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第1話:その男、ミノにつき。

【夜・焼肉店『たまらんや』店内】 (煙が立ち込める店内。壁には「カルビ禁止」「ミノこそ至高」の貼り紙。バイトリーダーのりむが、客席を鋭い目で見回している)


りむ「あー、そこのお客さん! 今ミノひっくり返したでしょ! 早いって! 表面が真珠色になってからが勝負っつったじゃん!」


客(大学生風)「ひ、ひえっ……すいません……」


りむ「まじ、ミノへのリスペクト足りてなすぎ。……お、いらっしゃい。新規? 1人?」


(店に入ってきたのは、黒いロングコートを羽織った物静かな男。後のミノ先輩である)


男「……ああ。一番いいミノをくれ」


りむ(心の声:お、いい面構え。っていうか、マジ顔面つよ。あーしのタイプなんだけど)


りむ「うち、初めて? とりあえず『お通しミノ』出るけど。あ、カルビとかないからね。牛の胃袋を愛せないやつは帰れってのが『たまらんや』の家訓だし」


男「……構わない。私はこの店に眠るという『幻のサンドミノ』を求めてきた」


りむ「……!(こいつ、わかってんじゃん……)」


(男が席に座る。りむが皿を置こうとした瞬間、男がカバンから銀色に輝く自前のトングを取り出す)


りむ「は!? ちょっと待って。あんた、それ……マイ・トング?」


男「……トングは体の一部だ。他人に握られたものを、私のミノには触れさせたくない」


りむ(心の声:……ヤバ。変な奴だけど、ちょっとカッコいいかも。トングの先端、超手入れされてんじゃん……)


りむ「……あーし、りむ。この店のリーダー。……あんたの名前は?」


男「……名乗るほどではない。まずは焼かせろ。……話はそれからだ」


りむ「(ニヤリと笑って)いいじゃん、受けて立つし。あーしが仕込んだ最高の上ミノ、あんたのトングでどこまでいけるか見せてもらうわ!」

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