邂逅(笑)
「ね。ここどこさ」
私の目の前には、なんだかよく分からない服を着て椅子に座っているお爺さんがいた。
正直なんか偉そうで苛つくし、帰りたい。
「おお、勇者よ!我が召喚に応えてくれて心より感謝を。早速じゃがこの世界を」
「いや、待ってお爺さん。帰して?ね?今から私バイトだから。バイト行かないとヤバい事になるから。学校帰りの裏若き乙女を拉致とか有り得ないから」
お?意外に私冷静だ。目の前にいる誘拐犯紛いな勘違いお爺さんの方が慌てふためいてるし。
「じゃ、じゃが世界が危機に陥っていて、我々の手ではどうにもならなくて、お主を召喚したんじゃし、手助けぐらいしてくれても……」
召喚?さっきから何訳のわからないことを言って……、まさか老化ボケかな?
「世界の危機とかマジどうでも良いし、私帰るから、帰り道は?」
「いやいやいやいや。ワシ結構な力使ってお主召喚したんだから、少しぐらい……ね?頼む!この通り!」
何このお爺さん、JKに土下座し始めたんだけど(笑)ってか周りの人達慌てすぎじゃね?よく見たら王冠被ってるし、まさかこのお爺さん王様?コスプレにも程があるわ(笑)
「まぁ、私も鬼じゃないから、エロい事じゃないなら何か分かんないけど手伝ってあげても良いよ。バイト優先だけど」
「お、おおおお。助かるのじゃ!して先程から申しておるバイトとはなんじゃ」
何?このお爺さん、バイトも知らないの(笑)
「バイトだよ。アルバイト。学生が安いお金で働いて遊ぶお金を作るんだよ。あ、お爺さんお爺さん。ちゃんと手伝ったらお金頂戴ね?日本円で」
「ほう。クエストと同じ感覚じゃな。学生の身で働くとは感心じゃが日本円とはなんじゃ。通貨の単位じゃとするならこの世界には無いぞ。代わりに金やルビーとかの宝石でどうじゃ」
宝石かぁ。そう言えばバイト先の近くに宝石屋があったし換金してもらえるかも。
「宝石でいいよ。でも手伝うのはバイトが終わってからね。じゃあまた後で。今度こそ帰り道は?」
「え、えーっと……ま、まて。今作るから待ってくれないか」
え?作んの?山奥か何かなのかな?なんかお城みたいだし、場所無かったのかな?
「ね。お爺さん。それさ。何時間かかるやつ?無理でしたじゃダメだからね。今度遊ぶお金のために頑張んなくちゃだから」
「……うるさいのぉ。集中させい!…………ふんっ!!ハァ……ハァ……ハァ……」
うわ。なんかお爺さん超息切れしてんじゃん(笑)てか、なんかちょー地面に力込めたら光る門出てきたし(笑)
「これ、を、通れ、ば!帰れる……はずじゃ。一度世界を越えたんじゃ。今回は楽に繋がったわい。場所は呼んだ場所周辺に繋がっとる」
なんかよく分かんないけど、とりあえずこれで帰れるらしいけど、門の先無くね?まさかのどこでも◯ア的なやつ?
「じゃあまたね。あ、そうだ。約束しちゃったから聞くけどさ、次からどうやって来たらいい感じ?また誘拐されんの?」
「門をイメージしてくれれば、来る事ができるんじゃが、こちらから呼ぶこともあるのじゃ。その時は頼む」
やっぱよく分かんないけど、とりあえずバイト行かなきゃだから急がないと!
「じゃ!急ぐから、休みの日にまた遊び来るからー」
私は怪しげな門を潜った。
ちょー眩しかったけど、気づいたらバイト先近くの公衆トイレの個室。
「てか、門無いし(笑)やべえ。マジでどこでも◯アだっし(笑)」