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黒薔薇の聖騎士 ー光より来りて闇を抱くー  作者: 霞灯里
第2章 母さまの秘密

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第32話 哀れなウサギさん再び

母さまとフィオルナさん、二人の先生に師事してもらい学びに満ちた忙しい日々を過ごすこと、はや二か月。


魔法の実践練習は館の庭でもしてはいたけれど、やっぱり動いてる相手がいたほうが感覚は身につくよねってことで、再び哀れなウサギさんたちの住処――ラビットフォレストへと足を運ぶことになった。


同行者は、母さまとフィオルナさん、それに数名の護衛騎士。護衛の人たちには少し離れた場所で待機してもらい、ぼくたちは三人で草原へと踏み入った。


風が揺らす草の合間に、白い影がちらちらと見える。好戦的なウサギさんが既にこちらの存在に気づいているみたいだ。


「じゃあ~、無理しないでね~?」

「まずは基礎からだねぇ。欲張らずに気をつけたまえ!」


二人の声にうなずき、ぼくは深く息を吸った。


「まずは、事前準備。聖魔法……」


マナを込めるように胸の奥に意識を集中させ、言葉を紡ぐ。


「《フォートレス》――《ホーリーシールド》」


ふわりと白銀の光がぼくの体を包み込み、柔らかな膜となって広がった。同時に、左腕の前に光で編まれた大盾が生まれた。


「おお、中級魔法を問題なく使えてるねぇ」

「精霊たちとよく触れ合ったものね~、みんなに感謝するのよ~」


精霊さんがぼくの手助けしてくれてるのが良く分かるようになった。ぼくの周囲をくるくると舞いながら、囁くようにマナの巡りを導いてくれる。みんな昔からぼくに力を貸してくれてたんだ。


「次は……闇魔法、《ダークソード》」


右手に意識を移し闇魔法を発動した。黒紫の光が凝縮され手の中に剣の形を取った。影のように揺らぎながらも、芯の通った刃。闇魔法もフィオルナさんから借りた貴重な本と、精霊たちの手助けによって、驚くほどすんなりと一通り覚えられた。


そしてこの魔法は何より――黒薔薇が使った強力な刃。その記憶が、はっきりとしたイメージを形作ってくれた。


草むらがざわりと揺れ、早速ホーンラビットが顔を出してきた。


「……来いっ!」


ぴょーんと角を突き出す突進をかわしてから、体勢を崩した一瞬を狙って剣を思い切り振り切った。


――シャン!


驚くほど軽い感触。黒紫の軌跡を残して、ウサギはその場に倒れ伏した。えっ、地面まで切れた?


「うわぁ……」

「これはまた、えげつない切れ味だねぇ。並の鎧なら紙同然だ」


闇の刃の威力に引く暇もなく、今度は三匹が同時に姿を現した。


「じゃ、じゃあ……次!」


右手にマナを集め、別の魔法を思い描く。


「《ダークスピア》!」


ドンドンドンッ!と、ウサギの影から黒紫の槍が一斉に突き出し、ウサギたちは一瞬のうちに貫かれた。


「影からの攻撃……避けようがないねぇ」


フィオルナさんが満足気に頷きながら、「――で、だ」とにやりと口角を上げながら言う。


「練習した精霊魔法を見せてくれないかね?軽くでいいよ!」


母さまを見ると、にこりと優しく微笑んだ。


「ステラなら大丈夫よ~」


……やってみよう!


ぼくの周りには、沢山の光と闇の精霊さんたちが居る。まるで大切な友達みたいに、寄り添ってくれている。


手に構える剣と盾、それを拡張したなりたい騎士の姿をイメージする。心の中でそれをみんなに伝えるようにお願いをした。


――光の精霊さん、ぼくを守って!闇の精霊さん、力を貸して!


その瞬間、温かく美しい白銀と黒紫の光が、ぼくを中心に爆発するように広がった。光はやがて収束されていく。ぼくが想い願う姿に。


白銀の光は形を変えぼくの周りを浮遊する三枚の輝く大きな盾に、黒紫の光は研ぎ澄まされた浮遊する三本の輝く長剣に姿を変えた。


「……できた!」


「素晴らしい、とんでもないマナの量だ!安定してできるようになったな」

「かっこいいわよ~、テスラ~!」


光と闇の精霊さんたちは楽しそうに混じり合いながらくるくると舞い踊っている。皆に「ありがとう」と伝えていた時に、いつの間にか集まってきた沢山のウサギたちが一斉に飛びかかってきた。


「はっ」と慌てる間もなく、ウサギたちの突進を浮遊する盾が意思を持ったかのように全て弾き返す。同時に弾かれたウサギを浮遊する長剣が閃き切り落としていった。


精霊さんが操る剣と盾が瞬きする間で戦いを終わらせてしまった。周囲に倒れる沢山のウサギたち。ぼくは反応できずにただ立ってるだけだった……。


「無双、だねぇ……」


ほんとに弱いのにどうしてこんなに自ら襲い掛かってくるんだろう。あまりにも一方的で、ウサギたちが可哀想になってきた。


「……今日は、ここまでにしておきます!」


そう言うと、ぼくたちはラビットフォレストから早々に帰ることにした。もちろん狩ったウサギさんは、命を大事にぼくたちの領地の食卓に並びます。


「いやぁ、実にいい研究だ……滾るねぇ。次は黒薔薇の研究だねぇ」


背後でフィオルナさんが目を光らせ満足そうに笑っていた。やっぱり、ちょっと怖い。

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