17. 示してくれ
「まず1つ目。……今の話で、きっとルリさんは若くして頭のキレる奴なんだろうと感じた」
「ありがとうございます」
「だが、俺から見てルリさんの身元はまだ保証できてねえ。別に疑ってる訳じゃないが、身元を保証してくれ」
健全な人、健全な隊商なんだろうとは思っているが……万が一よろしくない集団だったりしたら仲間に加わる訳にはいかない。
「そうですね。……では、ハンターズコミュニティの会員であることを示せば宜しいでしょうか?」
「ああ」
成程。
コミュニティの加入審査はそこそこ厳しいと聞くし、それなら信頼に値する。
「【ステータス・オープン】。……よろしくお願いします」
「はいよ」
ルリさんが自身のステータスプレートを呼び出し、おばちゃんに見せる。
「……うん、確認したよ。身元に問題無し。それにしても随分と遠い町から来たんだね、アンタ」
「有難うございます」
よし、良いだろう。
「じゃあ2つ目。ルリさんと俺は初対面すよね。俺の事なんてほぼ何も知らねえだろうに、どうしてそんなに俺に信頼を置けるんすか?」
今度は逆に俺だ。
もし俺が悪人だったらどうする?
「……それは問題ありません。ダイヤの眼が選んだ人材ですから」
「ほう」
この決闘バカのセンスを信じるというのか。
「その心は?」
「今まで十数回ほど、町の往来の中からダイヤが人を見分ける様子に立ち会いました。すると……不思議な事にその人選に外れは無いんです。人並み以上に実力があり、それでいて不安要素も無い」
「ハーッハッハ! 凄いだろう!」
「ふーん」
……意外とやるじゃん。
決闘バカのくせに。
「ただし……そんな人を見つけるや否や、優劣をつけようと決闘を申し込むのが玉に瑕で」
前言撤回。
やっぱり決闘バカだった。此奴。
……では、最後の質問。
「そんじゃあ、最後。……ぶっちゃけ言うと、俺は別にどっちでも良いと思ってる。今のままでも、雇われても。……但し」
「但し?」
「条件が一つ。それは『俺の今の人生より、隊商に加わった方の人生がプラスになるか』」
この日々この生活で収入は十分だし、安定している。貯蓄もまあまあ有る。金には困っていない。
……それに対し、隊商は5人組と言っていた。面倒くさい人間関係が増えるのは必然、俺からすりゃ大減点だ。
「それを上回るプラスが無いなら、俺はこの話を蹴る。俺にとってプラスになる事を示してくれ」
「ふむ……」
無理難題なのは分かっている。
が、敢えてこの質問をぶつけた。