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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

AI小説を否定しない

 完全に話題に乗り遅れたが、少し前にSNSでAI小説に関する話題があちこち飛び交っていたのを最近知った。


 何でもカクヨムのランキングをAI小説が埋め尽くしており、それについての賛否が入り乱れている有り様であったらしい。

 ここ最近は自作品の執筆とプロが書いた小説とやたら治安の悪い街で働かされる子供向けゲームで忙しく、その手の話題は耳目に入ってこなかったのだ。


 AI生成の是非やら粗製乱造やらに関しての話は個人的にどうでもいいので横に置いておくとして。


 一つ、ちょっとしたことを思いついた。


 まず小説家になろうにおける二次創作のガイドラインを見てみる。

 原則として二次創作は禁止。ただし投稿方法と条件が満たされている場合のみ、一部例外があるという。


 その中で私が注目した例外となる事例が、


「小説家になろうに投稿されている作品」の二次創作


 というものだった。


 項目の下には「ただし、原作の作者の方から許可を得ていない場合は投稿できません。」という補足説明が書かれている。


 なるほど確かに。作者本人に著作権があるのは至極当然の話だ。

 であれば無許可で他作品の二次創作などすべきではない。

 どうしても二次創作したいというのなら、先に許可を取るべきだろう。


 ところでAI小説の作者はAIである。


 AIとは人工知能であるが故、知的活動を代行したAIのみが作者を名乗れる。

 知的活動をサボって出力するだけの装置と化した人間の創作物とは言えない。


 AIに人権はない。よって著作権もない。


 つまりAI小説とは、二次創作をする上で許可を取る必要性のある相手が存在しないのである。


 この事実に気付いた時、私は真っ先にこう思ったものだ。


「え、じゃあ規約違反じゃない限りどんな二次創作されても文句言えねえじゃん」


 まあAIに書かせた作品に作者としての愛着も何も無かったりするかもしれないが。


 それでも例えば幼馴染同士の淡い青春純愛小説がAIによって出力されたとして、それが人力二次創作から生み出された名も無き屈強な男達によって白濁の海に沈んだとしても、それは少なくともこの小説家になろうにおいて“規約に違反しない範囲での二次創作”として扱われるのである。

 ついでに言うと本気で白濁の海に沈めるならノクターンで書くべきである。

 規約違反はしちゃダメなのである。


 つまるところ、作品を穢されたとしてもAI小説を出力した人間は「これはAIで出力しました」と表立って主張している限り何も言えない。


 自分のアカウントで投稿されている小説の二次創作としてそれが知らない場所で無限に湧き出ると思うと、想像ながらおぞましいものがある。

 少なくとも私なら遠慮願いたい。もしくはやるにしてもノクターンでやっててほしい。あっちは基本見ないから。


 で、それなら、と考える人も多いだろう。


 あまりAI小説であると吹聴せずに黙ってAI出力を続ければ少なくとも表向きはAIを介さない純然たる創作物なのだから、二次創作の被害には遭うまいと。


 主人公と出会った時は純朴な箱入り娘だったヒロインがタワーマンション最上階ちょっと下の部屋で人気配信者グループにボロ雑巾のようにされた挙句怪しげなサーカス団に売り飛ばされて見世物にされ、それをサーカス団団長の手引きでVIP席に呼び出された主人公がただ涙しながら眺めることしかできない、などという未来もなかろうと。


 そう考える人もきっといるはずだ。

 私はNTRとかその手のジャンルが地雷なのでそういう話は書かないが。


 確かに黙ってAI生成してしまえばなかなかバレにくいように思える。

 もちろん投稿頻度や文章表現の怪しさなどから疑うことはできるが、証明などできるかどうか怪しい。


 小説という媒体はイラストなどと比べて、AI生成かそうでないかの区別が難しいのだ。


 イラストであればタイムラプスなどの作業工程でボロも出る。

 しかし小説の執筆、もしくはプロットなどを作成する作業はただ文字を打ち込むだけなのでいくらでも誤魔化せてしまうだろう。


 AI生成である事実を隠したとして、露見する可能性は低い。


 なので。


 二次創作されたくない、しかしAI小説を投稿したいという人は自分がAI生成している事実を隠すといい。

 SNSで「AIを使ってみました」のような自身の発言を全て削除し、世間様に対していかにもAIを使っていないように見せかけながら活動するのが無難だ。


 まるでAI生成が恥ずかしい事であるかのような扱いになるが。

 しかし大勢の他人より自分を優先する人種にはそんなことどうでもよかろう。


 知らない誰かに知らないどこかで、自分のアカウントから投稿されている小説をオモチャにされる不気味な未来は回避できる。


 もちろんその手の変にプライドが高い人ばかりではないとも思う。


「二次創作は好きにしていい、著作者は自分ではなく人権を持たないAIだ」という自覚がある人は堂々とAI生成していると主張しながら投稿していればいい。


 結果的にAIの一次創作より面白い人力二次創作が生み出されてそちらが話題になったとしても、それはAI小説を生み出した方の判断が生み出した結果である。

 何ならそうなった場合、逆に界隈に貢献できて良かったと胸を張ってほしい。


 貴方が著作権フリーのAI小説を生成してくれたおかげで、絶望のあまりその場から動けなくなった主人公がサーカス団に捕縛され闇医者の手で肉体改造手術されて商品棚で二重の意味で光を失ったヒロインと合体させられる感動の再会シーンが生み出されるかもしれない。


 まあ私はそういうジャンル好きじゃないし見たくもないが、刺さる人には刺さると思います。


 自分で小説を書いた者には自分で小説を書いた責任が、AIに小説を生成させた者にはAIに小説を生成させた責任が生じる。


 AI小説を投稿している人は無責任というわけではないのだ。

 ちゃんとリスクを背負って戦場に来ているし、場合によっては思わぬ角度から飛来した銃弾に倒れることもある。


 だから私はAI小説を否定しない。

 AI小説を投稿している人にも、可能なら肯定的な立場でいてほしい。


 良いネタにするから。

 俺にオモチャをくれ。

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― 新着の感想 ―
本筋とは関係ないですが、ちょこちょこ出てくる二次創作の所を気に入ったので、時間できたら代表作読みに来ます!
AIに執筆を丸投げするような人が、無許可でメチャクチャな二次創作されてくやしがるほど作品に愛着あるか疑問ですし、 AIでポン出ししただけの小説に、労力かけて二次創作したくなる魅力があるかというと……?
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