第20話(最終回):永遠のたまらんや
【昼・銀座の結婚式場・披露宴会場】 (会場はミノ先輩が全面プロデュースした特設空間。壁一面にミノの断面図を模したスタイリッシュな装飾が施され、各テーブルには最新式の無煙ロースターが完備されている)
よい「……信じられる? 披露宴で全席セルフ焼肉なんて、前代未聞よ」
カルビ将軍(なぜか招待されている)「チッ……だが、この排気システムの設計は完璧だ。服に匂いが全くつかねえ……悔しいが、たまらんな!」
(新郎・ミノ先輩は純白のタキシード。そして新婦・りむは、清楚なウェディングドレス姿……だが、今日だけはネイルをかつての「デコデコなミノ柄」に戻し、髪にもさりげなく金色のメッシュを入れている)
りむ「……ねえ、ミノ先輩。あーしのこの格好、やっぱりまだ苦手?」
ミノ先輩「……。……いや、今の私にはわかる。その装飾こそが、君の生命力の源だ。……今の君は、どの図面よりも美しく、理路整然とした愛しさに満ちているよ」
りむ「(照れながら)……もー、相変わらず一言多いんだから!」
(披露宴のクライマックス。メインディッシュが運ばれてくる。それは、かつての師匠・店長が仕込み、りむが最後の仕上げを行う「至高のミノ」だ)
司会「それでは、新婦による……ケーキカットならぬ、**『入魂のミノ焼き』**です!」
(りむは、ダイヤモンドが輝くあのトングを手に取り、網の上でミノを舞わせる。香ばしい香りが会場を包み込み、ゲスト全員が唾を呑み込む。その時、会場の隅で静かにミノを頬張る一人の男の姿が)
店長「……。……焼き加減、一切の妥協なし。……合格だ、りむ」
りむ「店長……っ! 来てくれたんだね!」
店長「(不器用な笑顔で)……俺の教えたミノが、銀座で一番幸せそうに焼かれてるって聞いたからな。……おめでとう、店長」
(拍手喝采の中、りむは焼き上げたミノを一切れ、ミノ先輩の口へ運ぶ。今度は震えることなく、真っ直ぐに)
りむ「はい、あーん。……一生、あーしのミノ、食べてよね!」
ミノ先輩「(幸せそうに咀嚼し)……ああ。……生涯かけて、君という名の構造を守り抜くよ」
(二人はゲストの見守る中、トングを交差させて誓いのキスを交わす。銀座の空に、幸せなミノの香りがどこまでも広がっていった)
【完】




