すれ... って、オイ!?」

菜々美「あぁ! それは面白そう! 悠ガンバー!」

光「わー、悠くんなら出来るよっ」

奏空「…うん。 ぇーと...」

悠「か、奏空まで... そ、そーいうなよ!」


そんなワケで奏空も悪ノリに乗っている。

僕の好きな奏空はそーじゃないんだぜっ!?


そんな昼間休憩だった。

…と、俺は此処であることを思い出した。


昇さんにまた、呼ばれていたことを。


そんなワケで俺はみんなに一言行って昇さんの所へ向かう。

しかし... 教室の中と外がすごい! 激戦区!?

…人に当たった瞬間に睨まれた。  そんなワケで激走! 脱出!! 教室を出た。


PM 12:28

教室を脱出したのだが... さっきぶつかった人に追いかけられたせいで、

教務室へ、少し遅い到着となった俺である。

…ぶつかったぐらいでスミマセン。 なんだか、ごめんです。


そんなワケで俺は入ったのだが... まさかの昇さんが別の場所へ居るらしく...

俺は教務室へと出たのだが...


そこにはさっき、ぶつかった人が居て...

また激走! 脱走! 脱出! そんなワケで俺は走った。


PM 12:35

疲れたねー。 この10分間で…。

そして、俺は昇るさんの居る、教師の第二の教務室に着いた。

そこは数学準備室。 …数学を準備する意味あるのだろうか...?

そんなツッコミは置いておいて、早速入室した。

俺は準備室のドアを開け、叫ぶ。


「昇さーん!」

「オイコラ、悠! 入り方可笑しいだろ!」


そんなワケでやり直し。

俺は準備室のドアを開け、叫ぶ。


「のー↑ぼー↓るー↑さー↑ん↓」

「…帰れ。」


そんなワケでやり直し。

俺は準備室のドアを開け、叫ぶ。


「帰らない!」

「帰れ!」


そんなワケでやり直し。

俺は準備室のドアを開け、叫ぶ。


「…いや、ごめんなさい、嘘です、冗談です、無理です!」

「帰れ!」

「ぇ、ちょ!? そ、そこまで来たら許してくださいよ!」

「あぁ、すまん... 次も同じ風に来ると思ったから。」

「…まぁ、いいんじゃないんですかね。

  ともあれ、昇さん。 重要なお願いがあるんですよっ!」

「ん? どうした?」


「俺を鍛えてください。」


俺は考えていたことを言う。

それが今、自分が言いたかったことでもある。

勿論、鍛えるのはヴァングルスや敵の為である。

それ達を倒すには... 戦い方の基本... いや、自分の戦い方。

それらを色々とあみだし、敵と戦っていかなければならない。


「…放課後... また俺の所へ来い。」

「はい! 分かりました。」


俺は昇さんに戦い方を学べることが決まった。

これは嬉しいのか正直... 分からないのだが... そーいうことか?


PM 04:01

俺は放課後の掃除を終え、昇さんの所へ向かった。

勿論、奏空、光に一言言ってから此処に来た。

だが、二人には内容までは伝えてない。


戦うこと... それは俺にとっては恐ろしいことである。

しかし、覚醒者として選ばれたからには... ――戦うしかない。

そうして、奏空を守るんだと、俺は考えていた。


PM 04:06

昇さんに会い、一緒に学校の裏庭へと行った。

今は、放課後なので生徒もいる状況である。

そうして、昇さんが話しかけて来た。


「悠... 勿論、覚悟は出来ているんだろうな?」


その言葉を聞いた時にはもう、俺の心の中では言う言葉が決まっていた。


「はい。 奏空を守ります。」

「フッ... 俺の妹は渡さんぞ?」

「あー、はい。 でも、頑張ります。」

「いや、冗談だが...。」

「分かってましたよ!」

「…あぁ、冗談だ。」

「ん... ぉ!?」


そして、昇さんは突如、裏庭の真ん中で止まった。


「昇さん?」

「あぁ、此処で俺の力を発動させる。」

「こ、ここで…?」


そうして、昇さんは能力を発動させ... 能力である暗黒のオーラを纏った。


「悠。 行くぞッ!!」

「え、ちょ!?」


そう言って、昇さんは暗黒のオーラを裏庭中にばら撒き...


「え、ちょ...!? …うおおおおおおおおおおあああああっ!?」


突如、裏庭の真ん中に魔界に繋がりそうな穴が空き、俺は落ちて行った。


推定 PM 04:10

俺は落ちた。 場所は分からない。

ただ、学校の裏庭じゃないと断定出来る場所ではないと考えられる。

暗黒に包まれた感じの世界? とでも言えばいいのだろうか?


「大丈夫か? 悠?」


昇さんが声をかけて来た。

ともあれ、昇さんは発動状態であり、悪魔のような格好をしている。

いや、昇さんは悪魔なのだから普通なのかなー? と?

ヨウに聞いたように... 最強と言われている感じであり...

こんな人と戦える... いや、戦うなど恐ろしいことである。


「大丈夫です... でも、ケツが痛いです。」

「ケツ? あぁ、気にするな。」

「…や、痛いですよ、これ!! ってより、落ちるなら行ってくださいよ!」

「あー。 すまん、これも一種の修行ってことで。」

「…。」


スマン、俺のファン。

ケツとか言うのはさ... 本気だからなんだよっ!


「それでだ。 これから修行をするが、覚悟はいいんだよな?」

「覚悟は出来ています。」

「そうか...。」


昇さんはそう言って、武器である、槍を構えた。


「さあ、かかって来いッ!! お前を鍛えてやるッ!!」

「はい!!」


俺はケテルを発動させ... 〝無ノ剣〟を構えた。

これから... 昇さんの地獄を見るような長い修行が待っているなど...

今の半端な覚悟の俺にはまだ分からなかった…。


推定 PM 04:20

昇さんは突如、構えを解き、俺に攻撃を仕掛けて来た。

槍の突き刺し攻撃であり、何度も攻撃してくる。

俺は自分が出来る範囲の剣攻撃で回避した。


しかし、昇さんの攻撃がかなり素早く... 俺の攻撃を避け...

槍の先は俺の目の前、つまり寸止めで攻撃を終了させた。

勿論、動けば槍に刺さっている状況である。


「がっかりだな... 悠。」

「そ... そりゃ...。。」

「まぁ、いい。 それで、今のでお前に言いたいことが山ほどあるのだが...」

「い、今のでですか!?」


昇さんは俺の弱点を一気に見抜いたらしい。


「反射神経だな。」

「反射神経ですか...?」

「あぁ、お前は人並み以下の反射神経なのかもしれないな。」

「…運動はあんまり出来なかったりします。。」


そう、俺は運動が出来たり... 出来なかったりする感じの男子高校生であり、

まぁ... 反射神経はないのかなぁー。


「実際の戦闘になると、反射神経がほぼ重要になる。

  反応が遅いと攻撃を避けた後の行動が限られる。

   そこで、今から俺の攻撃を避け続けて欲しい。

    なお... …お前は武器無しで、避けてもらう。」

「いや、死にますよ!? それ!?」

「死んだら... 仕方ないかもな。」

「ちょっとー!?」


…でも、俺が選択したことなんだから... 素直に受け止めよう。

俺は発動を解除し... 昇さんの修行を続けた。

俺は生きて帰れるのか... 正直心配だったけどね...。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



PM 04:01

一方、奏空と光は下校途中だった。

少し前に悠に...


「先に帰ってくれっ!! ちと、昇さんに呼ばれてて。」


と、悠から言われて二人はまたも残ろうとしていた。

しかし... 今回は長引くと昇さんからも聞いていたので二人は帰る準備をしていた。


「悠くん... 大丈夫なのかな...。」

「奏空っ! 大丈夫だってば! 昇先生が一緒じゃんかっ!」

「でも... …私、気になってて...。」

「もぉ! 奏空には光が居るから大丈夫だってば!」

「それは関係あるのかな!?」

「…分かんないかな。」


そんな会話途中に菜々美がやって来た。


「奏空! 光! 今日はうちも一緒に帰れるよ! 一緒に帰ろー!」

「ぁ、菜々美ちゃんっ! 今日は部活はないの?」

「あー。 今日は面倒だ!」

「え!? それって、ありなの!?」

「サボってこそ部活! たまにサボらないと体がもたないからねっ!!」

「光もそー思うなぁー!」

「Σ え、光ちゃん!?」

「ってことで、帰ろー! レッツゴー!

  …あれ? 悠とか言うヤツ居なくない? アレはどーしたの?」

「あー、アレは昇先生とどこかに行ったみたいっ」

「光ちゃん! アレじゃないよ! 悠くんだよっ!」

「わー、ごめんごめん! でもでも、気にしなくてもいいんじゃない? 菜々美?」

「そーだね! なに気にしてんのうちっ じゃあ、行こー!」


と、言うことで下校開始。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



PM 04:23

三人は下校途中。 そして、寄り道途中でもある。

上から順番に菜々美 ⇒ 光 ⇒ 奏空 の順番である。



「やっぱり女の子同士だと、行く所が多く浮かぶよね!」

「そーだね! 菜々美っ! まぁ、光も久々かなぁーっ」

「ぇ、光ちゃんって久々なの!? こーいうの!?」

「あー、うん、まぁね♪ 大体は一人行動だったからね」

「へぇー。 過去とかが気になるけどいいや。 じゃぁ、どこから行くー?」

「菜々美ちゃん、私は光ちゃんの過去が気になるんだけどねっ!!」

「わ、もー、気にしないの! 奏空っ!」

「え!?」

「それよりさ! うちは... 奏空のことが気になるんだけど!」

「ぁえ!?」

「あー! 光も特に悠くんとの関係とか」

「おー、うちも気になるー!」

「えーと、悠くんとは別に... なんでもないよ?」

「ぇ、悠と、一緒に生活してるのに!?」

「うんっ」

「なんか、光... 悔しいっ!」

「え!?」

「光も悠くんと一緒に生活したいなー。 だなんて」

「おっと!? 光が先手をうった!?」

「光が思うに悠くんって、優しいじゃんか! ね!」

「ふふー! 光ちゃん、私、いいでしょっ」

「ううっ!!」

「あれ!? ってことは...? 光は悠のことが...?」

「い、いや別に... うんっ!」

「光ちゃん! 素直になればっ?」

「え、いや... ぇーと!?」

「よし、うちが悠に今度言ってくるから! 楽しみに!」

「や、やめっ!!」


こんな風に会話が進んで行きました。


PM 05:18

色んなガールズトークをし、色んな店をまわりながら三人は下校。

やっぱり下校時に色んなことが出来るだなんて良いよね!

菜々美はもっと寄り道する為に先程、別れた。

そして、今は奏空と光の二人の下校中である。


「今日は楽しかったねー! 奏空っ!」

「うん、ありがとねっ! 光ちゃんっ」


そんな二人はとっても仲良しになっていた。


「あ、今度... お泊りに行ってもいい?」

「ぇ!? 別に構わないよ?」

「わー、やったー!」

「あ、でもお風呂の時に悠くんと一緒はダメだよ?」

「ちょっと! 奏空、それはないってばっ!」

「…あ、私と一緒に入る?」

「ぇ、うん!」


危険な香り... いや、いい香りじゃないのか!?



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



PM 05:18

奏空と光と別れた菜々美は別の店へ向かう途中だった。


「わー。 ヤバ、道間違えた。」


しかし、道を間違えて全く知らない街中に来てしまった菜々美。


「えーと、まぁ、テキトーに行けばいいよね!?」


そんな能天気な菜々美。 勿論、独り言。

と、言うわけで菜々美は再び道を歩き出した。



PM 05:26

菜々美の居場所は街中の知らない道。


「完璧に迷った。」


そう、完璧に道に迷った。 この歳で...


「ヤベェ...  どーしよ... っと?」


菜々美は何かを見つけたらしく... 立ち止った。


「なんだ? これ?」


菜々美は道に落ちていた、赤色の腕輪状の物を拾った。

形は菜々美の腕に丁度付けられるような感じだった。


「綺麗だな... これは! あ、貰っちゃえ!」


菜々美は赤色の腕輪状の物をカバンの中に入れた。

この後... 菜々美に予想が出来ないことが起きるだなんてまだ知らなかった。



PM 17:35

菜々美はまだ知らない街中を迷っていた。

と、そこに見慣れた感じのいつもの... ――ヤツが居た。


「こんな所で会うとは... すごい奇遇ですね。 近藤さん。」

「…なんで、アンタがいるの!?」


そう... この礼儀正しく言葉を使うのは... ――清水 怜だった。



PM 05:36

何故か走る菜々美。


「いや、認めない! なんでヤツがいるワケ!?」

「奴とは酷いですよ。 近藤さん。」


菜々美の走りについて行けるのは... ――怜ぐらいしかいない。

菜々美は走りを止めた。


「…で、アンタは何があったワケ?」

「あ、僕ですか。 …街中の散歩です。」

「え?」

「いや、日課なんですよ。 この街中散歩は。」

「!?」


怜は変わり者らしい。 その為、こんな散歩、よくやるらしい。


「で、近藤さんは一体?」

「あー、えとね! うちはベツに、そのね!?」

「あぁ、迷子ですか。」

「ちょ! 違うっ!」

「いや、なんでそんなに焦ってるんですか?」

「…き、気にしないでよね!」


そう、ツンです。 今の菜々美の状況。


「…ま、まぁ、迷子でいいわよ! で、帰り道とか知ってるよね?」

「…迷子なんでしたか。 これは悠くんに報告ですね。」

「なんで、悠に報告するのよ!」

「いや、悠くんは近藤さんの情報を欲しがってましたから。」

「ぇ!?」


急に赤くなる菜々美。


「そう言うことで。」

「!?」

「あー。 そうそう... 今居る場所は学校の近くですよ?」

「え!? こんなとこ...」

「2キロぐらい近いですよ?」

「ちょ、オイ!」

「嘘ですよ。 もう結構な距離を歩けば、学校なんですよ。」

「…ぇ?」

「頑張ってください。」


そんなこんなで今居る場所は怜曰く、学校の近くじゃない? らしい。

ってより、近くじゃないし、嘘じゃんか!



PM 05:39

どうして、怜と会ってしまえたのか菜々美には分からず。

しかし、怜から帰り道までの情報を手にした。


「丁寧にどうも... あ、ありがと。」

「いえいえ。 簡単なことですからね。

  あ、それと... 今後には気をつけてくださいね。」

「ぇ?」


そんなワケの分からないことを言って怜はその場を立ち去った。

一体... 怜は何が言いたかったのか、分からなかった。



PM 05:48

菜々美はやっと見慣れてる道へと出た。

これで帰宅... と、思ったのだが、怜の言葉が気になっていた。


「…ってより、学校の近くじゃないじゃんか!」


あ、そっちでした。


「わー。 予定が狂ったけどいいか。 明日もサボっちゃえばいい... っとん?」


菜々美は空を見上げ、何かを見つけた。

それは自分の方に落ちてくるようにも見えた。 大きな... 大きな物体...?


「あれは...? 何?」


それは、菜々美の方へと落ちて来た。

PM 17:49


――ガアアアアアアアッ!!!


空から落ちて来たのは... ――怪物だった。

街中で怪物が落ちて来たこともあり... 大勢の人が逃げ惑っている。


「ぇ!?」


菜々美の目の前には... 謎の怪物。

そう... ――ヴァングルスだ。


「これが... 悠とか光とかが戦っていた... 怪物!?」


菜々美はあの場に居なくても、悠と光と昇先生が怪物と戦っていたことを知っており、

その内容には怪物のことも知っていた。

しかし、実際に現れると... その恐怖は倍増した。

しかも、こんな街中で。 大勢の人が逃げ惑っている中で、菜々美は動けなかった。


「おーい! 早く逃げろ!!」

「キャー!!!」

「お、押すな!」

「早く行けよ!」


と、大勢の人の大きな声が聞こえる中、菜々美には全くその声が聞こえなかった。

目の前には見慣れぬ怪物...


――これは現実なのか?


と、菜々美は疑っているのかもしれない。

しかし、菜々美は動かず、その場にただ立ち尽くしていた。


――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!


そのヴァングルスは口から火を吐いた。

その火はあっという間にビルや店を焼き尽くした。

しかし、まだ菜々美は恐怖でその場から動けずに居た。


そこに... ヴァングルスの強力な火炎放射のような炎が菜々美を目がけて飛んでくる。

その炎は... 菜々美を包み込んで他のビルに着火してしまった。

菜々美は... ヴァングルスの炎の餌食となってしまったのだった。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



PM 05:49

ヴァングルスが街中暴れている中である。


「この様なタイミングで出現とは。 訳が分かりませんね。」


人々が逃げ惑っている中に... 堂々と立ち尽くす怜。

そして、怜はヴァングルス目がけて走った。

怜は両手に付いている青色の腕輪を見せつけ...


「リング発動。」


その言葉とともに怜に青いオーラに包み込まれた。

そう... ――怜は覚醒者だったのだ。



PM 05:50

怜はヴァングルスの居場所に到着し... ヴァングルスに攻撃を仕掛けた。


「〝火属獣〟ヒエンですか。」


そのヴァングルスは〝火〟の属性をもったヴァングルスだった。

…って、炎とか普通に吐いてるしね。


「〝ブレイヤー〟」


その言葉とともに武器のブラスター式ガントンファー〝ブレイヤー〟を両手に持つ。


「〝アクア・ショット〟」


衝撃水とも言うべき、強力な水の砲撃を両手の〝ブレイヤー〟から放つ。

〝火属獣〟ヒエンとは、対属性であり、効果は倍増している。

着火したビルなどの火も消えつつある。


――ガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!


〝火属獣〟ヒエンは負けじと炎を吐くのだが... 怜の水属性には敵わない。

怜は〝火属獣〟ヒエンを倒す為... 距離を縮めた。

〝ブレイヤー〟を逆手に持ち... トンファー状態のように持った。

そして、〝ブレイヤー〟から水の刃が現れ... 構えた。


「さあ、此処からが僕の本気ですから。」


怜は〝火属獣〟ヒエン目がけ... 突撃を仕掛け、水の刃で相手を斬る。

〝火属獣〟ヒエンは大ダメージなのかあまり動けない。

その間、怜は連続攻撃を決めており、もはや勝ち目がない〝火属獣〟ヒエンである。


「これで最後ですよ!」


と、最後の一撃を決めようとした瞬間!!

突如、怜の後ろの瓦礫の残骸から赤いオーラが放たれた!

怜は一撃を決める前に、ビルを伝って、ビルへの屋上へ跳んだ。


「良い所だったんですが... しかし、あの色の光は... ――まさかッ!?」


すると、赤いオーラは瓦礫の残骸を吹き飛ばした。

そして、一人の女性が出て来た。


「…まさか... 近藤さんでしょうか?」


そう、その女性は... 近藤 菜々美だった。

あの時... 彼女は覚醒したのだった。

赤き炎を纏い... 赤いオーラを纏った姿は... 〝火炎ノ騎士〟にも見えた。



PM 06:01

怜はビルの屋上で見ていた。


「属性は... 〝火〟ですね... あの感じだと。

  …では、彼女が赤色のリングの所持者ですか...。」


彼女は赤いリングの所持者となり、覚醒者となった。


「ともあれ、僕は此処で見てた方がよさそうですね。」


怜はそう言って、発動を解除し... メモ帳らしき物を取り出した。

どうやら、此処は近藤 菜々美に任せるらしい。

勿論、彼女には怜が居ることは知られてない。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



PM 18:01

近藤 菜々美は剣を片手に持ちながら、〝火属獣〟ヒエンのもとへと歩いた。

彼女の身体からは炎と赤いオーラが纏っている。


「さっきはよくもやってくれたな... ――怪物ッ!!」


菜々美は剣を取り出し、怪物に向け... ――剣を構えた!!!

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