第20話 騎士ごっこするわよ!
ジェシカが黒薔薇とぼくの髪を一通り、満足げに遊び倒した数日後のことだ。その日の昼に差し掛かる時間に、屋敷に響き渡った恒例のかけ声。
「騎士ごっこするわよ!」
ええ~、また馬ぁ~?と震えるぼく。
でも今回も馬にされて乗り回されるのかと思ったら、違った。どうやら本当の狩場に行きたいみたい。学園に入ると“騎士と聖職者のペア実習”があるから、訓練をやりたいそうだ。
母さまに相談してみると、ぼくの頭の黒薔薇を一度ちらりと見つめ、少しだけ考え「護衛をしっかりつけて~、夕方までなら~」と、まさかの許可が出た。
そこでぼくたちは六人の護衛騎士を連れて、街から出て馬車で三十分ほどの距離の、大きい草原と森がある”ラビットフォレスト”にやってきた。
ここは”ホーンラビット”という魔物の住処で、うちの家がしっかりと管理してる貴重な森。ホーンラビットはその名の通り、頭に小っちゃいツノがあるウサギで、素早いだけでとっても弱く、子供でも倒せちゃう。それなのに何故かやけに攻撃的で、人を見かけると自ら飛んでくる。
繁殖力がものすごいため、増やしすぎず減らしすぎずの管理をしていて、ぼくの家の騎士たちが毎日狩りをしている。そして、そのお肉はすごくおいしく街に卸されている。
このウサギの住むこの森は、街の貴重な食糧庫なんだ。
食べられるために生まれてきたかのように思えてしまう、何とも哀れなこのウサギを狩りにやってきた。ジェシカがすごく嬉しそうにしてるけど、ぼくも楽しみ。護衛の騎士たちは基本的には手をださず、すぐ近くで見守ってくれる。
草原に足を踏み入れると、まず《ガードアップ》の聖魔法をジェシカと自分にかけた。これは光の膜が全身を覆い、防御力が向上する初級魔法。そして、《シールド》もつかった。これは光の盾を生み出す初級魔法。他人には使えないのであくまで護身用だ。
草原から森にかけて歩いていると、さっそくウサギが顔をだしてきて、こちらに向かって駆けてきた。「きたわねっ!」っと、それをジェシカが一瞬で抜いた細剣を振るい、首を切った。
早い、見えない、どうやったの?
倒したウサギを革袋にいれて騎士たちに持ってもらい、森に向かって歩く。すると、どんどんウサギがぴょんぴょん駆けてきて、危なげもなくサクサクと地を跳ねるジェシカが剣で倒していく。
軽くツノがかすりでもすれば、《ヒール》で回復するんだけど、それすらない。見ているだけだった。ひたすらに哀れなウサギたちは弱かった………。
本当に哀れ、ウサギさん………。
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