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第11話:継承の火、銀座に灯る

【深夜・旧『たまらんや』前】 (看板の電気が消え、シャッターが下ろされる。店長は一言も言わず、鍵をりむに手渡すと、夜の闇に消えていった。引退という名の、不器用なエールだった)


りむ「……(鍵を握りしめて)……。あーし、やってやる。店長が守ってきたこの味、銀座で爆発させてやるし」


【1ヶ月後・銀座『たまらんや』開店当日】 (ミノ先輩が心血を注いで設計した新しい店舗。旧店舗の活気を残しつつも、銀座の街に馴染む洗練された佇まい。オープンを数時間後に控え、店内にはりむとミノ先輩の二人だけがいた)


りむ「……信じらんない。あーしがこの店の『店長』なんだよね。店長がいなくて、あーしが全部決める。……なんか、急に心臓バクバクしてきたんだけど」


ミノ先輩「……案ずるな。私が設計したこの店は、君の動き、君の熱意、そのすべてを包み込むように作ってある。……君はただ、いつも通り最高のミノを焼けばいい」


りむ「……ミノ先輩……(キュン)。あのさ、この1ヶ月、準備で忙しくて言えなかったんだけど……」


(りむは新品の真っ白なエプロンをぎゅっと握りしめ、先輩に向き合う。大きな窓から差し込む銀座の陽光が、二人の影を長く伸ばす)


りむ「あーし、この店が持てたのも、ミノを好きになれたのも、全部先輩のおかげ。……先輩が、ミノと同じくらい……いや、世界で一番好き。……あーしと、付き合ってほしいんだけど!」


ミノ先輩「(数秒の沈黙。視線を少し逸らし、硬い声で)……。……りむ。……今は、開店に集中するんだ。……君の出す答えを、私はまだ受け止める準備ができていない」


りむ「……え、保留? なによそれ、ずるいし! あーし、ガチで言ってるのに……」


ミノ先輩「……すまない。……さあ、間もなくオープンだ。……お客様を待たせるな、店長」


(先輩はそれ以上何も語らず、客席の隅、あの「いつもの定位置」に座った。りむは納得いかない表情ながらも、トングを握りしめる。……この時のりむはまだ知らなかった。この日から数日後、先輩が二度と店に来なくなることも、その理由が自分の「姿」にあることも……)

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