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第19話:ダイヤモンド・トングの誓い

【深夜・ミノ建築設計事務所】 (「全国焼肉店祭り」の熱狂から数日。りむは先輩に呼び出され、深夜の事務所を訪れていた。デスクには、銀座の新店舗の図面がいくつも広げられている)


りむ「もー、呼び出しといてまた図面見てるし! お祝いのデートとかじゃないわけ? あーし、わざわざ新しいワンピース着てきたんだけど」


ミノ先輩「……。……りむ、こちらへ。……君に見せたい『最終設計図』があるんだ」


りむ「最終設計図? 何よそれ、まだ店いじるつもり?」


(先輩が促したモニターには、店の厨房の3Dモデルが映し出されていた。しかし、よく見るとそこには、二人が並んで立っている姿がシミュレーションされている)


ミノ先輩「この1年、君が黒髪に変えてまで私の隣に立とうとしてくれた努力。……そして、祭りで証明された君の魂。……私は、自分の設計士としての矜持にかけて、君を一生、私の作る空間の中に閉じ込めておきたいと思った」


りむ「……閉じ込めるって、言い方怖っ! ……でも、それって……」


ミノ先輩「(デスクの引き出しから、細長い、ベルベット素材のケースを取り出す)……りむ。指輪は、君の仕事の邪魔になるだろうから用意しなかった。……代わりに、これを受け取ってほしい」


(パカッと開かれたケースの中には、月明かりを反射して美しく輝く、純銀製のトングが収められていた。その先端には、小さなダイヤモンドが埋め込まれている)


りむ「……嘘。これ、トング……? しかもダイヤ付いてんだけど!」


ミノ先輩「特注だ。熱伝導率、グリップの重心、すべてを君の手の形に合わせて設計した。……りむ。このトングを持って、一生、私の隣でミノを焼いてくれないか? ……私と一緒に、世界一の『たまらんや』を建てよう」


りむ「(涙が溢れそうになるのを堪えて)……。……バカじゃないの。プロポーズにトング渡す男なんて、世界中に先輩しかいないし。……でも、あーしの答えは決まってるから」


(りむはケースからトングを取り出し、カチカチと二回鳴らした。それは、彼女が最高に気合を入れる時の合図だった)


りむ「……いいよ。あーしが一生、先輩の胃袋と人生、コリッコリに焼き上げてあげる! ……あーしを、世界一幸せな焼き手にしてよね、ミノ先輩!」


(深夜の事務所。図面に囲まれた空間で、二人は深く、熱い口づけを交わした。その手には、世界でたった一つのダイヤモンド・トングが握られていた)

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