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泣けない兎

作者: 庵樹

誰にも言えぬ私の秘密…8年前のあの時に、今も心を残している ここ数日の夢に、続けて出てくるあの男が、何よりもの証明だ 今も含め過去辿ってきた男達を並べたところで選ぶのは、今の男…それだけは、自信がある だけどあまりにも不安定で、激しく未熟だったあの時に、側に居てくれたあの男の事だけは、今も忘れられずにいる 今、私の愛情の矛先は別の人の所に在る だけど、これから先、生きていく中で、又、あいつの姿を見かける事があるとすれば、瞬時に涙が溢れ出す…それだけは判っている あれは思春期と言われる時の魔法だったのだろう 8年前の夏の夜…☆『見て、今夜は月が綺麗だね』★『そうだな……そっか、おめぇは何かに似てると思ってたけど、兎に似てんのか…』☆『何言ってんの、兎は淋しいと死んじゃうんだよ。

アタシ、そんな弱くないもん。

』★『馬鹿だな。

俺は、周りが気付かない、おめぇの弱さもちゃんと知ってる。

だから、いつも、俺が隣に居んじゃんか…』☆『…アタシが兎なら、あんたはなんなのよ?』★『俺は月かな…(笑)』☆『(笑)クサイねぇ〜』★『クサくてもいい。

とにかく俺はずっとこれからも、おめぇを守っていきたいんだよ。』 ……今、この時を経て、一生をかけてでも、叶わぬ願いもあるという事を知った たとえ再び、逢う事ができなくても、自分の愛する人達が地球のどこかで笑顔で居てくれれば良いと思えるようになった だから今、私の隣で寝息をたててるこの人にも、感謝ができるのである



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