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黒薔薇の聖騎士 ー光より来りて闇を抱くー  作者: 霞灯里
第2章 母さまの秘密

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第23話 庭園でお茶会をしましょう~~♪

いつもお茶会をしている庭園のテーブルには、菫色の花びらを模したお菓子と、淡い琥珀の香りを立てる紅茶が並べられていた。


何故かメルやジェシカ、そして給仕のメイドまでも、人払いがされた。母さまと二人きりだ。木漏れ日の中、二人で自然あふれる庭園の小道をゆっくり歩く。


瑞々しい苔に覆われた石畳、風にすれる度に銀の音を立てる白花の木々、池の水面には雲が割れた光が万華鏡のように揺れている。


小鳥たちは母さまの足音に寄り添うように枝から飛び降り、蝶は花弁のように肩先にまとわりつく。


しばらく穏やかな沈黙が続き、池に架かる石橋の中央で、母さまがふわりとこちらを振り返り、にっこりと笑う。



「得体がしれないことは~、誰もが怖がるものだわ~」



やわらかく、深い湖のような微笑み。

それだけで庭の空気が一段明るくなる気がした。



「すでに知ってると思うけど~、この世の魔法は三つの級だけよね~?」

「は、はい。”初級”、”中級”、”上級”、……です」


「一般的な人で“初級”~、熟練者でも“中級”よね~?」

「はい。その中でも母さまは、国内唯一の“上級”魔法使いと聞いています」



にこにこと微笑みながら、母さまは体をぼくの正面に向ける。



「じゃあその上級魔法の~、更に上があることを~、しってる~?」

「……神話の時代の、魔法のことですか?」


「そう~、神話の時代には“精霊級”と~、聖女さまが使用されたという“神話級”の魔法があったらしいわ~」

「はい、おとぎ話ですよね?」


ふふふっ、と母さまは嬉しそうに笑った。

軽やかに歩を返し、唇にそっと人差し指を当てる。



「おとぎ話なんかじゃないわ~、……だって“精霊”はこんなに居るもの~♪」

「えっ……?」



次の瞬間――ぱあぁぁっ!と光が広がった。


庭園を塗り替えるほど柔らかく優しい光が、母さまを中心に広がる。朝日のように、気づけば全てを包み込んでいる、温かな光……。


庭園の色が、優しく深まっていく。木々はまるで胸を撫でられたように枝葉を震わせ、咲いていた花々は陽だまりに目を覚ますようにゆっくりと揺れ、風は穏やかに流れた。池の水面には柔らかな光が淡く広がり、波紋のように重なり合う。春の空気みたいに淡く溶けていく。


母さまとぼくへ寄り添うように、幻想的に花びらや葉が、小鳥や蝶が美しく跳ねると、手を伸ばすように美しい祝福の輪を描きながら舞い踊った。足元から、石橋から、周囲から、至る所から沢山の純白の白百合と色とりどりの花々が、するすると咲いてきた。



母さまは――淡く光っていた。眩しいのに、優しくて、柔らかくて、温かい。

胸の奥がじんわりと温かくなり、涙が自然と零れてしまう、慈愛に満ち溢れた光。


白銀の髪は星明かりをすべらせたように輝き、瞳はきらきらと星を讃えて碧く澄む。肩から腰へ流れる光の帯は、まるで天から垂れた祝福のリボン。その姿は……絵本で見た奇跡の少女、そのものだった。


体が震えた。声も出ないほど、美しくて、神々しくて、現実とは思えなかった。



「や、やっぱりっ……!母さま、あなたはっ……」



口が震えながら、涙を拭きながら、でも最後の言葉だけは確信を持って言えた。



「聖女さま、だったんですね……!」



母さまは光に包まれたまま、静かに微笑んだ。

その微笑みは、世界のすべてを赦すような、あまりにも優しく慈悲深いものだった。

この物語を読んで頂き有難うございます。

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