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第8話  仕掛け作り


 折角借りた新居を数日で解約して退去、そして新たな屋敷にまた引っ越し。

 お隣はやっぱり富豪さん達だった。俺の事を知っているみたい。

 狂乱のオークションに参加している人たちかも知れないなあ。あんまりお付き合いしたくないかも。


 そして思わぬ変化。

 雇ってくれっていう奴が来るわ、来るわ。


 腕に自信があるから狩りの要員に雇ってくれとかさ。

 ナントカ騎士家の3男だとか4男だとかが多いかな。この世界の騎士って貴族に雇われる高級士官役の傭兵みたいなモンで雇用関係を失うとただの人。何代にも渡って主家に仕え続ける家は多くないみたいだ。

 しかも、長男や長男の予備扱いの次男以外は自力で食っていくしか無いらしい。

 それは領地持ちの零細貴族でも同じだそうだ。結婚詐欺師の実家も男爵家だそうだし。

 雇って貰えない奴は冒険者になって自力で何とかするしかない現実。

 俺みたいな極貧出身の身の上でも現在金持ちなら雇ってくれって奴がいる件。でも、そういう奴じゃ腕の方は期待出来ないよな。冒険者として食えないから俺の所に来る訳だし。俺の所に来る奴は自分が使えない奴って言ってるのと同じ。


 あるいは家政婦に雇ってくれとかさ。

 これまた家に居場所が無いような女ばっかり。この世界のちゃんとした家の結婚というのは男側が嫁の実家に年収の3倍程度の婚資を契約金代わりに出さないとダメ。

 嫁の実家がチャンとした家だと男はセッセと稼がないと結婚できないらしい。

 皮肉にも親から捨てられたベルみたいな女だと気楽に結婚出来ちゃう。

 金持ちの男だとドンドン女を侍らせるけれど、人並み以上の容姿やコレといった特技でも無い女だと側室に入れない。

 そうなると平凡で何も特技が無いような女だと男が寄って来ない。そうした女で実家に余裕が無ければ女冒険者になるか、娼婦になるか、奴隷に落ちるか。

 結構厳しいご時世らしい。

 ノコノコと家政婦に雇ってくれとやってくるような女だと、特に一芸がある訳でもないということ。娼婦になりたくないから俺に雇ってくれって事に過ぎない。


 あるいは商人がお近づきの印に娘や妹を嫁に貰ってくれとかさ。

 モンスター素材は良い商材だから狩り取れる奴から直接仕入れるルートを持てるなら大儲けできると考えるらしい。

 中には高額な美人奴隷を娘と偽って連れて来るのもいるみたい。全然似ていない親子だもんな。


 こちらが歓迎したい即戦力の戦力なんかそうそう余っていない。

 ましてやポージョン作りを手伝えるような魔法の素養がある奴なんかは神殿で修業するか、冒険者として食っているか、ポージョン職人に弟子入りしているか。勿論、すでに独り立ちしてポージョン作っている奴もいる。そんなのがホイホイ来る訳が無いのだね。

 うーっ、全く甘くないの。


 ベル姉さんと相談して取り敢えず広すぎて掃除すら手が足りそうにない部分は冒険者予備校の生徒でもバイトに雇って小間使いにしちまうことにした。

 バイトを雇うのが良いのか、ジーナ5万、リタ10万という程度の奴隷が良いのか。その辺は正妻に任せることにした。警備兵としても有能でありながら家事もこなせるリタみたいな存在ってなかなか得難いのかもしれない。

 冒険者は15歳からしか登録できない。これは一般的にこの世界で共通のことで、大抵の職業は15歳から独り立ちする建前になっている。

 正規の騎士や職人でも15歳で成人扱いされるのが普通。

 昔の俺みたいな農民だと働けるようになったら即農業に従事だけれどさ。

 騎士なんかだと12、13歳くらいから徒弟として騎士に弟子入りして修行する。

 それは職人なんかも同じ、商人だと丁稚奉公しながら実務を学ぶことになる。

 冒険者の場合は13歳から入れる冒険者予備校というのがあって、基礎知識や戦闘訓練をやってくれる。予備校生だと生活費をバイトで捻出するケースが大半で、要するに何でも屋をやって凌ぐことになる。

 騎士、職人、商人だと親方の庇護下に入るのに冒険者はなーんも頼る者がいないというね。

 職人や商人にしても無制限に弟子を取る訳がないから、結局はあぶれた奴は冒険者にでもなるしかない運命だ。冒険者になっても数年とせずにポンポンと死んでいく訳だな。

 ベルはそうした冒険者予備校生を日銭で雇って屋敷の掃除要員に充てるつもりらしい。

 既にベル姉さんが薬草採取を依頼しているのは正規の冒険者ね。予備校生は正規のクエストは受けられない。家の掃除や庭の草むしりだと冒険者へのクエスト扱いされない。そらそうか。


 こうして考えると12歳で豪邸を手にした俺って相当な出世だ。クソみたいな実家を出てから一月も経ってないのにね。何とも遠くに来た気分になる。


 ひたすら肉を食ってみたり、急な引っ越しやらの騒動はあったけれどさ。

 本業は本業で考えないといけない。

 ドーンと稼ぐにはもっと効率的な方法を考えないとダメな気がしている。

 前回はオークの群れに対してルネの電撃で麻痺させる算段が良いように決まったけれど、魔力だって無限じゃない。

 そこで罠を作る算段をした。

 縄で網を作ってしまおうという単純な奴で20m四方の大きな網。これを樹上に展開しておいて下にオークをおびき出しておいて落とすという単純な思想。

 女の尿にオークは反応することが分かったのだから誘き寄せることは簡単だ。

 網の四方に重りをつけておいて、そう簡単にオークが逃げ出せないようにしてしまう。

 使い方としてはオッサン連中にロープの一端を持たせて木に登らせる。いい塩梅に登ったら樹上からエッサホッサと網を引き揚げさせる。

 それから誘引剤の尿を網の真下に散布しておいて待ち構える。

 オークがまんまと網の下に来たら、ドーンと網を落とす。これでオークの動きを拘束してしまって樹上から投槍をドンドコ落とす。

 いい塩梅に瀕死になったら地上に降りて行って止めを刺す。

 うん、いいアイデアだと思うな。

 ポンコツ連中に説明して縄を編んでセッセと網に仕上げてみた。


「重いですな」


「樹上に引き上げるんですかい、これを?」


「枝、折れませんかね?」


「運んで行くのは魔法袋でいいですよね・・・」


 評判が悪かった件。

 いや、だって軽かったらオークは編を引きずって逃げちゃうでしょう。重く無きゃダメじゃん。ダメに決まってんじゃんさ。


「ボクのスタンなら簡単だよ」


 ぬううっ、ルネよ。お前もか~っ!

 次だ、次!


「ディアトリマってどうやったらおびき出せるんだ??」


「気合で探せば見つかります!」


「そうかぁ?」


「無理だろう」


「ディアトリマってそんなに出くわすか?」


 なんとなくオッサンがパーティから追い出された理由が分かった気がした。

 もう一つ細工!

 馬車の製造をやっている工房に行った。人間が引くような人力の荷車は当たり前に存在する。それの長さを短縮して貰って人が座る座席を付けて貰った。乗り心地が悪そうだからシートの座面には布のクッションを厚手に敷き詰めて貰っておいたぞ。

 森林地帯への往復にルネを人力車に乗せてポンコツ組に引っ張らせる。これでルネの体力を温存させてしまう算段。

 ルネはここ一発で魔法をかましてくれればいいじゃないの。

 ついでに以前、拾っておいた襲撃された商人の幌馬車もチョイ改造。荷台部分にベッドを据え付けてやはり厚手のクッションで快適に。森林地帯の前で一泊する時にルネとイチャコラするのに都合良くしておきたかったんだね。ウッキーッ!お猿さんになっちゃうぞ!


 そんな細工をしてから再度の狩りへ。

 予定通りにルネを人力車に乗せて運ばせてだ。

 森林地帯を前にしてベースキャンプで一泊。

 魔法袋に放り込んである城壁用の石でちょっとした石垣を作って、その内側に荷馬車を置いて。

 魔法袋に入れて持ち込んでいた料理でノンビリメシ。

 ディアトリマの骨で出汁をとった野菜スープ、ラプトルの串焼き、水溶き小麦の薄焼きパンとチーズ、ピクルス。

 結構なメシだね。故郷にいた頃じゃ想像出来ないよ。

 メシを食ったらルネを荷馬車に連れ込んで。

 ルネって器用でさ。水系の魔法で体を洗い流して乾かすくらいの事はやってのける。アイデアを伝えたらアッサリとやってのけやんの。そして、オリーブオイルを潤滑剤に。

 荷馬車に新設したベッドのクッションはいい塩梅だったよ。

 いつだってルネはカワイイって思えるなぁ。狩りの前でも優雅なモンだね。いや、ホント。

 ポンコツ組は普通にテントで寝かせておいたよ。

 ベースキャンプでは寝ずの番はさせていない。

 周囲には杭を打ってロープを張って、木製の鳴子/鳥脅しを付けておいた。それを2セット。なんか寄ってきたら音がするはずだ。


 翌朝というか夜明け前の未明から行動開始。

 事前に用意しておいた水溶き小麦の薄焼きパンにチーズを挟んだ奴で食事を済ませたら森林地帯に突入。

 ここからは本物の戦場だ。

 藪を掻き分けてセッセと進む。目標は前回行った場所とはちょっと離れた場所になる予定。

 少し行けばお約束の虫系の奴やらスライムやら。

 その辺はスルーして。

 角兎さんは美味しく頂くので確保して。

 犬頭のキャンキャン吠るのが出て来たけれど、適当に追い払ってだ。コボルトも食えたもんじゃないんだってさ。

 犬が出たらお次は狐のデッカイのが出て来た。モフモフの毛皮が高級品という毛長狐。

 毛皮を傷つけないように首元だけを切裂くんだってさ。

 それが済んだら2mほどのアルマジロ!?

 甲殻アルマジロと言うんだそうだ。これが結構美味しいとか。魔石が取れるし、硬い甲羅が防具にも使えて良いカネになるって。でも、ポンコツ軍団は甲羅が硬くて殺すのに一苦労・・・。

 美味しい素材は中々に苦労するモンらしい。


 さらに進むと衝撃の光景。


「えっと・・・さ・・・」


「大王蟹ですな。これは最高に旨いです!」


「これを塩茹でにすると最高に酒に合うんですぜ!」


 幅が2mくらいあるようなガザミというか、渡り蟹みたいのが陸上にいるのな。

 陸上ならサワガニの親分みたいのにしておけって。

 しかも、これが前に向かって歩いて来る。

 横歩きじゃないんだな・・・。


「潰していいのは目玉の中間だけですぜ!」


「身が潰れちまったら後悔しますから!」


 ポンコツ軍団のテンションがおかしい!?

 デカイ鋏こそあるけれど、そう厄介な相手ってことでもなかった。アルマジロほどは硬く無かったんだ。


「もう一匹いないかよく探せ!」


「一匹だけってことはないだろ!」


 オッサン達が怖い。目が血走ってやがんの。


「何か近寄って来る!」


「気を付けろ!」


 バシッ!!


 強烈な炸裂音がして、アル中が咄嗟に構えた盾が砕け散った。


「チッ!ラプトルだ!」


「盾で押し返せ!」


 ガシッ!


「ああっ、この盾はもう駄目だ!」


 結婚詐欺も楯が砕けた。金属で縁を補強してある木製の盾なんだけれど、ラプトルの足爪キック一発でアッサリと砕けてしまう。奇襲されると相当にヤバい相手だった。前回はコチラが待ち受けていた局面だったからね。


「スタン!」


 ピカッ!!


 ルネが咄嗟にラプトル2匹を麻痺させる。


「助かります、お嬢!」


「命拾いしやした!」


「まだ、3匹いるぞ。締めて掛かれ!」


 オッサンが檄を飛ばす。そう、まだいるんだよな。


「だりゃっ!」


 俺は手に持っていた戦斧を放して、咄嗟に腰に下げていた直刀をぶん投げてしまった。遠距離攻撃する時に何故か直刀をぶん投げる癖が付いたな。


 ギャッ!!


 胸の真ん中に命中して悶絶の個体。無効化は出来ただろう。あと2匹。


「せいやっ!」


「しゃあっ!」


 オッサンとギャンブルが体制を整えて槍攻撃。

 人間よりも軽量だから攻撃さえ当たればなんとかなる。


 キシャッ!


 ギイッ!ギャウウッ!


 ラプトルは穴を穿たれつつもまだ反撃してくる。


「まだぁっ!」


「しゃあっ!」


 ギャウンッ!


 ギャイン!


 結局、盾を2枚壊された末に何とか討伐終了。

 モンスターの領域ってのは甘くねえな。油断大敵だ。


「予備の盾がある、こっちを使え!」


 予備の武器も買い込んであるんだよ。

 俺はどうも楯を使うのがダメっぽい。性に合わないというのか。使ってこなかったから馴染みが無いというのか。一番しっくりくるのは今でも石斧だろうなぁ。


「助かりやすぜ!」


「お借りします!」


「全員、水を飲んだらすぐに移動だ。血の匂いがまともに漂った。次々来るぞ!」


 伊達にトシ食ってないオッサンが指示を飛ばす。

 ヒヤッとしてからの戦闘だったから喉乾いたんだろうな。

 速足で移動したものの、あっさりと次のお客が来た。

 魔狼の10匹くらいの群れだった。


「取り敢えず、俺が突っ込む。ルネ、フォローして」


「うんっ、気を付けて!」


 グオオッ!

 グアッ!

 ウオオーンッ!


 領主様から貰った上等な戦斧の出番だ。

 さて、どんなものやら。

 

「せいっ!」


 スパッ!

 スパッ!

 スパッ!


「うわっ、ナニコレ!スパスパ斬れる。すげっ!!」


 ベル姉さんに遭遇した時の戦斧は簡単に刃こぼれしたのに、コレって何の抵抗もなく魔狼の頭を叩き斬ってしまう。全く抵抗感なく豆腐を包丁で切る様な手応え。

 これ本当に凄い戦斧だったみたい。


「ひゃは~っ!こりゃいいや!」


 スパッ!

 スパッ!

 スパッ!

 スパンッ!

 スパンッ!


 ああ、コレって良いわ。うん、最高!

 すっかり上機嫌で戦斧を振り回していたら魔狼は全部死んでいた件。


「大将、それって恩賞に頂いた奴ですか?」


「そうそう、これ凄いわ。魔狼の頭蓋骨真っ二つだもんな。

 スゲエ物を貰っちゃったな」


「普通の武器なら刃が欠けますがねぇ」


 オッサン、ビックリ顔してる。

 でも、一番驚いてるのは俺だろうな。この戦斧っていくらくらいするんだろう?想像するとちょっと怖いかも。


 気を取り直して行軍を再開。

 やはり、オッサンが狩場に使っていた場所の近く。

 四方に樹木があって、一部だけ開けているという都合の良い場所に到着だ。

 ここで準備してきた網を樹上に引き上げる。

 ポンコツ組は苦労惨憺。網の重みで枝が折れることは無かったけれどね。

 息が上がったことだし、昼飯にしよう。

 薄焼きパンにチーズとベーコンを挟んだ奴で軽く済ませてしまう。枝の上で待っていながらのメシだから凝ったメシって訳に行かない。

 メシを終えてから、例によって誘引剤をブチませる。今回もベル姉さんとリタの協力による。そして、ゴブ除けに魔狼の尿も少々。

 メシの前じゃやりたくない作業だね。臭いが~っ。

 んで、待つ事暫し。

 やって来ましたオークの群れ!チャンと5匹もいてくれるぞ。これだけで売却額は2,000万ソルだもんねっ。

 笑いが止まらない!

 いい塩梅にオークが網の真下に入った所で。


「ヨシッ、やれっ!」


 オッサンに指示役を取られた件・・・!


 ドサッ!


 ブギィィ~ッ!?

 ブヒ~ッ、ブヒィ~ッ!

 ブギィィィ~ッ!

 ビギャアッツ!

 グウアアッ!


 うん、大成功!


「エイッ!」


 クッ、ルネが可愛い。孕ませてぇ!無理だけれど。


 ピカッ!


 網に絡まって逃げられない状態でスタンを喰らったオークの群れは一発で沈黙。

 ルネ、腕が上がったか?

 動けない相手だと狙いが良くなるのかね??


「それっ、やっちまえ!」


 また、オッサンに指示役を取られた件・・・!

 ポンコツ組が一斉に木から降りて、オークに止めを刺していく。

 動かないオークはただの的。単に頸動脈を裂いて血抜き作業するのと変わらない。


「これならもう一押ししましょうや」


 またまた、オッサンに指示役を取られた件・・・!

 んで、また網をえっちらと枝の上に引き上げてっと。

 うん、同じことを繰り返せたよ。

 今度は6匹のオークの群れだった。

 実に簡単に仕留めてしまえた。

 ラプトルに奇襲されたら盾を失って、より強力なオーク相手に無傷でクリア。

 そもそもが身長3m近い巨体の二足歩行の猪だよ。普通なら毛皮と脂肪層のせいで剣が通じない相手。それをアッサリと仕留めちゃった。

 なんだよなぁ、一回狩りに行ったら5,000万からの売り上げって。

 もう感覚が狂うって。


 獲物を得たらソソクサと撤退。

 長尻なんてして面倒になるのは御免だ!


 って思っても、都合良く行かないのがモンスターの領域なんだろうな。

 うん、立ち塞がって来たのはトロール。

 ゴワゴワとした剛毛に包まれている5~6mくらいの人型モンスター。ビッグフットの正体がこれですと言われたら納得出来そう。オークと違って単独行動することが多いのも特徴だってさ。


「ちっ、アイツにゃ槍が通らねえんですっ!」


「罠でも仕掛けて仕留めるべき相手なんですが・・・」


 要は遭遇戦になるのはダメな相手ってことみたい。


「でも、良い戦斧貰ったしさ」


 スパッと斬れるんじゃないのかな?


「やらないで後悔するよりも、やった方が良いと思うなっ」


 上等な戦斧に期待して気軽な気分で斬りかかったんだ。


 ギャアアッ!


 うん、取り敢えず右手をぶった斬った。

 肩口から派手に血を飛び散らして転げまわるトロール。


「これって本当に良い戦斧だなぁ」


 シミジミ思うな。

 

「ていっ!」


 ビシャ~ッ!


 首を狙ったらあっさりと切り離せた。凄い勢いで出血してる。血の気が多い奴みたいだ。


「大将、ソロで討伐する獲物じゃありません・・・」


 ポンコツ軍団が怯えた顔してるんだけれど。




 狩りを終わってみたら。

 兎9匹。

 狐1匹。

 ラプトル5匹。

 アルマジロ1匹。

 蟹1匹。

 魔狼9匹。

 オーク11匹。

 トロール1匹。


 標準的には角兎@40万、毛長狐@30万、ラプトル@100万、アルマジロ@140万、大王蟹@400万、魔狼@100万、オーク@400万、トロール@800万だってさ。

 この調子だと今月の稼ぎはサイクロプス込みで4億ソルに届きそうな気がして来た。

 なんだかメジャーなスポーツの一流選手の稼ぎみたいだな。

 街に帰って商人ギルドへ。

 園遊会の準備期間とやらで少しでも多くのモンスター素材を確保しておきたいという領主様の意向だとかで、兎とラプトル、オークなら少し持ち帰っても良いけれど他はギルドに卸してくれってさ。

 アルマジロは珍味として有難がられる。

 大王蟹は何と言っても美味。

 トロールだとまともに持ち帰れる冒険者が少ない!

 受付のお姉さんは散々肉を奢って貰った恩義を振り払って、任務に徹して来やがった。

 奴隷軍団は涎を垂らしそうな顔で蟹を断念せざるを得なかった。・・・食ってみたかったなぁ。



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